エピソード2

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━━Side会長 二度目の謝罪があった後、申し訳無さそうな背中が、庭園から離れていく。 「はぁ、緊張した」 ぷつりと糸が切れたように視線を落とす。 予想もしなかった来客に、吐いた息までもが震えてしまう。 普段から、生徒会の人間ですら寄り付かない庭園だ。 学校内にも関わらず、自分の部屋の様に錯覚してしまっている。 それ故、自身の内側を見られたような羞恥を覚える。 何とかバレずに誤魔化せただろうか。 いや、俺の微かな動揺に、彼は気付いていたかもしれない。 彼に悪意が無かったから良かったとはいえ、少し弛んでいるな。 それにしても、可愛いだなんて訳がわからない。 でも、少しだけ彼に興味を惹かれている自分がいるのも事実だ。 「とりあえず、もっと分かりやすい位置に、立入禁止を示しておこうか」 そう思案しながら、真っ白なベンチに体重を預ける。 そして、ゆっくりと瞼を閉じ、もう一度眠りについた。
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