このお調子者め

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このお調子者め

 1週間後。ここは音楽室。吹奏楽部員全員が集められている。  私達の目の前にいる、顧問の弦井(つるい)先生が口を開く。 「実は僕ね、(ひらめ)いちゃったんですよ。3日前、お風呂に入ってたら、突然、閃いちゃったんです! あっ、これだ、これしかない! って。いやー、もうビビビ、ってキちゃいましてね。ですので、自由曲はこれにしました」  先生、あのパートリーダー会議は、いったいなんだったのでしょうか……  私達部員全員に配られた楽譜の1番上にはこう書かれていた。 『オーバッカーノの祝宴』  しまった…… ウチの部にはもう一人、天然がいたんだった……  目の前いるド天然教師も、やはり夏子を推してたんだった……  恐るべし、天然に愛されしおバカ。  職員室へ報告に行った時、むしろ積極的に、この曲だけはダメだと釘を刺しておけばよかった…… って言っても、そんなことは無理よね…… 「というわけで、ソリパートのオーボエ奏者については、ウチの部にはオーボエ担当は一人しかいないため、必然的に相田さんが担当することになるのですが、相田さん大丈夫ですか?」  ラストチャンス到来っ!!!  夏子、断りなさい! 自分はまだ1年だから不安ですって—— 「え? アタシ、やっちゃってイイんですか? ソリやっちゃってイイんですね? アタシ、やっちゃいますよ!」  ……どうやら夏子の頭の中には、不安という概念が存在しないようね。
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