1.日常が変化する時はいつも、雨の音がする

1/8
前へ
/37ページ
次へ

1.日常が変化する時はいつも、雨の音がする

  完全に迂闊だった。 「………ごめん、」   なんで謝るの?と、彼は訊く。   涙で濡れた瞳は少し扇情的で、おれはぎくりとした。  なんて不器用な口付けだっただろうかと、反省した。 「………順番が、逆になっちゃったから」 おれは『なんで?』の問いに答える。 「おれ、お前のこと……………多分、もう好き。……凄く、好き……………かも」 「かも、って…」 彼はふにゃりと、顔を崩して笑った。 嬉しい、と紡がれた言葉の後、またおれ達は唇を重ねた。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

134人が本棚に入れています
本棚に追加