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彼の幼馴染
お盆休みは、お互いの実家に数日戻る予定でいたが彼女は、お盆明けの仕事に追われてるようだった。
「キャー。」
彼女の書斎で叫び声がする・・朝。
最後の追い込みと彼女は、昨日から書斎にこもって仕事をしていたがそのまま寝てしまっていたのだろう。
よくある日常だからそれは問題ではなが・・あの叫び声は何回か聞いた事があった。
たぶん・・あれだ!
「どうした?」
「delete間違えて押しちゃった。」
あーやっぱり。
「私の2日間が~。」
「今年は、実家には帰らなくてもいいんじゃないか?どうせまたあーでもないこうでもないってなるしさ。」
彼女の実家も俺の実家も普通の日本人の家庭だから俺達の選択には良い顔はしていない。
「逃げるみたいで嫌だけど・・でも今回は私は無理かも。」
彼女は、どちらの親にも責められてるがそれでも義理は欠かさないんだから律儀だと俺は思う。
そんな彼女が今回は無理というくらい時間がないのだろう。
「バックアップあるんじゃないのか?」
「それがね、大幅に修正していて修正前のはあるのよね。だから資料と数字を確認しながら入れなおすのよ。」
「厳密に言うと昨日からの分のやり直しか?」
「うん。おお二日分じゃない、半日分だわ。」
俺は、そんな簡単な事も冷静に考えられないくらい寝ていないと判断した彼女の眼鏡を取ってディスクに置いた。
「んっ?何するの?」
「とりあえず寝ろ!」
俺は、彼女の膝裏に手を入れて強制的に抱き上げ寝室に運んでベッドに放り投げて寝かせる。
「仕事が。」
「今また仕事しても効率は良くないぞ。寝てからでいい。」
彼女は、お互いの実家に帰る為に詰めて仕事をしていたのだろう。
目の下には大きな隈ができていて目も赤い。
「今年は帰らない!だから寝ろ・・。」
ベッドに腰を掛けて彼女の頭を撫でると彼女は目を瞑って気持ちよさそうにする。
彼女は、こうやって頭を撫ぜられるのが好きだ数分もたたないのにスースーと寝息が聞こえてきた。
「頑張りすぎなんだよ。」
小声で俺はそう言うと自分も少し横になって寝たら寝入ってしまったようだった。
目が覚めると良い匂いがする、キッチンには既に起きた彼女がエプロンをして何かを作っているのだろう。
こういう時は寝た振りをする。
鶴の恩返しや小人の靴じゃないけど彼女は、料理している姿を見られるのを恥しがる。
そういう所もまた可愛い。
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