【 シンクロ 】

1/1
前へ
/11ページ
次へ

【 シンクロ 】

 そんな関係の中で、いつしか、この『おやすみの順番』を決めるジャンケン・ポンが始まったんだ。  このサイトで出会ってから1年。  私たちは、同期としてお互いに、1周年を向かえた。  そんなある日、コトさんが講演会を開くというお話をしてくれた。  コトさんは、医療従事者でたまに講演会を開いて登壇するとのこと。 『うわぁ~、すごいですね♪ 講演会するんですね~♪』 『たまにね』  学生をしている私にとって、それは大人の世界のお話。  私自身も医療関係の大学へは、進学を考えているが、夢を語るコトさんがとても(まぶ)しく見えた。 『講演会はいつなんですか?』 『明日の土曜10時。場所は……』  私は、ドキドキしていた……。 (もしかしたら、コトさんにリアルでも会えるかもしれない……)  そんなことを考えていた。 『それじゃあ、ジャンケン・ポン!』 『パー(私)』 『グー(彼)』 『ああ、また負けちゃったな。それじゃあ、おやすみ』 『うん。おやすみ♪ また明日ね……』  その明日は、講演会のある10時……。  現実世界でコトさんに会えるチャンスに、私の胸の鼓動は高鳴り、何度も深く息を吐く。 (コトさんに、会いに行きたい……)  そう、心の中で小さくつぶやいた……。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加