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マザコンと孝行息子の違い
婚活パーティーの日は雨ではなく天気も良く身元詐称がない事から真剣に結婚を望む男女が集まっていた。
それぞれに相手をみつけて会話したりお互いに自由時間を過ごしているようだった。
パーティーの最期に恒例の男女共に気になる人の番号を書きお互いにもう少し知り合いたいというカップルが出来る事も多い。
今回で数回目になるがこの瞬間を見るのが好きな桃花だが気になる女性が一人いた。
三回ほど顔を見ている女性で親御さんが申し込んでの参加で本人はそう乗り気ではなさそうだと桃花は思っていた人だった。
「直君・・3番の彼女なんだけどね、毎回想う人がいないのかな。」
「私も気にはなっていたのよ。」
決して会員制になった会費やパーティーの参加費用は安くはないのに参加はしても相手を探している感じのしない彼女が気になって仕方ない。
桃花は、そんな彼女に声をかけてみようと毎回思うが中々声をかけきれずに気になって仕方なかった。
「あの・・もしこの後時間があるようでしたらお話聞かせてくれますか?」
今回は意を決してそう声をかけてみた桃花に彼女は「ええ。」と答えた。
そんな彼女の名前は鈴木 ルイ 33歳の女性で今日は淡い色のワンピースに黒い髪を顎のラインで切りそろえ化粧も上品な感じで育ちの良さを感じる女性だった。
こんなケースの為に個室を用意していた桃花達は彼女を個室へ誘った。
「急にお時間頂いてすいません。」
「いいえ、私も相談したいとは思っていたので。」
鈴木ルイもまた相談したいと思っていたが勇気がなくて声をかけれなかったというから今回の判断は間違っていなかったと桃花達は安堵した。
「何回かパーティーでお見掛けしていたのですが気になる男性がいないようでしたので気になったんです。」
「ええ、実は私には好きな人がいるんですというか付き合っていた人がいたのですが私の両親が特に母が彼との交際を反対しているんです。」
「といいますと?」
「彼がマザコンだから駄目だと言うんです。」
「詳しく話を教えてくれますか?」
鈴木ルイは2年前に出会った安達良太という男性と付き合っていたが彼女の両親が彼をマザコン認定したと事で無理やり別れさせて今に至るという話だった。
「それで、御両親がマザコンだと言った理由は?」
直哉は、言葉を選びながら彼女がから情報を聞き出していった。
「彼の母親が倒れた事もあり彼が実家で生活するようになったんです。彼は親孝行な人で病気になった母親を一人に出来なかっただけなんです。」
「鈴木さんの御両親がこの会に申し込みをしていますが・・貴女はまだ彼が好きなんですか?」
そう直哉が聞くと彼女は「ええ。忘れられない人です。」と涙を浮かべて答えた。
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