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 その言葉を聞いた時、自分の体が浮いてしまうんじゃないかと思うほどフワフワした気持ちになった。人生の幸運を全て使ってしまったかもしれないと本気で思ったし、もしそうだとしても構わないとすら思った。私は今、この世でもっとも幸福な人間であるに違いない。 「ずっと好きだった」  そう私を真っ直ぐみて、一文字ずつ噛み締めるように発言した神崎は、いつもよりずっと真面目で見たことがない表情だった。  背景には青い空と白い雲。周りに誰もいない裏庭で、この世に二人きりしか存在しないような錯覚に陥る。真夏の太陽が私たちを照らして、神崎の額に汗が浮かんでいる。その短い黒髪が肌に張り付いていた。神崎は背が高い。それを見上げるようにして、私はただ驚きで硬直した。  一気に自分の心臓はバクバクと音を立てて鳴り響いた。神崎にそれが聞こえてしまうのではないかと心配になるほどに。  思いがけない彼からの告白はもちろん私を驚かせた。でもそれと同時に、嬉しさで踊り出しそうなくらいになったのも事実だ。  私もだよ、神崎。私だって、ずっと好きだった。  そう返事をして彼に抱きついてしまいたいと思った。私こそ、去年違うクラスだった頃から好きだったんだから。 「わた……」  喉から自分のうわずった声が漏れた時だった。
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