エピソード3

5/16
前へ
/54ページ
次へ
謝ったらとりあえずは機嫌を治してくれたようなので、いつも通り席につく。 そして、「いただきます」と手を合わせて、食べ始める。 今日は、ナポリタンだった。相変わらず美味しい。 白瀬は、いつも俺が食べるのを見てから食べはじめる。 こいつが言うには美味しそうに食べてるのを見てから食べたいんだそうだ。 俺的には、見られるのが恥ずかしいからやめてほしいんだけど。 「やっぱ、白瀬料理上手いな。美味しい」 「ふふっ、ありがとう。美味しそうに食べてくれるから、俺も嬉しいよ」 二人とも黙々と食べるタイプだから、食事中に会話をすることはあまり無い。 だから、沈黙であっても気を遣わなくていい相手が同室で良かったとつくづく思う。 いつものように黙々と食べ進めていると「あっ、そうだ」と声があがったので顔を上げた。 「明日から、弁当作ってあげようか?」 「弁当?」 「うん、毎日自分で弁当作ってるからついでに。どう?」 思ってもみなかった提案に驚く。 昼は大抵、綾瀬と食堂に行って済ませている。 この学校の食堂は、持ち込みOKだからこの提案は俺としては嬉しいんだけど。 ただでさえ、夕食を作ってもらってるからなあ。 白瀬自身のこともあるんだし、無理はさせられない。 「俺としてはむしろお願いしたいくらいなんだけど、2つ作るのって大変じゃないか?」 「全然、俺がやりたいことだからそんな心配しなくて良いよ」 「……そっか。なら、お願いしようかな」 とそう答えて気づく。 俺、やってもらってばかりだな。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加