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凝視し過ぎたせいだろうか、瞼がゆっくりと持ち上がる。
大きな瞳が俺を捉えた途端、訝しげに細められる。
そして、だんだんと眉間の皺が深くなっていく。
まずい、と直感的にそう思った。
だが、その心配とは裏腹に、眉間の皺は姿を消し、端正な眉が八の字を描いていく。
「……誰だ?」
待って、入学式で魔王の如き登場をした生徒会長であってます?
視界に捉えるやいなや「誰だ貴様!」的な感じで、烈火の如く怒り出すかと思ったのに、お手本のような困り顔を見せてくれた会長さん。
意外と、穏やかな人なんだろうか。
てか、ここってもしかして立入禁止?
何であれ、このままだと埒が明かない。
とりあえず謝るか。
「えっと、1年の市川涼です。庭園にワクワクして思わず入ってきちゃいました。すみません」
あ、やっべなんか正直に言い過ぎた気が。
やっぱりいらない正直さだったようで、会長からはぁ、と溜息が聞こえる。
「ここは、立入禁止だ。入口に書いてあっただろ?」
マジか、気付かなかった。
「見てなかったです。すみません」
立入禁止に気づかないとか俺、ヤバいな。
てかそれよりーー
「なんだ?」
「会長、赤ちゃんみたいで可愛いですね。」
「……は?」
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