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彼氏の浮気
ある日、雪菜はいつものように
マクドナルドでバイトをしていた。
閉店時間となり後片付けをしていた。
「終わったね」
「雪菜さん、お疲れ様でした」
「理恵ちゃん、お疲れ様」
「雪菜さん、帰る時に
私の家に寄ってくれますか?」
「いいわよ」
理恵は雪菜のことを姉のように慕っていた。
そんな雪菜が何も知らないというのは
絶対に許せないと思っていた。
それは理恵が雪菜と入るシフトの前のこと、
雪菜の恋人である久雄が同期の三千代と
抱き合ってキスをしていたのだ。
二人は三千代のアパートに消えていった。
理恵は久雄と三千代が許せなくなり、
三千代のアパートまでつけていった。
そこで恋人のように腕を組んでいた
二人に理恵は問い詰めた。
「久雄さん、どういうつもりですか?
このことは雪菜さんに話します。
三千代、あんた最低だね。
知らないとはいえ雪菜さんを
傷つけたことは絶対に許さない。
あんたとは絶交だよ」
「おまえ、誠司にもチクるのか?
誠司にチクられたら店長たちに
話がまわって最悪クビだ」
「あんたたちの自業自得だよ!
誠司はおろか店長と正志さんに報告するよ。
二人仲良く地獄に落ちろ!」
理恵はそう言うと立ち去った。
怒りが込み上げてきた理恵は
同棲している誠司に詳細を説明した。
誠司は理恵の話を聞いて
思い当たる節があった。
久雄は女性にだらしがない。
何人もの女性にアタックして
付き合うことをステータスとしていた。
完全に女性の敵である。
その出来事があって2日後のこと、
理恵が雪菜と同じシフトだったので
雪菜を部屋に招いた。
雪菜が部屋に入ると誠司が帰っていた。
「おかえり」
「こんばんは、誠司さん。
お疲れの時にごめんなさいね」
「気にしなくていいですよ。
理恵は雪菜さんの妹分と思っていますから」
「頼りになる妹分でありがたいわ」
コーヒーを飲んで3人は、
和気あいあいと談笑をしていた。
そして誠司から理恵が見た
久雄と三千代のことを話した。
誠司の話を淡々と聞いた雪菜は
肩を震わせて泣いていた。
「私、久雄と結婚を考えていたのに」
「雪菜さん、久雄のために
貴重な人生を潰すことないよ」
「そうですよ、私は雪菜さんから
諸悪の根源である久雄と三千代を
助けられたと思っています。
私と誠司は雪菜さんの味方です」
「ありがとう、理恵ちゃん。
ありがとう、誠司さん」
雪菜は、このことで心が砕けていた。
これが後になって、
雪菜が自らの命を絶つという
事件になろうとは知る由もなかった。
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