1章

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 全員走る体力がなくなってきている。  一周走った千夏の顔が青白くなっている。 「せ、先生、や、休ませて・・・・・くだ、さい・・・・・・」  列から出て千夏は田丸に訴える。 「そんなの知ったこっちゃねぇ、走れ!」 「そうよ。何甘えてるの! 喘息だかなんだか知らないけど。軟弱モンがこの学校にいるなんて恥ずかしいわ」  問答無用で列に戻らせる田丸。  さらに追い詰める校長。  千夏は胸ポケットから吸入薬を取り出そうとした瞬間――。 「授業に関係ないものなんか持って来るな!」  田丸が更に怒鳴る。 「これは彼女が応急処置で持ち歩いてるんです」  真凜は言い返す。 「さっきからお前はうるせーなー。俺様に逆らう気か? 失せろ!」  田丸は真凜の右足に蹴りを入れる。そして、千夏の吸入薬を取り上げて、体育館の舞台袖に投げ捨てた。  一同が凍りつく。  千夏は体力を消耗し、座り込んだ。 「おい立て! このグズが!」
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