2章

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2章

 初夏がそろそろ近づいてくる。  商店街は昼間にも関わらず、シャッターが閉まっていて薄暗さがある。  まばらに通り過ぎる人が見えるぐらいだ。  老朽化や不景気の煽りや店主の高齢化、跡継ぎがいないなど閉店の理由は様々だ。  大半がシャッター街であるが、唯一人がそれなりに来るテナントがある――よろず屋ななつ星である。  正確に言うと商店街の路地裏にあるそれは、商店街の中でも新しい外観で清潔感がある。  は自分のデスクで動画とにらめっこをしていた。  これはある学校の保護者会の様子。  動画の日付は四月十五日の火曜日の十八時頃。 『残念な形になりましたが、皆様にはご不安にさせたこと、騒ぎを起こしてしまい申し訳ございません。――この方は本校の生徒ではありません!』 『そして、発見及び救急車の手配をされた警備員と生徒数名にはそれ相応の処分を致します』
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