幸せの光がさした時

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幸せの光がさした時

雪菜は彰と幸せに暮らしていた。 彰との間に生まれた3人の子供たちも すくすくと成長していった。 久雄に裏切られたことで 一度は自らの命を絶とうとした 弱い心を持った雪菜はもういない。 あの時、命を失くしていたら 彰に出会うこともなかっただろう。 雪菜に命を落とす行為をさせた 久雄と三千代は永久に出会うことはない。 この年月の間に三千代は久雄と別れて 生まれ故郷に戻っていた。 久雄は昔のように女を侍らすことに 一生懸命になっていた。 雪菜の自殺未遂から15年、 久雄はメタボ体型の中年になっていた。 そんななかで女性を口説こうとしても 空振りに終わっているそうだ。 その様子を誠司から聞いた時は、 みんなでおなかを抱えて大笑いした。 「あいつは三千代に逃げられてから 既婚女性と関係を持って相手のダンナから 慰謝料を請求されているらしいぞ。 そのせいもあってメタボ体型になって 女性から無視されているよ」 「天罰が下ってよかった。 あのまま社会的制裁がなかったら あいつは今でも女を侍らすのを ステータスとしていただろうな」 「あいつは刑務所に入って正解ですよ。 それに、あいつが接見禁止を無視したら 警察が黙っていないでしょうね」 彰と誠司はこの15年の間、 マクドナルドで責任ある立場となった。 彰は本部長になって担当エリアの店を 巡回する立場となっていた。 誠司も店長となって責任ある立場となった。 「誠司くんがオレの部下として働く日が 楽しみになっているよ」 「ありがとうございます。 彰さんの許で働けるように頑張ります」 「期待しているよ」 雪菜にとって苦しく悲しい日々は 長い年月が忘れさせていった。 これからは家族のために 愛する夫と共に天寿を全うするまで 生きていくことを願ってやまないと 雪菜はそう思っていた。
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