134人が本棚に入れています
本棚に追加
1.日常が変化する時はいつも、雨の音がする
完全に迂闊だった。
「………ごめん、」
なんで謝るの?と、彼は訊く。
涙で濡れた瞳は少し扇情的で、おれはぎくりとした。
なんて不器用な口付けだっただろうかと、反省した。
「………順番が、逆になっちゃったから」
おれは『なんで?』の問いに答える。
「おれ、お前のこと……………多分、もう好き。……凄く、好き……………かも」
「かも、って…」
彼はふにゃりと、顔を崩して笑った。
嬉しい、と紡がれた言葉の後、またおれ達は唇を重ねた。
最初のコメントを投稿しよう!