エピソード1

8/11
前へ
/54ページ
次へ
「市川は、入る部活とか決めてる?」 「いや、別に入らなくていいかなって思ってる。綾瀬は?」 「俺はサッカー部かな」 そう微笑みながら言う綾瀬。 うん、だよな。 「ぽいな」 「そう?」 不思議そうな顔をしているが、何故かそれも絵になっている。 爽やかっすね、とかイケメンは違うわ、とか言ってやりたいけど、生憎まだ親愛度が足りないんで無理ですね。 そんなこと言ったら多分、いや確実にドン引きされる。 考えてみろ、男に褒められたって嬉しくないだろ。 俺は嬉しくない。 「市川?聞いてる?」 「あ、悪い、ぼーっとしてた」 「あはは、全然いいよ」 優しいかよ。 なんか余計に申し訳なくなってくる。 今度はしっかりと綾瀬の話を聞こうと意気込んだ、ところで教室に着いてしまった。 ちなみに、A組の担任は予想通りホストみたいな奴だった。 これもまた予想通り、歓声が凄かった。 先生の顔が無駄に良いのはなんなんだろうな。 生徒の安寧のためにおじいちゃん先生とかでいいと思うんですよ。 「おはよう。今日からお前らの担任になる神崎怜(かんざきれい)だ。よろしく」 たったこれだけの挨拶で、場が色めき立つのは一種の才能だなと思った。 そういえば俺が心配してた学園の顔面偏差値のことだが、中心人物がカンストしてるだけでモブはそこまで高くないらしい。 ちょっと失礼だけど周りを見て安心した。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

134人が本棚に入れています
本棚に追加