1章

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 ネットで公表しているプロフィールも写真が趣味と濁している。  実際電車以外にも野鳥や風景も撮っているから嘘はついていない。    メインディッシュが出た頃、お店に男女の来店者が二名。  女性の方は鼠色のスーツにショートカット。化粧が控えめだろう。年齢的にに五十代ぐらいか。  男性の方は――青のジャージ上下で、腕組んで店員と女性のやり取りを見てるだけ。  所々聞こえる会話から予約してなさそうだ。  二人は案内され、窓側の席についた。  その斜めに自分がいる。    うわぁ、こんな所にジャージで来るか?!  もうちょい考えろよ。  紺のシャツに白の半ズボンに柄物のサンダルの自分も人のこといえないか。  この格好はプロフィール写真と同じものである。  すぐ見てわかるようにしたのに。  店員に注文を聞かれ「白ワイン二つ」と女性が答える。 「……あの人亡くなったわ。これからどうする?」
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