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飛んできたものは筆箱だったらしく、俺の顔面に直撃。
ということで俺は今、猛烈に謝られている。
なんでも筆箱を貸してくれという要望に答えて、入口近くの友人に投げて渡そうとしたらしい。
だがしかし、勢いをつけ過ぎたせいで間違ってこっちに飛んできたそうだ。
それにしても暴投過ぎるだろ。
「ほんっとにごめん!」
申し訳なさそうに言うその顔は、紛うことなきイケメン。
学園設定で言うところの爽やかくん的な?
マジでこんなイケメンいるんだな。
だが、相手が爽やかだろうが何だろうが関係ない。
この状況で俺が言うことなんて決まってる。
思わず怪訝な顔をしそうになったのを直前で止めて笑みを浮かべる。
「全然、気にしなくて大丈夫」
俺の少女漫画好きを舐めてもらっちゃ困る。
「……っ、ありがとう。優しいんだね」
さすが俺ーーって待てよなんか間違えてる気がする。
いやいや、これで悪い方には行かないはずだ。
そう自分に言い聞かせて納得させる。
とりあえず、優先すべきは友達づくりだ。
入学早々ボッチは嫌だからな。
絶対に友達を作るという確かな決意を胸に、爽やかくんに名前を聞いた。
綾瀬恵というらしい。
読みは、めぐみじゃなくてけい。まあ、名字で呼ぶから関係ないんだけど。
第一印象はヤバい奴だったが、話して分かったのは、見た目に違わず良い人だということだった。
新学期の不幸は断ち切れなかったが、なんとなく、それなりに楽しく過ごせそうな気がする。
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