平穏な時間が訪れた時

1/1
前へ
/17ページ
次へ

平穏な時間が訪れた時

久雄と三千代が獄寒の刑務所に行ったことで 雪菜は彰との新婚生活を送っていた。 婚姻届を出してから4カ月過ぎた頃、 雪菜は専業主婦として家庭を守っていた。 これまで久雄と三千代の影に怯えていた 雪菜に平穏な時間が訪れていた。 そのタイミングで雪菜は、 実家の両親から元カレの久雄と 略奪女の三千代の近況を聞くことになった。 「あの男の両親が経営している会社が 倒産したそうだ。取引先から犯罪者のいる 会社では取引できないと言われたらしい」 雪菜は父から久雄と 三千代の末路を聞いていた。 久雄と三千代が獄寒の刑務所に 放り込まれたことでそれぞれの家族が 住んでいた家を手放した。 久雄と三千代は接見禁止命令を 無視したことでそれぞれの家族が 自営でやっている会社が倒産して 借金を抱えることになった。 「その話は店長会議で注意喚起として 共有している案件でした。 あの二人に天罰が下せてよかったです」 久雄と三千代が獄寒の刑務所に行ったことで それぞれの家族が雪菜の実家に謝罪した。 久雄と三千代の接見禁止と同時に それぞれの家族にも接見禁止を 警察から取り付けていた。 そのため、警察に通報となり 問答無用でテイクアウトされていった。 久雄と三千代に対して被害届を出してから それぞれの両親が取り下げてほしいと 実家に来ていたということだった。 「転居先についてはこちらで 根回ししたことで私たちの今の家を 知ることはできないだろう」 「お義父さんたちが生まれ故郷に 転居してよかったです」 雪菜の両親は雪菜の結婚を見届けてから 父親の生まれ故郷の和歌山県に移り住んだ。 実家の引っ越しを知らないで 久雄と三千代の両親たちは 前に住んでいた家に訪問したが、 現在の住人から通報されて 警察へテイクアウトとなった。 「もう呪縛から解き放たれた。 これからは自分の幸せを考えなさい」 「お父さん、ありがとう」 「彰くん、雪菜を頼むよ」 「わかりました」 これからは久雄と三千代の影に 怯えることはない。 久雄と三千代に天罰が下って 永久に戻ることはないだろう。 ある意味で社会的制裁が下ったことで 雪菜は彰と幸せになることができた。 そのことから雪菜に肩の荷が降りた。 この幸せを邪魔するヤツは 誰であっても許すことはできない。 久雄と三千代、それぞれの家族も 接見禁止令を下っている。 これらの命令を無視すれば 警察にテイクアウトとなっている。 このことで久雄と三千代の影に 怯えることはもうないだろう。 この幸せを噛みしめて 前を向いて歩いていくだろう。 この幸せを静かに受け入れようと 雪菜は思っていた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加