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エピローグ
広い玉座の間で、2人の男女が向かい合っていた。女は、シルバーを基調とした玉座に座って脚を組んでおり、彼女の前で小柄な男が跪いている。
「2年で死神を1万か。快挙だな」
「魔王様に称賛していただけるとは、恐悦至極でございます」
男は丁寧な口調で答えた。
魔王はその真摯な姿勢を見下ろし、意地悪な笑みを浮かべる。
「あの死神は相当の手練れだったからな。始末するまでに半年もかかるとは、さすがのお前も手こずったか」
「まさか。魔王様が唯一指名した死神でしたので、情報収集に時間をかけていただけです。意外とあっさり死んでくれましたよ」
「生意気を言う」
魔王は嘲笑うようにフンと鼻を鳴らした後、小さく微笑んだ。
「お前のような配下を持てた事を誇りに思う。おめでとう。祝いの準備はできているぞ」
そう言ってゆっくりと立ち上がり、部屋の出口へ向かう。広い部屋の中に、彼女の履くヒールの足音のみが鳴り響く。
魔王は扉の前で足を止め、振り返った。
「どうした、泣くほど嬉しいか?」
跪いたまま俯く彼の頬には、一筋の涙が流れていた。
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