あれから3年が経ちました

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あれから3年が経ちました

あの事件から3年が過ぎた。 雪菜はセカンドマネージャーとして 柏原店で勤務していた。 今では女性店長である 桂子のサポートをしている。 理恵は誠司と結婚をして専業主婦となった。 今では二児の母親となって 家事と育児に奮闘していた。 そんななかで雪菜にも 人生の春が来たようだ。 そう、桂子の兄である彰と 結婚を前提に交際をしていた。 彰はマクドナルド松原店で 店長として働いている。 桂子がマクドナルドに入ったのは 兄の彰を間近に見ていたからだ。 「あたし、お兄ちゃんに憧れて マックに入ったのよね」 「桂子が雪菜と一緒に バイトに来たのが懐かしいよ」 桂子は兄の彰が親友の雪菜と 交際したことを喜んでいた。 「雪菜、お兄ちゃんをよろしくね」 「桂子、これからもよろしくね」 「こちらこそ」 雪菜がセカンドマネージャーとなったのは 彰の助言があったからだ。 「雪菜はお客様に優しく接している。 今のスウィングマネージャーでなく 正社員として仕事していいと思うよ」 このことがきっかけで雪菜は 正社員となるための研修を受けた。 正社員となった雪菜は、 柏原店で勤務することになった。 仕事もプライベートも順風満帆で 久雄のことも忘れていこうとしていた。 ところがある日のこと、 雪菜は彰と一緒に実家に来ていた。 この時に久雄と三千代と出くわしたのだ。 雪菜と彰は無視をして立ち去ろうとした。 その時、三千代が雪菜を睨んでいた。 それを見た彰は、久雄と三千代に 雪菜が言おうとしたことを代弁していた。 「あなたがた、僕の店に 面接に来た方ですね。 あなたがたはブラックリストとして 本社から注意喚起があったんですよ」 「どういうこと?」 「僕の婚約者を苦しめたと聞いていますよ」 「婚約者はオレだぞ!」 「元カレで元婚約者の間違いですね。 今の雪菜は僕の婚約者です」 「なんで? 自分だけ幸せになるなんてズルい!」 三千代は雪菜への慰謝料を払ってから 実家を勘当されて久雄の許に来ていた。 それを機会に久雄と三千代は 同棲生活を始めたのだが、 二人とも定職に就くことができなかった。 その様子を見ていた雪菜は、 自分の携帯から110番通報していた。 「おまえ、なにしてんだ!」 久雄は雪菜にたたこうとしていた。 この時、近所の方の通報で おまわりさんが到着していた。 「通報があったので来ました。 おケガはありませんか?」 おまわりさんの到着にビビった三千代は その場を立ち去ろうとしていた。 しかし、久雄はおまわりさんに 「オレは雪菜の婚約者だ!」 と言って暴れたために 公務執行妨害で逮捕された。 三千代も接見禁止令を破ったので 警察に連れて行かれた。 パトカーに乗せられた二人は 不機嫌な顔をしていた。 この事件が起こったことで 久雄と三千代に会うことはなかった。 久雄と三千代は、警察に行った後 取り調べで余罪が出たことで 塀の中でのお勤めが決まったのだ。 これで自由になれる。 もう怯えることはない。 雪菜は新しい人生を婚約者の彰と 生きていく未来に思いをはせていた。
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