彼の幼馴染

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キッチンの物音が静かになった頃に起きて行くとテーブルには、カレードリアとサラダが用意されている。 「カレードリア!俺これ好きだ。」 「うん。冷凍庫にカレーがあったからそれでね作ったの。」 彼女のカレードリアは手が込んでいるんだ。 炊飯器の中のご飯をバターで炒めサフランパウダーを上手く使ってサフランライスにしてその上にカレーとチーズが定番だったりする。 「いただきます。旨い!」 「よかった。」 サラダも余っていたキャベツに干しブドウを上手く使ってマリネにしていた。 「ごめんね予定変更させてしまって。申し訳ないわ。」 「いいよ。俺も帰りたいわけじゃないしね。」 実は彼女が連休明けに仕事があると言っていたから帰らないかもと実家には、電話してあったんだ。 もし早く仕事が終わったら二人で近くにでも出かけたらいいと思っていたから。 遅い昼食が終わって彼女は、仕事に俺は後片付けをしていた時にピンポーンと玄関の呼び鈴がなった。 来客の予定も荷物が届く予定もなかったがカメラを確認するとそこには何年かぶりに会う俺の幼馴染が立っていた。 「久しぶりだな。」 ドアを開けると無遠慮に入ってくるこいつは鬼塚 幸太郎だ。 「なんだお前は急に。」 見るからにチャラそうなこの男はこう見えても老舗の旅館の若旦那だったりする。 有名な温泉街でも老舗の旅館の若旦那がこんな繁盛期に何をしに来たんだと思いながらリビングに通した。 「いや、今年は帰ってこないって言うからさ。」 手土産だとお菓子を手渡しながらそう言ったがその時にピンときた! この男は、純粋な日本男児で自分はチャラいくせに女は男の後ろをあるくべきという考え方の持ち主だ。 自分の母親がこの男を刺客に送り込んだと思って間違いないだろう。 「結婚は、していないよあえて言うなら事実婚だ。」 留美とこの男はおそらく水と油だろう。 「で、その事実婚の奥さんは何処にいるの?」 「ああ、仕事が詰まっているから書斎で仕事してるよ。」 怪訝な顔をしながら鬼塚は普通は客がきたら出てきて挨拶するのが普通だろう?と言い出した。 「女がやる仕事なんてたいした事ないだろう?」 「それは偏見だよ。」 彼女の仕事は、かなり複雑だったり繊細な仕事をしているし会社ではかなり活躍している。 「それより宿は、大丈夫なのか?」 「ああ、うちの妻が若女将で頑張ってるから俺は少し自由だよ。」 若女将になりたいからとこのチャラ男と結婚した若女将を俺達は勇者だと思っている。
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