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小さく笑うと、ガウェインは呟いた。
「話が長くなりそうだ。長期逗留になっても、大丈夫かな、ロイ」
「もちろんです」
応えてからわずかなためらいの後、ロイが言葉を続ける。
「それでしたら、虫を、船から出しても大丈夫ですか?」
「虫?」
ガウェインは思わず問い返した。ロイがにこっと笑って続ける。
「はい。次元を渡る、惑星リンデルの虫です。私の仲間で、今は船の中で留守番をしています」
「虫が、仲間か」
ロイの笑みが深まった。
「ええ、大切な仲間です」
*
宇宙の片隅で、一つの光が鮮烈に輝き、やがて急速に収束していった。
それを知るものは、誰もいなかった。
ただ。
星々だけが、命を賭けて銀河を守った男がいたことを、沈黙の言葉で語っていた。
彼が愛して止まなかった、銀河の星々だけが。
ただ――
(『神々の王』完)
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