家族という砦ができた時

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家族という砦ができた時

彰と雪菜が結婚をしてから5年がたった。 その年月の中で新しい家族が増えていた。 長男の和樹、長女の麻耶、次女の沙耶が 立て続けに産まれた。 今の雪菜は3人の子供の母親となって 育児に奮闘していた。 これまで松原店で勤務していた彰は、 人事異動で堺東店の店長となった。 「桂子から雪菜のことは聞いていた。 結婚式が決まった矢先に浮気をした 最低男がいるってな」 「桂子には助けられてばかりだわ」 「あいつは曲がったことが大嫌いで おまえの代わりに復讐してやると 息まいていたんだぞ」 「そんなことを思ってくれたんだ」 「おまえが睡眠薬を飲んだ時に 桂子は探偵に依頼して 二人の証拠を集めたんだ。 証拠がそろったところで 本部長に全部提出したんだ」 この後、久雄は古市店の店長から 懲戒解雇を言い渡された。 三千代は謹慎処分を受けていたが、 雪菜から慰謝料、入院費、治療費を 請求する内容証明が届いたことで 謹慎から解雇となった。 久雄と三千代が雪菜から消えたことで 心穏やかに生活することができた。 そして、雪菜を心配して助けてくれた 誠司が彰のいる堺東店に異動してきた。 誠司と結婚した理恵は雪菜のママ友として 近所づきあいをしていった。 誠司と理恵には長女綾香、次女明日香、 三女愛梨沙が生まれた。 今では理恵と雪菜は子供たちを通じて ママ友としてつながっている。 そんななかで二人は児童館や公園で 子供たちを交えて交流を深めていった。 ある日、雪菜は理恵と公園に来ていた。 「雪菜さんが元気になってよかった」 「理恵ちゃんと誠司さんのおかげよ」 「今の雪菜さんは昔の古傷が消えましたね。 彰店長のおかげですね」 「そうね、彰と出会ったのが 私の悲しみを忘れさせてくれたわ」 「これからは子供たちが 幸せを運んでくれますよ」 「そうなるといいわね。 理恵ちゃん、これからもよろしくね」 「こちらこそです」 雪菜と理恵はママ友として これからも絆を深めていくだろう。 そして、家族という砦を持ったことで 雪菜は妻として母として強くなって 砦を守っていこうと決意していた。
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