エピソード1

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今すぐにでも高笑いしたい所だが、油断してはいけないと思い気を引き締める。 何故ならまだ、俺を安心させてくれない不安要素が残っているのだ。 それは俺がこれから通うことになる高校について、だ。 限界まで上を目指せ精神の母親の元に生まれた俺は、行く高校も完全に偏差値だけで決めた。 つまり、私立か公立かやら学校までの距離やらは二の次だったのだ。 志願のために学校へ行ってびっくり。 マジでリッチ。 急に語彙力無くなったなとか思っただろ。 見たら分かる。 その時にはもう引き返せないと覚悟を決めて受験し、無事合格したわけだが正直不安しかない。 不安要素その1、価値観の違いだ。 この学校に通う余裕がギリあるくらいの俺と、財閥のお坊ちゃまたちとの間に価値観の違いが存在することは明白だ。 友達作りが上手くいくか不安だ、というか友達なんて出来ない気がする。 だがしかし、 生憎俺は、ボッチで高校生活を乗り越える勇気なんて持ち合わせてないからな。 多少何かを犠牲にしても友達を作るしかない、とそう決意を固めた。 不安要素その2は、この学校が全寮制の男子校だということだ。 女子がいない=学校内で彼女を作れないって事だ。 幼い頃から姉の少女漫画を読んで育ってきた俺には酷な話だ。 高校で現れると思っていたヒロインのために努力してきた日々は何だったんだ。 そう意気消沈していた昔の俺に言ってやりたい。 問題はそこじゃない、と。 全寮制 金持ち 男子校と検索しているときに俺は目にしてしまったのだ。 ━━BLという文字を。
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