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安達良太は、朝普通に出勤して帰宅時に母親が入院している病院に寄り洗濯物などを持ち帰る。病院での聞き込みで解ったのは母親の
病気は脳の腫瘍で手術は成功したがリハビリが必要だという事でかなり回復しているらしい。母親一人で息子を育てていて優しい人だと周囲の人の評判は悪くない。
母親が病に倒れるまでは彼は、一人でワンルームに住んでいたが倒れ病状の説明を受けて同居したという事だった。
「なんだが切ないですね。」
桃花がそう言うと服部も同感ですと頷いた。
「僕が彼と同じ立場だとしても同じ行動しますね。」
「私は、彼女が彼が親孝行なだけだと言った事も解りますし今後の事は話し合うべきでしょうけれど親がどうこう言うのは違いますよね。」
「そうですね・・これは鈴木さんの家庭に問題がある可能性が出てきましたね・・。」
「鈴木さんの家庭ってご両親ですか?」
「ええ、そうです。娘を彼氏と別れさせて婚活させるなんてどうかと思いませんか?」
そう言われると桃花も鈴木ルイの両親の行動に疑問を感じ始めてきた。
結婚を反対するしないという話はまだわかるがすぐに彼を忘れさせる為だと思ったが婚活なんて強引すぎるし。希望シートに書かれていた次男で一人っ子不可そして鈴木ルイは一人娘。
鈴木ルイに聞き込みをする事にした二人は彼女の予定を聞きカフェで会う事にした。
「時間を頂すいません。」
桃花がそう言うと鈴木ルイは少し疲れた顔をしていいえと答えながら桃花と服部の前に座った。
「なんか疲れてますか?」
桃花は素直に聞いたら「ええ、少し両親が揉めまして。」と彼女は困った顔をして答えた。
「また何故?」
「父親は婚活を無理にさせる必要は無いし彼がまだ好きなら話し合えばいいと言ってくれたんです。でも母親が・・。」
「お母様が?」
「実はうちの家も祖母が亡くなるまで同居だったんです。昔の人で母に厳しい人だったみたいです。母と祖母が揉めた時に父が母ではなく自分の母親の肩を持った事が原因でずっと根に持っているんです。」
桃花も服部も流石にここで理解できた。
頑なに娘の結婚に反対する理由と彼をマザコンと決めつけた理由は自分の夫の過去と重ねて見てるからだと。
「ここまでの調査で安達良太さんの母親の評判は決して悪くはないですね。本来独立心の強い方で優しい人という情報です。」
「ええ、私もそう思います。」
服部はここで「彼と一度会いませんか?」と切り出した。
「でも彼はもう会ってくれないかもしれません。」
そう悲しそうに言う彼女だったが余裕顔で服部は「そんな事ないですよ。」と言ってスマホを操作して数分後に安達良太がやってきた。
「ルイ。」
「良太さん。」
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