マザコンと孝行息子の違い

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「お父さん。」 事務所にいたのは鈴木 ルイの父親だった。 「ルイ。この人が安達君だね。」 「安達良太と申します。ご挨拶が遅れて申し訳ないです。」 「いや。こちらこそ家内が失礼な事をしたようで申し訳ない。」 「お父さん、私・・。」 「ああ、解ってるよ二人はお互いを想い合っているんだろう?だったらそれでいい。お母さんの事は、お父さんがなんとかするから。それに今相談していたのは、三世帯用の家を計画していたんだよ。」 「そうよ。」 「へっ?」 桃花は、なんとなく状況が読めてきていた。 「直君もしかしてなの?」 「そうね・・彼等の場合はお互いが一人っ子でしょう?しかも彼女も仕事を持っていて彼もね。今回は、彼のお母様が倒れられたけれど次は解らないわけ。」 そう言いながら直哉はウィンクする。 「彼に言われてなるほどと思ったよ。」 直哉は、書類に書き込まれていた鈴木さんに連絡して今後の問題を提示したらしい。次男と呼ばれる人を婿として迎えたり結婚契約書で決まり事を作ったとしても上手くいくとは限らないという事。 昔と今は違い安達さんの行動は、決して非難される行動ではないと言う事とそういう人だからこそ話し合いでお互いに役割分担していけるのではないかと直哉が言うと確かにそうだとルイの父は、感銘を受けたらしい。 「お母さんを傷つけたのはお父さんなんだよ。昔の事だと思うが・・昔は嫁というのはある意味今と違って夫に従い義親に従うが当たり前だった。それが当たり前の時代で育ったから母の味方をするのは息子として当然だと思っていたんだ。」 昭和の時代から平成の時代は、混在する「結婚」の概念と親との付き合い方。 嫁に出たのだから貰ったのだからという概念がまだまだ強い時代は、確かに嫁は人ではなく物扱いの家庭も少なくない時代だ。 「今は、一人っ子が結構多いですし、彼らの場合は娘さんはいい人を選んでいると私も思いますよ。今は、親が倒れても施設を探す事や病院に任せて親を顧みない人も少なくはない。そういう男性は、家族を大事にしていけるでしょうか?」 桃花は、そう言うと安達の行動は人として当然の行動だと思うと話す。 「二人とも仕事をしているだろう?これから二人が結婚して子供が出来て確かに保育園もあるが孫が側にいる生活もいいと思うんだ。しかしこれは、お父さんの希望であって若い君達はどう思うかは話し合う必要があるが。」 「お母さんは反対するんじゃないの?話を聞こうとしない。」 一番の問題は、鈴木ルイの母親にあるとルイの懸念はここにいる全員がそう思っていたが父親は「だね。でもお父さんが説得するよ。」そういう父親の顔は自信ありげだった。
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