ペンペンが語る 森友物語

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ペンペンが語る 森友物語 プロローグ 2020年7月15日、一人の婦人が涙にむせびながら、大阪地裁の法廷で陳述していた。 私の夫、赤木俊夫は決裁文書を改ざんしたことを悔やみ、自ら人生の終止符を打ちました。2018年3月7日のことです。夫は震える手で遺書や手記を残してくれました。私は夫の死後2年経過した2020年3月18日、やっと遺書や手記を公表しました。そして、同じ日に、夫が自ら命を絶った原因と経緯を明らかにし、夫と同じように国家公務員が死に追い詰められることがないようにするため、そして、事実を公的な場所で説明したかったという夫の遺志を継ぐため、国と佐川さんを訴えるところまで進みました。以下、この訴訟に対する私の思いを陳述させて頂きます。夫は、亡くなるおよそ1年前である2017年2月26日の日曜日、私と神戸市内の梅林公園にいた時、近畿財務局の上司に呼び出され、森友学園への国有地払い下げに関する決裁文書を改ざんしました。決裁文書を書き換えることは犯罪です。夫は「私の雇い主は日本国民。国民のために仕事ができる国家公務員に誇りを持っています」と生前知人に話していたほど国家公務員の仕事に誇りを持っていました。 赤木夫人は、傍聴席の一端に強い決意をにじませた顔を一瞬向けた後、国家公務員倫理カードの文言を決然と言い放った。 国民全体の奉仕者であることを自覚し、公正に職務を執行していますか? 職務や地位を私的利益のために用いていませんか? 国民の疑惑や不信を招くような行為をしていませんか?  赤木夫人の陳述が続く。 そのような夫が、あろうことか、決裁文書の書き換えというとんでもない犯罪を強制されたのです。一体誰のために、何のために、こんなことを強制されたのでしょうか。夫の残した手記によると、夫は改ざんを指示された際に「抵抗した」とあります。また私は、夫は改ざんに最初から反対していたと、夫の死後、夫の上司からも聞きました。夫が決裁文書の改ざんによって受けた心の痛みはどれだけのものだったでしょうか。他の素晴らしい官僚の方々と同様、国家公務員としての誇りを失ったでしょうし、強い自責の念にも襲われたはずです。訴訟の手続きは私には難しくてわかりませんが、ぜひとも夫が自ら命を絶った原因と経緯が明らかになるように訴訟を進めてください。夫が作成したファイルを含めてできるだけたくさんの資料を集め、できるだけたくさんの人の尋問を行って事実を明らかにしてください。そしてその上で、公正な判決を下してください。よろしくお願い致します。  裁判官に向かって赤木夫人はていねいにお辞儀をし、その場を離れた。 第一章 籠池編  その日、つまり7月16日木曜日、僕は、非難が殺到しているGo To キャンペーンについて、自分のアパートでネット検索していた。シンクタンクという業界ゆえに在宅勤務が可能だったからだ。それまで「ステイホーム!」とうるさかったにもかかわらず、今度は外出を奨励する政策。出るわ、出るわ。JTBのための政策だと指摘する記事がたくさん投稿されており、すぐに納得した。まったく自公政権というのは、相変わらず利権まみれだなあと憤慨していると、突然ペンペンが現われた。 「JTBだけじゃないよ」 「ぺんぺん! うれしいなあ、現れてくれて。JTB以外と言うと、たとえばどこ?」 「ここ」 と、ペンペンはそのかわいらしい腕を指揮者のごとく振ると、いつものようにベッドと冷蔵庫の間の空間にホログラムを出現させ、高画質の画像を映した。 淡路島GRAND CHARIOT 北斗七星 「なっ、なんときれいな。すごい施設だねえ。ここはどこ?」 「淡路島GRAND CHARIOT 北斗七星」 「それでここがどうしたの?」 「パソナグループのこの施設もステイホームで大打撃を受けたんだよ」 そうか。今度は、いや今度も竹中平蔵に忖度か。ためいきをつきながら検索している間に、朝日新聞の「赤木夫人、法廷で陳述」という記事がたまたま僕の眼にとまった。 「忖度と言えば、この森友事件をきっかけに、忖度という言葉が相当使われ出したんだよね」 「嘘つきは安倍の始まり、ともよく言われているようだね」 「一体、どういう理由でそんなに忖度しなきゃならなかったの?」 「この問題も相当根深いよ」 「根深いって、新聞テレビで報道されている内容はやっぱり表面的なものにすぎないってこと?」 「そう。関心あるようだから、詳しく説明してあげるね」 と言って、ペンペンは卓球の宇田幸也選手にも劣らぬ素早い腕の一振りで、ホログラムの中に、数人の園児たちが運動場で右手を上に向けて唱和している映像を映し出した。 「大人の人たちは、日本が他の国々に負けぬよう、尖閣諸島、竹島、北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が心改め、歴史教科書で嘘を教えないようお願いいたします。安倍首相がんばれ。安倍首相がんばれ」  園児たちの後ろで立って聞いていた父兄たちに混じり、安倍昭恵夫人が涙ぐんでいた。目が点になっていたと自覚できるくらい僕は驚いた。 「これって幼稚園児でしょう?」 「そうだよ」  ペンペンがさらりと言う。なるほど、安倍夫妻が応援していたわけだ。国会の映像に切り替わった。2012年12月26日の衆議院本会議の映像だった。伊吹文明議長がマイクに向かって話している。 「右の結果、安倍晋三君を衆議院規則第18条2項により本院において内閣総理大臣に指名することに決まりました」  311後まもなく2年になろうとしている中で、安倍晋三が「危機突破内閣」と自ら命名したこの内閣では、麻生太郎が副総理兼財務大臣、下村博文が初入閣で文部科学大臣、甘利明が内閣府特命経済財政政策担当大臣、稲田朋美が内閣府特命規制改革担当大臣、菅義偉が官房長官に就任した。いずれも利権を象徴する真っ黒な人物ばかりである。小泉政権と決定的に異なる点があった。それは、結論が先に決まっている点だった。それまでは、担当大臣と他の議員の間でそこそこの議論がなされていたのだが、第二次安倍政権からは、官邸主導で結論が決められるようになった。しかも、今井尚哉(いまいたかや)が総理補佐官、佐伯耕三が総理秘書官に任命されたように、大きな影響力を持つ省庁が財務省から経済産業省に切り替わった。そのため、霞が関の官僚たちの間でも、経済産業省が幅を利かせるようになった。良心的な官僚が正論を主張しても、竹中平蔵を通してグローバリストたち、つまり、庶民の生活などまったく配慮せず、ひたすらパソナと海外多国籍企業を含む大企業のために働く竹中平蔵に操られる菅義偉に叱られるだけだったので、経済産業省利権グループがこの世の春を謳歌し始めた。  なぜ突然、経済産業省が財務省から主導的立場を奪えたのか。経済産業省が、霞が関での自分たちの立場を強化するよりも、永田町の官邸に人材を送り込むことに力を入れたからだと言われている。そうした邪な欲望を利用する奸智だけには長けている安倍晋三は、巧みに経済産業省利権グループを活用し、経済産業省の方策は見事功を奏した。割りを食ったのが財務省で、過去の栄光を取り戻そうとする中で森友事件が起きた。  元衆院議長の伊吹文明をして「全ての辻つまがキチンと合わないと納得しない。役人の鑑のような人物だった」と言わせた典型的な完璧主義者・パワハラ上司である佐川宣寿に関して「もう川を渡った」という記事を文春オンラインが載せている。それによると、安倍晋三が、財政再建よりも経済成長を優先させるため、向こう岸の意味であるアベノミクスに着手する、今までは旧大蔵省=財務省が最強官庁、「我々こそ日本国そのもの」だったが、異次元の金融緩和を含む三本の矢で長期政権を目指した安倍は、財務省を官邸中枢からとことん遠ざけ、重要情報から徹底的に遮断して策動を鈍らせたという。側近の首席首相秘書官に、第一次内閣時から気心が知れている経産官僚の今井尚哉を据え、財務省が送り込んだ首相秘書官の中江元哉(なかえもとや)も今井の壁に阻まれる。 「遠のく官邸との間合いをどう詰め、19年10月まで実施が延びた消費税増税への道筋をつけ直すのか。17年前半はお先真っ暗から手探りを再開した時期だった。そこへ勃発した森友問題。佐川の活躍はかすかな光明にすら思えた。この対応にはどんな些細なミスも許されない。これが理財局で改ざんが進む前後の省内の空気だ」、 そして 「理財局長の佐川(57年)が同期の迫田英典の後の国税庁長官になったことで、森友問題の論功行賞かと取りざたされたが、実際は省内秩序通りの年次順送り人事。57年組で三番手の扱いに過ぎなかった」 と記事は続けていた。記事の通りだと思うが、何よりもはっきりしていることは、国民の命、生活など二の次だということだ。 映像が森友問題に戻った。お国のため戦前のような教育機関を復活させんとする使命に燃えていた籠池は、2012年時点で路線価に基づく国有財産台帳の価格が7億6302万円の豊中市の国有地に目を付けた。そこは、1974年に伊丹空港周辺の騒音対策区域に指定され、後に大阪航空局の財産となっていた土地で、大阪航空局の試掘調査で砒素・鉛の土壌汚染、ごみの存在が判明したが、大阪音大による7億円での購入希望、そして鑑定額より安いという理由による却下という経緯をたどっている。それを受けて2013年3月にこの土地の公募が出されていた。 資金に乏しいため、籠池は購入ではなく、借地を近畿財務局に希望した。だが、近畿財務局の回答は「学校の場合は購入のみ」というすげないものだった。打ち出の小槌を持っているわけでもない籠池は悩む。ぐずぐずしていると、戦後の堕落教育により、日本の若者は全員軟弱になってしまう。スクリーン、スポーツ、スピードの3S政策により、日本は骨抜きにされてしまう。安岡正篤が、日本の占領政策の重点施策として武装解除、軍国主義排除、工業生産力破壊、中心勢力解体、民主化を掲げ、その補助政策としてこの3S政策が遂行されているのだ。その通りになっているではないか。もやしみたいなくねくねした男たちがもてはやされる映画やテレビドラマ。論語のような古き良き知恵を学ぶことなくプロ野球やサッカーにうつつを抜かす若者。自分ではなく機械が運んでいるのにすぎないのに高速で走っていると錯覚させる自動車。それを加速させているのが日教組であり野党なのだ。明治維新の頃の精神に立ち返り、この国を再健しなくては。だからこそ日本会議のメンバーになっているのであり、百田尚樹氏や青山繁晴議員たちにも来て講演してもらっているのだ。ここはやはり、参院特別委員会委員長として安保法制の強行採決時に要の役割を果たした参院大物議員、鴻池祥肇議員に動いていただこう。麻生派の筆頭家老と呼ばれるくらいの麻生太郎の側近中の側近で、近畿財務局を統括する財務省の最高責任者の子飼いの議員。5年前の7月にも我が塚本幼稚園で「教育再生地方議員百人と市民の会」の定期総会の基調講演をしていただいたから、接点もある。理想が同じなのだから、動いてくれるだろう。利権という大前提の中での理想ということに考えが至らない籠池はためらいもなく実行した。 8月5日、籠池泰典氏が来訪。塚本幼稚園が小学校設立希望の件。豊中市の国有地借地を希望。近畿財務局より「学校の場合は購入のみ」と回答あり。「ついては8年間の借地にてその後購入とできないか」 (2017年3月1日 参議院予算会で日本共産党小池晃議員が暴露した鴻池祥肇氏の面談記録) 9月1日には、籠池は近畿財務局に問題の土地の取得要望書を提出。 9月13日。籠池氏から相談あり。「9月12日、大阪府庁に近畿財務局の国有財産管理官が来て、小学校設立認可のお墨付きが必要と。大阪府は土地貸借の決定が必要と。鶏と卵の話。なんとかしてや」 (2017年3月1日 参議院予算会で日本共産党小池晃議員が暴露した鴻池祥肇氏の面談記録) 鴻池祥肇氏への働きかけが功を奏し、後でも述べるが、最終的には2015年5月に月額227万円、年額2730万円で定期借地契約が締結される。一方、森友学園経営の塚本幼稚園での戦前回帰教育は続いていた。2014年2月23日、建国記念日の日だった。幼稚園では特別行事の日として休日にはせず、園児たちが講堂に集められていた。平成天皇夫妻の写真が飾られており、籠池が号令をかけて、園児たちに敬礼させる。当然、職員たちも率先して見本を示す。続いて籠池は、教育勅語と十二の徳目を、100人を超える園児たちとともに声高らかに唱和し始めた。 朕(ちん)がおもふに、我が御祖先の方々が国をおはじめになったことは極めて広遠であり、………又、我が臣民はよく忠にはげみよく孝をつくし、………汝臣民は、父母に孝行をつくし、兄弟姉妹仲よくし、………常に皇室典範並びに憲法を始め諸々の法令を尊重遵守し、万一危急の大事が起つたならば、大義に基づいて勇気をふるひ一身を捧げて皇室国家の為につくせ。………恭倹(きょうけん)己を持(じ)し、博愛衆に及ぼし、……… 続いて籠池は長々とした訓話を語り始めた。 みなさんが唱えているこの勅語は、明治天皇陛下がおつくりになったものなんです。………みなさんがまだ生まれていない平成7年(1995年)に、この辺一体が、阪神淡路大震災という大きな地震に襲われて、大変な被害を受けてしまったのです。ところがそのときに日本人が見せた矜持、行動はとても素晴らしかったのです。………そういった矜持、行動を生み出しているものが、みなさんがこうして唱和している教育勅語なのです。 最後に君が代を斉唱して、長い行事が終了した。 こうした行事は、2014年4月25日の昭恵夫人による塚本幼稚園訪問の際披露され、2015年1月8日には、「安倍首相夫人・アッキーも感涙…園児に教育勅語教える「愛国」幼稚園」というタイトルの以下のような記事が産経新聞のウェブサイト「産経WEST」に掲載され、話題になった。 (前略)  昭恵夫人は昨年4月、同園の視察と教職員研修のため訪れたとき、鼓笛隊の規律正しいふるまいに感動の声を上げた。さらに、籠池園長から「安倍首相ってどんな人ですか?」と問いかけられた園児らが「日本を守ってくれる人」と答える姿を見て、涙を浮かべ、言葉を詰まらせながらこう話したという。  「ありがとう。(安倍首相に)ちゃんと伝えます」 子供と教師が「なあなあ」でいいのか  同園は昭和25(1950)年の開園。全国初の学校法人立幼稚園だという。  籠池園長の就任は61年。他の幼稚園関係者との会話の中で、前職の公務員時代に抱いていた思いが頭をもたげてきた。  「教育関係者と接していたとき、教師と教え子の“なあなあ言葉”での会話を聞いたり、教師のジャージー姿を目にしたりするにつけ、違和感を覚えました。根底に幼児期の『徳育』の欠如があるのでは、と感じたんです。園の先生たちと話していて、改めてその思いが強くなったんです」  そんなとき、平成7(1995)年1月、阪神大震災が起きた。  「あのときの日本人の行動には、人としての矜持があった。この矜持を育むことこそ教育。それから当園の教育の根幹を12の徳目に置き、『教育勅語』や『五箇条の御誓文』の朗唱を始めたんです」  12の徳目とは、親や先祖を大切に▽兄弟姉妹は仲良く▽夫婦はいつも仲睦まじく▽友達はお互いに信じ合い▽自分の言動をつつしみ▽広くすべての人に愛の手を差しのべ▽勉学に励み職業を身につけ▽知識を高め才能を伸ばし▽人格の向上につとめ▽広く世の人々や社会のためにつくし▽規則に従い社会の秩序を守り▽正しい勇気を持って世のため国のためにつくす--その基となっているのが「教育勅語」なのだという。  また、基礎体力作りとしての剣道、スイミング、ラグビーや、日本の伝統文化を身につけるための将棋、そろばん、論語、書道。また、創造性を養うものとして、鼓笛隊や大正琴、日本太鼓も授業に組み入れた。 せっかく身につけたことが…  籠池園長は現在、大阪府豊中市に私立小学校「瑞穂の國記念小學院」の建設を進めている。開校は平成28年4月を予定。目指すのは「礼節を尊び、愛国心と誇りを育てる」教育だ。 (引用元:2015年1月8日、産経WEST) 「すごい戦前回帰教育だねえ」 という平和ボケ若者の代表のような僕のコメントに対し、ペンペンが切り込んでくる。 「こういった動きを当然のように思っている政治家やその周辺の人物たちがいっぱいいるんだよ」 「たっ、たとえば?」 「当時防衛大臣だった稲田朋美がいるよ。籠池と面識がないと弁明していた安倍晋三の嘘がばれ始めたのと同じで、稲田朋美も籠池と面識を国会で追及されたとき、稲田朋美も『面識はあるが、どういった機会で会ったか定かではない』、塚本幼稚園に関しても『聞いたことはありますけれど、その程度でございます』と答弁していたんだよ。ところが、日本共産党宮本徹議員が防衛省から入手した資料で、籠池が防衛省から5回も感謝状を受け取っていたんだね」 「どうしたら5回も感謝状をもらえるの?」 「塚本幼稚園の園児たちを防衛省所管の関西水交会が主催した行事に出席させたからだよ。功労の細部という理由の二つ目の項目で、幼稚園児による鼓笛隊を編成し歓迎する等、隊員の士気高揚等に大いに貢献している、と書かれてあるよ。くわくわ」 と、僕の無知を笑うかのようにペンペンは僕をからかった。実際、稲田朋美かその夫も塚本幼稚園の顧問弁護士だったようで、この答弁のような漠然とした関係でないことは明らかだった。そして、稲田の教育勅語に対する考え方は、「教育勅語のどこがいけないのか」と文科省に問い合わせ、つまり実質圧力をかけていたという。(当時)民進党辻元清美議員による質問に対しても、「教育勅語の中の親孝行とかは良い面だ。文科省が言う、丸覚えさせることに問題があるということはどうなのかと思う。どういう教育をするかは教育機関の自由だ」と答弁していた。「教育機関の自由」というのは、同調圧力などがないという大前提で言うべきことであり、稲田朋美のような人物たちが「教育機関の自由」を守ろうとする気などさらさらないことも一目瞭然だった。また、教育勅語そのものも、最終的には「ペンペンが語る コロナ物語」の第2章 731部隊に記載された大日本皇道立教會設立の目的とする「国民に新たな皇道を教育する」ためのものであり、天皇制というシステムを基盤とする選民思想につながっていく。 前年9月の土地取得要望書提出に続き、2014年10月31日に籠池は設置認可申請を提出した。設置認可申請というのは、籠池が考える愛国の小学校を設立したいという要望書を籠池が大阪府に対して出したものだ。しかし、大阪府私学課の担当者が森友学園の財務基盤を理由に取り上げていなかった。もともと大阪府は、安定経営という理由で、小中学校設立実績のある学校法人にしか借入金による学校開設を許可していなかった。そのため籠池は、2011年ごろから橋下徹が知事だった大阪府に基準緩和を要望する。松井一郎が府知事に就任し、2012年4月になると基準が緩和されたが、森友学園しか認可申請していなかった。そのあたりに関し、橋下徹は後の2017年3月1日にツイッタ-で述べている。 「それが何か?それは現段階での話だろ。大阪府は森友の要望を受けて基準を改正した。それは僕の私学審議会・設置基準が既得権化していることを是正せよとの大号令に基づく。ただ僕が直接要望は受けていないし、金も貰っていない。部局が大阪のまずいところを是正しただけ」  続いて3月6日には『橋下X羽鳥の番組』(テレビ朝日)で語っている。 「(自分が)基準を変えたのは間違いない。他の都道府県にはやっぱり、あまりない規定なんですよ。(学校法人に)借り入れがあっても、ちゃーんと具体的な中身を見て大丈夫だったら小学校建ててもいいよっていう都道府県もある。だから大阪府はそっちのほうに合わせたんですよ」 橋下が「ちゃーんと具体的な中身を見て大丈夫だったら小学校建ててもいいよ」という方向に自ら主導した。そして私学審の委員たちが「中身を見た」結果、認可答申を保留した。にもかかわらず、その約1か月後に開かれた臨時会で一転して認可適当とされた。どういういきさつだったのか。情熱的な籠池は、事態を乗り切るべく国会議員に頼み込んでいた。この議員は、「大阪府なら維新だ。松井知事(当時)に声をかけよう。それならできるさ」と言って働きかけ、財務局の担当者が大阪府庁に赴き、認可と土地の取得について私学課と調整し始めた。しかしそこには、どす黒い企みがすでに動き始めていたのだ。人の欲望につけこむのが悪企みを成功させるこつだ。 2014年11月6日、つまり大阪府による小学校設置認可以前に、この土地に「建築計画のお知らせ」と書かれた標識が設置された。 建築物の名称:(仮称)M学園小学校新築工事 敷地の地名・番地:豊中市野田町1501番 主要用途:小学校 構造:鉄骨造 階数:地上3階 着工予定年月日:平成27年3月1日 完成予定年月日:平成28年3月31日 建築主:学校法人森友学園 代理人:一級建築士事務所 有限会社キアラ建築 設計者:一級建築士事務所 有限会社キアラ建築 施工者:未定 標識設置年月日:平成26年11月6日 ところが、12月28日には認可保留になり、夜に大阪府私学課担当者から電話でそのことが籠池氏に伝えられた。「え~っ、あなた方、何やってんの?小学校を作らさんつもり?」と怒る籠池に、私学課の担当者はあわてて「できる限り早く臨時の審議会を開く予定にしていますので…」と説明した。こうした経緯をたどり、翌年の2015年1月27日に私立学校審議会で条件付きで小学校の設置を認可、2月10日に国有財産近畿地方審議会が森友学園に「貸し付け、売却処理適当」と判断、5月29日に貸し付け契約締結という経緯をたどり、7月から埋設物、つまりごみの撤去作業を開始する運びとなった。  このときのごみ撤去作業は、森友学園の負担による低深度(3.3m)土壌汚染除去、埋設物撤去工事で、撤去費用が1億3176万円だったという。この作業が行われたにもかかわらず、2016年3月に設計会社、藤原工業、国側が示し合わせて9.9mの深い深度で埋設物があると森友側に報告させ、それを根拠に8億円の値引きがされ、2016年5月31日に1億3400万円で購入する契約が成立。しかも、問題となっている森友の土地の隣の土地もほぼ同じ条件であったはずなのに、こちらは14億円で豊中市に売却されているという。これに端を発し、木村真豊中市議が中心となって新たな運動が起きた。  しかし、このごみ撤去作業から1億3400万円での土地購入契約成立に至るまでの間に安倍晋三が取っていた行動は、学園の名誉校長に就任した妻をかばっているなどという見苦しさに輪をかけた言い訳を粉々に砕くようなこの事件の本質を物語っていた。この事件の本質とはつまり、権力者の悪行プラスアルファという意味だ。プラスアルファが何を意味するかは後で検証するとして、まず、1億3400万円での購入契約成立までの経緯を、安倍夫妻もからめて見ていく。この事件やこの期間に限らないが、安倍ヨイショ本を出版した山口敬之の、伊藤詩織氏準強姦容疑による成田空港での逮捕を中止させた黒川弘務検事長も暗躍している。それを見れば、権力者の悪行がどれだけ邪悪なものかがわかる。  2015年9月3日、安倍晋三が迫田理財局長と異例の会談を持つ。その一方で、近畿財務局の9階会議室では同じ日に、近畿財務局、国交省航空局、工事業者が国有地の値引きについて相談していた。  翌日、つまり2015年9月4日、安倍晋三は昭恵夫人と今井尚哉も伴って大阪にTV出演の旅行し、冬柴大氏(故・冬柴鉄三元国土交通相の次男)の経営する「かき鉄」で会食。昭恵夫人は大阪府私学審議会会長、梶田叡一氏と面会。冬柴大氏は、平成16年3月31日までりそな銀行勤務を務めていた人物だが、この会食の後で、りそな銀行は森友学園への21億円の融資を決定。りそなの融資金のかなりの額が、政治家の懐に入ったと言われている。噂では7億円だ。  さらに翌日、つまり2015年9月5日、昭恵夫人の名誉校長就任の講演会が開かれる。昭恵夫人が「主人からです」と言って、封筒に入った100万円の札束を籠池泰典理事長に渡し、籠池は森友学園の名義で入金。その際、昭恵夫人が学園を出て5分くらいして、夫人から電話があって「先ほどのお金はないしょでお願いします」と確認を取っている。この寄付金は、学園の寄付金名簿にも記載されたという。この100万円に関しては、籠池が語ったことだ。しかし、籠池の国会での証言のすべてが真実であったのに対し、安倍晋三を含む国側の証言の多くが嘘で、昭恵夫人が証人喚問もされない事実を見れば、この寄付金に関する籠池の発言も真実であることは自明の理だった。  続いて10月には、定期借地契約を10年より長い期間へ変更できないか、昭恵氏に相談の電話をかけ、留守番電話にメッセージを残した。さらに10月26日には、定期借地期間を50年に延長し、早い時期に買い取りたいという内容の手紙を籠池が谷査恵子に送った。11月17日、安倍昭恵「夫人付」の政府職員である谷査恵子からファックスが届く。1枚目には「現状ではご希望に沿うことはできない」と記載されていた。2枚目には「(土壌汚染の)撤去に要した費用は、(中略)買受の際に考慮される」「(工事費の立て替え払いは)平成27年度(2015年度)の予算での措置ができなかったため、平成28年度(16年度)での予算措置を行う方向で調整中」と記載されていた。谷査恵子は、安倍晋三が右腕と頼む今井尚哉の操り人形一般採用職員で、同氏の部屋が特別に官邸内に用意され、頻繁に電話やメール等で国と相手側のやりとりを一手に引き受けていた。しかし、操り人形一般採用職員でも、バックに今井尚哉がいるとなると、財務省も動かざるをえない。 2015年12月3日には、先述したどす黒い企みの根幹、つまり金額の異なる3通の契約書を森友学園に作成させ、国土交通省への補助金申請の際には最高額の23億8464万円で提出、約5644万円の補助金を不正に受給させた。これに関して菅野氏によるインタビューで、籠池は以下のように語っている。 3通の契約書について言うと、国土交通省に提出していた「23億8000万円」の契約書に、私自身はかかわっていないんです。あれは(設計会社の)キアラ建築研究所機関がやっていたことで、私は主体的にはかかわっていない。たしかに責任の一端はあるかもわからないけど、主犯じゃないことは確かなんです。大阪府の私学審議会に提出していた「7億5600万円」は僕が主体的に出したものです。設計会社(キアラ)や施行業者(藤原工業)には7億5600万円以内でやってほしいと何度も伝えていたんです。ただ、(それでは足りなくなる可能性もあったので)僕は寄付金を増やす努力をせないかんなあと思っていたんです 谷査恵子のファックスが届いた日を境に、籠池が言うところの怒涛のごとく神風が吹き始め、2016年3月11日の9.9メートル大深度のごみ発表、2016年3月15日の籠池-財務省田村室長との異例面談、2016年3月30日の土壌汚染対策費として国から森友学園に1億3200万円支給決定と進んでいく。3月24日に森友学園が購入希望を提出。その購入希望額は、でっち上げ大深度ごみの撤去費用を除いた1億3400万円。9.9メートル大深度のごみの存在をでっち上げたのが設計業者、施工業者、国側、酒井弁護士だった。設計業者の3月30日付けのメモで、わからなかった内容で瑕疵を見つけていくことで価値をさげていきたい、という企みが明らかになる。4月1日付けの国側から学園に送られたメールでは、「廃棄物層、軟弱地盤関係等を評価に反映させ、価格提示を行いたい」と記載されている。(2017年8月24日 毎日新聞)そして、4月7日には大阪航空局が設計・施工業者側に地盤資料を催促する。 大阪航空局担当者:早速ですが、契約締結に向けて急ぐため、ごみ撤去に関する地盤資料を早急に送付願いたいのですが。 キアラ:地盤資料と言うと、ボーリング結果も含めた資料になりますかね。 大阪航空局担当者:そのほうが、軟弱地盤を評価する上でプラスになりますよ。 キアラ:こちらとして有益な要素とおっしゃられているのですね。 大阪航空局担当者:必ずしもプラスになるという約束はできないが、プラスになる資料と考えています。  こちらとは、正確には設計会社、藤原工業、酒井弁護士、そして国民の血税をむしり取ろうとする邪悪政治家たちだ。籠池が含まれていたとしても、企みは知らされていないし、おこぼれはわずかなわけだ。調査でごみが地下3mまでしか出ていないため、交渉で不利になると懸念したキアラは、記録の抹消や不提出などを検討しながら地盤調査の記録を森友学園に送付し、森友学園は4月13日にそれを国側に提出した。 翌日4月14日早朝、幼稚園児たちのかわいい声が響く中、丸友学園の応接室では近畿財務局の池田国有財産統括官、酒井弁護士、キアラ設計担当者(業者)が密談していた。自分の年収をはるかに超える手数料がもらえるとあって、このどす黒い陰謀に関わる政治家たちの懐を潤すための銭を上乗せするための説得には力が入っていた。 「死ぬ気で購入価格下げるよう取り組んでいただきたい。当学園も、それによって授業料を低く抑えたいと、今もご夫人がおっしゃられておりますので。知恵を絞って下げる理屈を考えないといけない立場をご理解願いたい」 この時点では3メートル以下にもゴミがあるということにして事を進めたいと思っている池田が、酒井の意を汲んで発言した。 「3メートルまで掘り、さて土壌改良という段になって、その下からゴミが出てきたと理解しています。その下にあるゴミは国が知らなかった事実なので、そこはきっちりとしておく、つまり資料を揃える必要があるでしょう。そういった流れはイメージできてますよ」 業者が釘をさす。 「3メートルより下からは語弊がありますね。3メートルより下から出てきたかどうかはわからないですとお伝えしています。そういうふうに認識を統一した方がいいなら弊社もそれに合わせますが、下から出てきたかどうかは、工事した側から確定した情報としては伝えていませんよ」 「資料を調整する中で、どういう整理をするのがいいのかご協議させていただけるなら、そういう方向でお話し合いの上、その方向で決定させてもらえるようにしますが」 「3メートルより上からの方がゴミはたくさん出てきている。3メートルの下からっていうのはそんなにたくさん出てきていないのですが」 「言い方としては混在、そして9メートルまでの範囲という記載の仕方で資料を調整していただければ助かります」 「9メートルというのはわかりませんが」  酒井が、業者と池田のギャップを埋める。 「そこはね、言葉遊びのようになるけど、9メートルのところまでガラが入っている可能性を否定できますかって言われたら、否定できないでしょ?できないんです。そういう話なんです」 「そのへんをうまくコントロールしてくれたら、弊社はそれに合わせた資料を提供しますので」 「虚偽のないようにすることが大事なので、混在していると、3メートル超のところにもゴミがある、ゼロじゃないと」 「それは確かにあると思います」 「そんなところで作成していただきたい」  酒井が締めくくる。 「責任問題に発展しないように頑張っていただけると信頼しています。半分は我々のため、半分はご自身のために頑張って下さい」  籠池が池田国有財産統括官の退出を見送りに行っている間に、酒井は、業者に囁く。 「大丈夫。代わりはすでに見つけてある」  その後、藤原工業により田中造園の秋山という人物を共犯者として仕立て上げられ、撤去費用を8億円として書類作成などが進められた。ごみは存在しないから、大がかりな撤去作業なども当然行われない。いかさま申請が行われると、しばらくして秋山は死体で見つかることになる。 財務局はその日の午後、ゴミの撤去費用は8億2千万円と算出した。しかし、土地そのものの価格はいくらに設定したらいいか。部署内で検討した結果、4月22日、ごみ撤去概算費用と軟弱地盤を反映させた不動産鑑定評価を不動産鑑定士に依頼した。不動産鑑定士は、早速与えられた資料を精査し始める。すると、財務局を含めた依頼者側が提示した地下埋設物撤去概算額は、依頼者側の推測に基づくものが含まれる、鑑定評価において信用性に欠ける価格だった。鑑定士側では様々に悩んだ末、付記意見を末尾に付した鑑定評価書を提出した。つまり、地下埋設物の問題を反映させない場合の鑑定評価額を9億5600万円とし、反映させた場合の鑑定評価額を1億3400万円とした付記意見を末尾に記載した鑑定評価書を発行した。不動産鑑定士業界では、一つの鑑定評価書に二つの価額を記すことは、意見価額が独り歩きする場合があるため望ましくないとされるが、まさにこの意見価額が独り歩きした、いや、させたのである。2016年5月31日、近畿財務局と森友学園の間で、豊中市にある9000平方メートル弱の国有地売買契約が1億3400万円で結ばれた。 安倍夫妻もからめた1億3400万円での購入契約成立までの経緯を、ここまで見てきた。2016年6月に入り、財務省理財局長に完璧主義者・パワハラ上司と永田町に表現された佐川宣寿が就任した。一方、神風という追い風を受ける籠池の小学校建設計画は着々と進み、6月29日には、産経新聞大阪版が籠池の戦前とまったく変わることのない自画自賛インタビュー記事を掲載した。 礼節を尊び、愛国心と誇りを育てる教育に力を注ぐ〉〈「社会のために正しいことなら、迷わず邁進してほしい。それが日本を変えていく原動力にもなる」と力を込める〉〈「この国の素晴らしさを知り、日本人の誇りを持って世界を牽引できる人材を育てたいですね」。そう目を輝かせた〉  8月11日早朝の山梨県山中湖村。さわやかな微風が広々としたゴルフ場にいる安倍晋三の顔を優しくつたっていく。アメリカの財布としての使命を果たしながら自分たちのグループ、つまり朝鮮系=李氏朝鮮系=清和会の利権拡大や保身を実現するための策を練るには最適の日和、環境だ。頭が働き、密談を聞かれることもない。国家戦略特区諮問会議は問題ない。凄腕の竹中にやらしとけばあっという間に実現してくれるし、何か問題が生じても菅官房長官が「問題ない」とシャットアウトしてくれるし、黒川が検察の動きを封じてくれる。国民などはしっかり働かせ、飢え死にしない程度にしておけばいい。飢え死にしたところで、人口がちょっと減るだけで、環境にもいいってもんさ。災害が起きても、ちょっと寄り添ったふりをするだけで、NHKがその場面だけ全国民に垂れ流してくれる。ああ、忘れていた。森友学園へのりそな融資の件だったな。だからりそなの冬柴も来ているんだった。20億と言ってたっけ。財務大臣、よろしく。 「安倍晋三が岸信介の孫で朝鮮系ってことは知ってたけど、清和会もそうなの?」 と、永田町のことに詳しくない僕が聞くと、ペンペンはいつもの通りにやさしく解説してくれた。 「日本の支配階級にとっては常識なんだけど、朝鮮系は、正確に言うと、朝鮮支配階級系だね。朝鮮の支配階級は両班と言って、高麗、李氏朝鮮王朝時代の官僚機構・支配機構を担った支配階級を指すんだよ。その階級の人物たちが逃げたか移り住んだのが山口県田布施町。岸信介は李氏朝鮮の王の末裔。アメリカをトラの威として利用しつつ、媚中政策でぼろ儲けしてきたけど、トランプの反中政策の影響で、媚中政策を批判するレポートが出されたので、安倍辞任になっていったんだよ」 「なっ、なるほど」  その年の9月、豊中市の木村真市議が売買契約書の開示を求めて情報公開請求したが、財務省近畿財務局は「学園の権利、競争上の地位や正当な利益を害するおそれがある」として売却額や特約条項などを不開示とした。後に木村市議は、不開示を違法として後に11万円の損害賠償を国に求める訴訟を起こし、2019年12月17日に勝訴している。ところが、凄腕のジャーナリストが黒塗り部分を明らかにした資料を2017年2月20日にすっぱ抜いた。明らかにした黒塗り部分は以下の第42条部分だった。 第42条 乙は、本件貸付契約第5条の土壌汚染、地下埋設物に関する瑕疵及び第30条記載の地耐力に関する瑕疵並びに次項以下の一切の瑕疵の存在につき了承したうえで本件土地を現状有姿にて買い受ける。 つまり、乙であるところの森友学園は、埋設物の撤去費用などを請求できないようになっていた。 「どういうこと?」  僕はちんぷんかんぷんのため、ペンペンに聞く。 「請求できないから、国有地を格安で払い下げるという企てが実現するってこと。こういうのを悪知恵って言うんだよ」 「なっ、なるほど」 すると木村市議は2017年2月8日、非開示の決定を違法だとして、国に決定の取り消しを求める訴えを大阪地裁に起こした。そして2月9日、ついに朝日新聞がこの国有地売却問題をスクープした。森友問題が天下に公表された日だ。 財務省近畿財務局が学校法人に払い下げた大阪府豊中市内の国有地をめぐり、財務局が売却額などを非公表にしていることが分かった。朝日新聞が調査したところ、売却額は同じ規模の近隣国有地の10分の1だった。国有地の売却は透明性の観点から「原則公表」とされており、地元市議は8日、非公表とした財務局の決定の取り消しを求めて大阪地裁に提訴した。 売却されたのは、豊中市野田町の約8770平方メートルの国有地。近畿財務局が2013年6~9月に売却先を公募し、昨年6月に大阪市内で幼稚園を営む学校法人「森友学園」に売った。契約方法は、公益目的で購入を希望する自治体や学校法人、社会福祉法人などを優先する「公共随意契約」がとられた。 この契約について、地元の豊中市議が昨年9月に情報公開請求したところ、財務局は売却額などを非公表とした。朝日新聞も同年12月に公開請求したが、今年1月に同じく非公表とされた。国有地の売却結果は透明性と公正性を図る観点から、1999年の旧大蔵省理財局長通達で原則として公表するとされている。だが、財務局は取材に「学園側から非公表を強く申し入れられた。公表によって学校運営に悪影響が出るおそれがある」と説明した。 (2017年2月8日、朝日新聞)  安倍晋三は怒り狂い、癇癪を起して補佐官たちに怒鳴りまくった。 「なんだこれは! なんでこんなちっぽけな国有地売却が問題になるんだ!」 「そんなことを言ったって、総理、これは昭恵夫人の働きで実現させてしまったことでしょう」 と、補佐官は筋を正す。 「うむ、そうだったな。とにかくどんな手を使ってもいいから、こんな問題はぶっつぶしてくれ」 「どんな手を使ってもよろしいのですね」 「ああ。早急にな」  しかし、安倍晋三の期待通りにはいかなかった。2月10日には、国有地売却価格が1億3400万円であることを財務省が明らかにする。続いて2月17日の衆議院予算委員会では、安倍晋三が嘘つきの代名詞であることを決定づける発言が飛び出た。以下森友関連だけの抜粋。かなり要約してあるが、実際は役人答弁用語が頻出して長い。 2017年2月17日衆議院予算委員会 委員長:浜田靖一 委員:福島伸享 政府参考人:財務省理財局長 佐川宣寿 文部科学省高等教育局私学部長 村田善則 福島委員:(途中から)ところが、ここで事態が急変するのは、くい打ち工事、基礎を打つためのくい打ちをするときに、地下の9メートルの深いところで新たな地下埋設物が発見されたと連絡を受け、3日後に、近畿財務局、大阪航空局及び現地関係者が現地確認を実施して、その10日後に、森友学園から近畿財務局に本地を購入したいという連絡があります。非常に不思議なのは、ごみが残っているんだから買おうと思わないにもかかわらず、すぐ、では買いますと言い、結局売買契約を結ぶんですが、その値段は1億3400万円であった。最初、9億3200万円と不動産鑑定で評価されていたものが8億円もディスカウントされてしまったのはなぜなのかということなんですが、このごみを取るのに8億円かかるから、実際の値段の9億円から8億円を引いて1億円で売りましょうという売買契約を行ったというのが事のてんまつです。そもそも、8億円もかかって除去するごみがどんなものだというのは、どなたがどのように確認したんでしょうか。 佐川参考人:お答え申し上げます。3月14日に、私どもの近畿財務局、それから国土交通省の大阪航空局及び現場の方々と一緒に現地を確認したわけでございます。 福島委員:何がどのような状況で埋まっていたんですか。 佐川参考人:新たに見つかったものは廃材、プラスチックといった生活ごみ等々でございます。 「この答弁がおかしいということはわかる?」 と、突然ペンペンが質問してきた。 「いや、全然」 「基礎工事のくい打ちってとてつもなく強力だから、そんな生活ごみなどで打ち込めないことなどあり得ないんだよ」 「えっ、そうなの?」 「くい打ちの方法にはハンマーを落下させるような打撃、油圧荷重機で杭を押し込む圧入、ドリルによる掘削、それらを組み合わせたハイブリッドといった種類があるんだよ」 「なるほど」 福島委員:有毒で有害な土壌を除去するための法律の対象になるようなものだったのですか。 佐川参考人:有害関係の法律については不明ですが、今言ったようなものが埋設物として発見されたということでございます。 福島委員:8億も値引きするに際して、除去が必要なのかどうかを精査するのが国の役割じゃないですか。国有財産を、安全か危険かも判断しないで、向こうの言い値でやるというのはおかしいじゃないですか。 佐川参考人:実際に確認したかどうかでございますが、国有地を売る場合は時価で売るというのが基本でございます。したがいまして、不動産鑑定士に更地の価格を鑑定していただきまして、そこから大阪航空局が積算した埋設の撤去費用を差し引くというのがいわゆる時価でございますので、適正な価格で売っているということでございます。 福島委員:不動産鑑定士が出した時価は9億5600万円なんですよ。普通、ごみが埋まっていたときのものも含めて不動産鑑定士は値段を出すんです。今回はそれをやらないで、今聞く限りはごみを搬出しているかどうかもチェックしていないといったら、8億円のお金をそのまま利益供与したのと一緒じゃないですか。だからこそ、この取引は怪しいということを言っているのです。学校設置の認可についてもおかしい。(中略)松野文部科学大臣、土地の所有もしていなければ、賃借の契約もしていないような企業が大学設置の認可申請を出してきたら、文部科学省はそれに認可をおろすことはできますか。 村田政府参考人:(不明確な答弁を続ける) 福島委員:なぜもごもご言うのかわからないですけれども、私立大学でできないものを今回私立小学校でやって、土地を買う値段もおかしければ、設置の認可の状況でもおかしい。この小学校の名誉校長とされているのが安倍昭恵先生という方で、右を見ると、安倍晋三内閣総理大臣夫人と記載されております。この理事長の籠池先生の教育に対する熱い思いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきましたと。この事実、総理は御存じでしょうか。 安倍内閣総理大臣:この事実については、事実というのはうちの妻が名誉校長になっているということについては承知をしておりますし、妻から森友学園の先生の教育に対する熱意はすばらしいという話を聞いております。ただ、私や妻がこの認可あるいは国有地払い下げに、もちろん事務所も含めて、一切かかわっていないということは明確にさせていただきたいと思います。もしかかわっていたのであれば、これはもう私は総理大臣をやめるということでありますから、それははっきりと申し上げたい、このように思います。 (抜粋はここまで)  安倍晋三の嘘つきぶりを証明するごとく、昭恵夫人と籠池夫人の間でメールがやりとりされていた。 2月18日(昭恵夫人) このたびのことはどうなっているのか、ご説明もなく、マスコミから追いかけられて戸惑っております 2月19日(籠池夫人) いたらないことばかりで大変申し訳ございません。以後気を付けて対応させていただきます。すみませんでした。何とか自分たちで対応しようとしたのですが、ニュースのスピードが早すぎて。ご連絡を怠った事いたらない自分が恥ずかしいです。 2月21日 (昭恵夫人)留守番電話聞かせていただきました。籠池園長の教育に対する熱意は理解しているつもりです。  (籠池夫人)あきえさんの大変さは本当に感心します 明日の大阪府の臨時審議委員会 神様の御心ならば認可をおろしてくださいと祈りました  (昭恵夫人)なぜ売却価格を非公開にしてしまったのですか。やはり怪しまれるようなことはしない方がよかったのかなあとは思います。祈ります。  (籠池夫人)公開しなかったのは、土壌汚染や廃棄物のある土地で開校しようとしていると、悪評をたてられたら困るのでしませんでした。 売却価格を非公開にした決定に籠池夫妻が関わっている、もしくは了解していることがわかる。しかしこの時点では、ごみの存在がいかさまであることを籠池夫妻が知らなかった。従って、酒井弁護士・藤原工業側が籠池夫妻を操っていたことが明らかだった。この日(2月21日)に民進党調査チームが大阪合同庁舎で、近畿財務局と大阪航空局へのヒアリングを行った。 野党議員:9.9メートルのゴミを確認したのですか? 大阪航空局担当者:ゴミがそこにあると調整して、えー、現地の状況を見つつ、えー 野党議員:現地に行ってどういう方法で確認したのですか?要は見てないんでしょ 近畿財務局担当者:3月14日の現地調査写真は財務省からもらったものでありまして、9.9メートルの深さの根拠については、我々は判断したり知見したりする立場になく、ご依頼頂いたので積算した次第でございます。判断する権限は我々にはありません 2月24日には、衆議院予算委員会で佐川理財局長が、近畿財務局と森友学園の交渉や面会の記録は「売買契約の締結をもって事案が終了したため、記録は速やかに廃棄した」と、国有地売却に関する書類をすぐに廃棄したとするとんでもない答弁をした。 「そもそも、所得税申告書類って、5~7年保存しておかないといけないことになっているんだよ。国民にそのようにさせておきながら、自分たちは、事案が終了したため記録は速やかに廃棄したなどと言っているのだから、もうめちゃくちゃなんだよ」 ペンペンの当たり前すぎる解説だった。もちろん、「廃棄した」のではなく、「悪事を行ったから提出できない」わけだった。 2月25日 (籠池夫人)今国会のテープをきかせていただきました しつこいとは 安倍総理には失望しました 主人は悪者ですね  (昭恵夫人)人の受け取り方はそれぞれですね。琵琶湖の竹生島に行き、祈りました。籠池先生のお役割もわかったような気がします。おつらいでしょうが、頑張ってください。ありがとうございます。  国民の怒りをバックに、野党の追及が激しくなっていく。「忖度」という語から菅野完氏が造り出した「全自動忖度機」という言葉も全国を駆け巡った。一方、想定外の攻撃に対処すべく、今井補佐官→財務省→近畿財務局という経路で池田靖統括官へと指示が下り、2月26日の日曜日、池田は部下で担当職員の赤木俊夫上席国有財産管理官を呼び出した。そのとき赤木夫妻は梅林公園を散歩していた。満開に咲き乱れる梅から放出される香りが官公庁での業務でこわばっていた神経を優しく癒す。そのうららかなひとときをぶち壊すかのように携帯の着信音が鳴った。通話を終えて赤木が言う。 「上司が困っているから、僕助けに行くわ」 このときから死の街道を転げ落ちていくことになるとはいささかも思わず、赤木は妻に微笑みを返したあと職場に赴いた。この日以降、その微笑みが見られることはほとんどなかった。他方、酒井弁護士-藤原工業側も保身のため、松井大阪府知事に小学校設立不認可に向けた発言と決定を提案していた。 昭恵夫人-籠池夫人間のメールのやりとりも続いていた。 3月1日 (籠池夫人)昨夜マスコミから逃れるために豊中南警察に被害届を出したあとアパホテルで身を隠しています  (昭恵夫人)今はじっと我慢の時です。私もまだまだ追い詰められるのかもしれませんが、お互い頑張りましょう 3月2日 (昭恵夫人)頑張りましょう!  (籠池夫人)何をですか? 誰も信じません 3月6日、松井大阪府知事が、小学校設立の認可は難しいことをほのめかす発言をした。また、この日に田中造園の秋山社長が死体で発見された。3月7日にも、松井大阪府知事が、籠池氏は教育者なので性善説に立っていたが、補助金詐欺なら刑事事件になるという発言をして、完全に手の平を返した。補助金詐欺という言葉で、安倍への批判から世間の目をそらし、安倍に恩も売ろうというわけだ。また、この日の参議院予算委員会では、佐川は「財務局が掘り出したごみを埋め戻すというようなことを指示するということはあり得ない」と答弁した。 3月8日 (籠池夫人)助けてください。うその報道はやめさせてください。認可を下さい  (昭恵夫人)私もマスコミに追いかけられて、ビックリしてます (籠池夫人)土を運ぶ費用等認可をいただくには3億5000万足りません 1週間以内に用意しないといけないため一昨日も東京を2往復しました。あきえさんも協力して下さい  (昭恵夫人)祈ります。 3月9日、大阪府教育庁が小学校用地の立ち入り調査を実施し、松井知事は不認可の見通しを強調した。一方酒井は、申請を取り下げないと藤原工業が倒産すると言って、申請取り下げを発表する記者会見を開くことを籠池に勧めた。 3月10日、籠池が記者会見を開き、小学校設立申請を取り下げた。5日後の3月15日には、酒井が森友学園の弁護士を降り、事件からの離脱を図った。一方籠池は、が菅野の自宅を訪れ、3時間のインタビューを受けた。その夜、帰宅した菅野の自宅前に多数のジャーナリストたちが集まって菅野を取り囲んだ。菅野は、慎重に言葉を選びながらも内面に怒りを充満させ、「森友問題の発端を作ったのはこの男」という文言の入った迫田英典の写真を手に掲げ、「国有地のあの当時の売買の責任者はこの人です」「佐川理財局長から電話があって、10日間でいいから身を隠してくれと言われたと言っています。弁護士に電話があったそうです」、続いて「私学審議会を曲げたのはこの男」という文言の入った大阪松井府知事の写真を掲げ、「今大阪府が必死になってこの人を守ろうとしてはります」「同業者としてのみなさんへのお願いです。この人たちこそが悪い奴らです。(籠池さんがそうおっしゃってるのですか)僕もそう思います」「理事長は国有地の売買にどう関与しようと、決裁印を押せないんです」「理事長は、審議会の審査内容にどう介入しようが、最後の認可のはんこを押せないんです」「なぜ(政治家と役人の)家に行かないんですか? マイクを向け、カメラを向けるべきは、政治家と役人ではないですか?」と主張した。なぜ、悪の根源である奴らを追及しないのかという痛烈な批判も、同業者であるジャーナリストたちに浴びせていた。しかし、ジャーナリストたちは相変わらず籠池を対象とした質問ばかりしていた。  3月15日に籠池が参院予算委視察団に首相から100万円の寄付を受けたと説明したということが伝わると、安倍は怒り狂い、「すぐ証人喚問だ」とあたりを怒鳴り散らした。その後も、安倍が大阪府の責任にして自分だけ逃げるような態度を見せると、日本維新の松井一郎知事と橋下徹前知事が国の圧力があったことを認める発言で返した。安倍は、錯乱状態で大阪万博誘致協力、大阪・夢洲カジノ計画、リニア大阪延伸前倒しの3点セットは白紙にしてやる!」と叫んだ。 安倍の意向に沿ったものかどうかは別として、3月23日に衆議院予算委員会で籠池の証人喚問が実施された。籠池ははっきりと昭恵夫人との関係、そして100万円の寄付金受け取りについて「間違いない」と答え、受け取り後に口外しないよう電話で求められたとも語った。以下、共産党小西晃議員の質問と答弁の要約・抜粋。役人用語がなく、明確でわかりやすい答弁だった。 (中略) 小西議員:15日に財務省に行かれたときに、埋設物の撤去費用については、そこでは話し合いをされましたか? 籠池:いたしました。とんでもないものが出てきたということで談判をいたしました。 小西議員:どういう談判ですか? 籠池:有害物質が出たのに1億3千万かかって、そのあと、生活物質が埋まっていることを私も知りませんでしたので、そういうものを定期借地で民間に貸すのかと、どうしてそんなことをするんだということで、談判をいたしました。 小西議員:その際財務省側は、地下埋設物の撤去にかかる予算は、地主の大阪航空局なんだと言ったようですが、事実ですか? 籠池:はい、地主の大阪航空局であるというようなことは言っておりました。 小西議員:要するに、見積もりはそのとき大阪航空局にやらせると説明をされたということでしょうか? 籠池:何か大変なことになったなあという感じでございましたので、何らかの動きはあるんだろうという思いは持ちました。 小西議員:それで3月24日にあなたは土地購入を申し込まれるわけです。でその前に、埋設物撤去費用は土地代から引くという話は近畿財務局から提示されましたか? 籠池:そういう話はまったく受けておりません。 小西議員:別の問題ききます。安倍昭江さんに名誉校長になってほしいと要請したときに、昭江さんは最初は断ったんでしょうか? それともすぐにその場では受け入れたんでしょうか? 籠池:1秒ほど止まってらっしゃいましたが、すぐに即断をしていただきました。 小西議員:安倍晋三記念小学校という名前をつける件に関して、さきほどの陳述では、昭江夫人はご理解をいただいたと。で、後日遠慮してほしいという話だったと。要するに、最初は昭江夫人はいいですとおっしゃって、後日とは、何日ぐらいしてから御断りが来たんでしょうか? 籠池:記憶のほうがはっきりしないわけですが、(10秒程度考え込み)大体ですね、5か月ぐらいじゃないでしょうかねえ。 小西議員:安倍昭江さんと学校設置前の更地の豊中の敷地、行ったことはございますか? そこでどんな話されました? 籠池:一緒に行かしていただきまして、ここに学校ができるんですと、いうふうな話で、お話をさしていただきました。 小西議員:学校の名前についてのサジェスチョンみたいにものはそこでありましたか? 籠池:いい田んぼができそうですね、ということでありましたので、そのお言葉をいただいて、瑞穂の国というふうにさしていただきました。 小西議員:安倍昭江さんはですね、塚本幼稚園で3回目の講演をやっているのが平成27年(2015年)9月5日です。その2日前に安倍首相は財務省の理財局長に東京で会っております。塚本幼稚園での昭江夫人の講演テーマは、瑞穂の国記念小学院についてというテーマで講演されていると存じますが、あなたに対してですね、財務省が前向きに動いているという話、ありましたでしょうか、そのときに? 籠池:財務省が前向きに動いていると感じましたのは、生活ゴミが出てきた後が一番著しかったのではないかと思います 小西議員:それは、どういう、具体的にいうと、生活ゴミが出てきて、いわゆる8億円の値引きが行われる過程だと思いますが、どういう点で、どういう動きを見て、財務省が前向きだなって思われたんでしょうか? 籠池:私どもの弁護士が入っておりましたから、その動き方、スピード感というんですか、非常に速かったと思います 小西議員:安倍首相本人についてもお聞きしたいんですが、安倍首相は、あなたと電話で話したのでは、平成24年9月に予定されていた講演をキャンセルしたとき、1回だけというふうにおっしゃってるんですが、これは事実でしょうか。これ以外に安倍首相と電話で話しされたことはありますか 籠池:その1回だけです 小西議員:3月10日の記者会見で、籠池さんは、大阪府の設置認可基準の規制緩和について、規制緩和に4年ほどかかったというふうに述べておられるんですが、これに関しては、政治家に協力を頼んだことはありますか? 大阪府の設置認可基準の緩和については、政治家、大阪の議員も含めてそういったことはありますか? 籠池:ございます 小西議員:どなたでしょうか? お名前を教えていただけますか。 籠池:(日本維新の会総務会長の)東徹(参院)議員です(東氏は「大阪維新の会」の結成時からのメンバーで、松井大阪府知事の側近) 小西議員:そのほかですね、この問題で名前が出てきている政治家でいいますと、(自民党参院議員の)鴻池祥肇議員、出ていますが、その他に設置認可、あるいは土地の取得、賃貸、その金額等々で籠池さんから声をかけた政治家、他のお名前を出していただけますか? 思い出す範囲で結構ですから言ってください 籠池:もうすでにお辞めになってらっしゃいますが、元国土交通副大臣の北川イッセイ先生、(自民党の)柳本卓治(参院議員)先生。(10秒ほど考え込む)はい、そういうところで、はい 小西議員:ちょっと、もし思い出す時間が必要だったら、もうちょっと、出てくるんだったら。もうないですか。なければですね、あとはですね、だいたい、聞くことはほとんど聞いた感じもありますが、それ以外の問題でいうと、ファクスの問題さきほどありました。首相夫人の担当官からのファクス。そのファクスは、今、お持ちですか 籠池:今、私は手元に持っておりません。すぐ近くにはありますが。 小西議員:ぜひ、当委員会にそのファクスを提出していただきたいということをお願いしたいと思います。提出していただけますか? 籠池:はい、提出します ◆メディアで報道された提出ファクス 塚本幼稚園 幼児教育学園 総裁・園長 籠池 泰典様 前略 平素よりお世話になっております。 先日は、小学校敷地に関する国有地の売買予約付定期借地契約に関して、資料を頂戴し、誠にありがとうございました。 時間がかかってしまい申し訳ございませんが、財務省本省に問い合わせ、国有財産審理室長から回答を得ました。 大変恐縮ながら、国側の事情もあり、現状ではご希望に沿うことはできないようでございますが、引き続き、当方としても見守ってまいりたいと思いますので、何かございましたらご教示ください。 内閣総理大臣夫人付 谷査恵子      籠池様   平素よりお世話になっております。先月頂戴しました資料をもとに、財務省国有財産審理室長の田村嘉啓氏に問い合わせを行い、以下の通り回答を得ました。 1)10年の定借の是非  通常、国有地の定借は3年を目安にしているが、今回は内容を考慮し、10年と比較的長期に設定したもの。他の案件と照らし合わせても、これ以上の長期定借は難しい状況。  2)50年定借への変更の可能性  政府としては国家財政状況の改善をめざす観点から、遊休国有地は即時売却を主流とし、長期定借の設定や資料の優遇については縮小せざるをえない状況。介護施設を運営する社会福祉法人への優遇措置は、待機老人が社会問題化している現状において、政府として特例的に実施しているもので、対象を学校等に拡大することは現在検討されていない。  3)土壌汚染や埋設物の撤去期間に関する資料の扱い  平成27年5月29日付 EW第38号「国有財産有償貸付合意書」第5条に基づき、土壌汚染の存在期間中も賃料が発生することは契約書上で了承済みとなっている。撤去に要した費用は、第6条に基づいて買受の際に考慮される。  4)工事費の立て替え払いの予算化について  一般には工事終了時に清算払いが基本であるが、学校法人森友学園と国土交通省航空局との調整にあたり、「予算措置がつき次第返金する」旨の了解であったと承知している。平成27年度の予算での措置ができなかったため、平成28年度での予算措置を行う方向で調整中。  (2017年3月23日 産経新聞) 翌日の3月24日の参議院予算委員会でも、この問題をめぐって質疑が行われ、前日に行われた籠池泰典理事長の証人喚問に話題は集中した。売却交渉時に財務省理財局長だった迫田英典国税庁長官が参考人として初めて招致され、自民党の西田昌司議員の政治家の関与に関する質問に対し、「私が理財局長当時、私はこの点について個別に報告を受けておりません。私に対する政治家からの問い合わせは一切ございませんでした」と否定した。続いて民進党の福山哲郎議員の「ファックスは谷さんから入手したのか。それとも財務省からのか」という質問に対し、菅官房長官は「谷さんから。送られたファックスは行政文書にあたらないと考えている」と答弁し、昭恵夫人の行動が公務ではないと言い張った。同議員の「総理は『私も妻も関係ない』と答弁したが、関係しているじゃないか。4番目の予算化は年度替わりの異常に早いタイミングで行われている。ヒアリングに来た財務省の役人は『公務だ』と言っていた。総理、なんで財務省は隠すのか。『資料を出せ』と財務省に指示を出してほしい」という質問に対しても、安倍首相は「夫人付きに手紙が来たのであって、私の妻は留守番電話に答えていない。外形的にはこの問題に関係していないということ。資料に関しては、理事会で協議していただきたい」としらばっくれた。 その後の国会における追及でも、国側は、 4月3日の衆議院決算行政監視委員会、佐川宣寿:電子データは短期間で自動的に消去されて、復元できないようなシステムになっている 4月10日の参議院決算委員会、佐川宣寿:私ども、公文書管理法の規定に基づきまして制定されております財務省の行政文書管理規則にのっとりまして文書管理を行っておりますが、この規則の中で、職員は作成又は取得した行政文書について保存期間を設定することとなっており、保存期間満了後に適切に処理をすると、こうなってございます。その規則の中で、課長級の者、近畿財務局におきましても課長級の者でございますが、所管事務に関する文書管理者として職員の指導等を行うこととされてございます。この規則におきましては、保存期間が満了した行政文書を破棄した場合には、そういう文書に関する行政文書ファイル管理簿を削除するとともに廃棄簿に記載しなければならないというのが規則でございますが、ただ、保存期間一年未満というものの行政文書につきましては、公文書管理法上、行政文書ファイル管理簿への記載を要しないとされてございますので、保存期間一年未満のものにつきましては廃棄簿にも記載をされていないところでございます。したがいまして、この面会の記録、やり取り等につきましては、事案終了後に処分ということになってございますので本件廃棄の記録も残っておりませんので、いつ廃棄されたということについてはお答えすることができません と、役人用語だらけの答弁で逃げた。 「まったく何を言っているかさっぱりわからないよ」 と、さじを投げる僕にペンペンが説明してくれる。 「保存期間を過ぎて行政文書を破棄したら、その文書のファイル管理簿を削除して廃棄簿に記載するけど、保存期間一年未満の場合は廃棄簿にも記載しないので、この件に関する廃棄記録はなく、だからいつ廃棄したか答えられないよ、と言っているんだよ、クワクワ」 「要するに、悪事の痕跡は残さないし、見せることなんてできないよと言ってるわけ?」 「まあ、そういうこと。実際の近畿財務局では、取引相手や国会議員との交渉は応接記録書として文書にし、会計検査院の検査後も、取引相手の要望などの重要な記録は決裁文書とともに残すことになっているんだよ。貸し付けの決裁書類は30年間保存とされ、徹底されているしね」  永田町と霞が関の悪事とその隠蔽ぶりに僕は目がくらみそうになった。  6月19日には、補助金不正受給などの容疑で、大阪地検が森友学園の関係先数か所の強制捜査に踏み切った。安倍晋三による報復捜査、森友事件を使った加計疑惑隠しで、国の中枢にいる者たちがとんでもない悪人たちであることを示していた。それは翌7月の佐川宣寿の国税庁長官就任が証明していた。補助金不正受給を問題にするのなら、キアラ設計と藤原工業も捜索しなければならなかったわけで、これも報復捜査を証明していた。  7月10日には、豊中市議の情報公開請求で、森友学園から出たゴミがわずか194トンであることが判明した。2万トンのゴミが存在したということによる8億円減額が犯罪であることが立証された。  7月26日、NHKがスクープを発表する。 土地の売買を担当する財務省近畿財務局は学園側に、いくらまでなら支払えるのかを聞き、その提示を下回る金額で売却。さらに、国有地取引としては異例の10年分割払いについては、財務局から提案していた 当時NHK記者、後大阪日日新聞論説委員になった相澤冬樹が中心となって実行されたスクープだった。「波取り記者」という政権とのパイプ役を果たす記者がいて、政権にとって都合の悪いジャーナリストやコメンテーターを政権に伝え、彼らの仕事を潰してきた。このときのNHKの波取り記者が小池英夫報道局長だった。小池は頻繁に当時の今井尚哉秘書官と連絡を取り合い、5階にある自室から2階のニュースセンターに電話で指示を出していた。小池が2階に降りてくると“Kアラート”といってさらに警戒されていた。この森友事件の特ダネが報道されると、「私は聞いてない。なぜ出したんだ」と小池が相澤を一喝。翌7月27日朝の「おはよう日本」では、この報道はオーダー(放送順)が後ろに下げられた。 相澤冬樹氏は後の2018年10月27日のHUFFPOSTによるインタビューで、このときのことをこう語っている。 今年の5月14日、大阪放送局の報道部長から突然、呼び出しがあったんです。部長だけでなく報道担当の副局長もいて、2人から「あなたは考査部に行ってもらう」と言われました。予感はあったんです。昨年7月、夜のニュース番組で森友学園の問題で特ダネを出したんです。近畿財務局が森友学園に国有地を売る際、学園側から事前に支払える上限額は1億6000万円ということを聞き出し、その金額以下で売った、という話でした。放送終了後、大阪の報道部長のもとに東京の報道局長から怒りの電話がかかってきました。怒られた部長は私にこう明かしました。「(局長から)『君の将来はないと思え』って言われちゃった」 今心配しているのは、一緒に取材してきた同僚たちのことです。彼らも人事で不当な扱いを受けるのではないかと。記者を外されるというあからさまな形ではなく、一見普通に見える異動での仕打ちはいくらでもできます。 (転載元:2018年10月27日 HUFFPOST) 籠池が依頼していた交渉役である酒井弁護士は、維新や藤原工業とずぶずぶの関係で、この疑獄が表に出た途端、一方的な契約解除で表から姿を消している。籠池氏が何も知らずに「神風が吹いた」と喜んでいる間に、国側(近畿財務局・大阪航空局・大物政治家)と酒井弁護士、藤原工業らとの間で、値引きにあたる8億円の山分け額が決定されていた。 7月31日、補助金約5600万円を不正に受け取った詐欺について容疑が固まったとして、大阪地検特捜部が籠池夫妻を逮捕した。補助金をすでに全額返済しているにもかかわらず、他に逮捕されるべき人物が山のようにいるにもかかわらず、資料を全部公開しているにもかかわらず、積算能力をもってないにもかかわらず、ずっと雲隠れしてるのは酒井弁護士にもかかわらず、だった。だが、国側による籠池暗殺を阻止する防護処置とも解釈できた。逮捕直前、籠池は言った。 私は逮捕されるが、そのことで国民が、安倍政権をますます見放すことになれば本望だ 翌日8月1日には、FNNが籠池夫妻と近畿財務局による土地交渉の核心部分の音声データをスクープし、その翌日8月2日には、日テレが「工事費用を1.5倍に増額した虚偽の契約書は、作成に関わったとされる設計会社が建設会社に文書で依頼していたことがわかった」と報道した。さらに8月2日には、ANNが籠池夫妻、大阪航空局、近畿財務局、酒井弁護士、設計会社、藤原工業による2016年3月の打ち合わせメモについて報道した。「事前の価格交渉はしていない」という佐川宣寿の答弁が虚偽であったことを裏付けていた。この報道に対し、麻生財務大臣は「この話はすでにもう検察の方にいっちゃってますんで、私共のほうとしては今の段階でどうのこうのするつもりはありません」と逃げ、形式的なことを盾に真実を追求する誠実さのかけらもない悪徳政治家振りを発揮する。一方菅野完は以下のように、ツイッタ-で設計事務所担当者の筆跡であることを暴露した。 あー!わかった、キアラの杉本の字や。これ絶対、キアラの杉本の字。キアラの人間しか書かない略号があった。昨日テレ朝のニュースステーションが流した、森友の「打ち合わせメモ」あれ、籠池の筆跡じゃないよなぁとおもっていまあらためて手元のコピーみてみたら確実に籠池のじゃない。  9月7日午前9時過ぎ、理財局の太田充局長と中村稔総務課長、そして航空局の蝦名邦晴局長と金井昭彦総務課長が密室協議していた。独立機関である検査院の報告をいかに改ざんして自分たちと政権を守るか。 「このときの内部文書を後に共産党が入手し、翌年の2018年5月28日に衆議院予算委員会で小池・宮本岳志両共産党議員が追及するんだよ」とペンペン。 「へえ、共産党議員頑張っていたんだねえ。共産党の歴史や名称は別として、いい仕事をしている感じ」と僕。  10月11日、報道ステーション(テレビ朝日)での党首討論会で安倍晋三が森友問題に関し、 こういう詐欺をはたらく人物のつくった学校でですね、妻が名誉校長を引き受けたことは、やっぱり問題があったと。こういう人だから騙されてしまったのだろう と発言した。関与していたことを自ら白状する発言だった。この発言に対する衆議院予算委員会での逢坂誠二議員の「どういう意味の発言なんですか?」という質問に対し、安倍晋三の答弁が支離滅裂、しどろもどろ答弁になる。 あの、私の、テレビの発言はですね、今、委員がご紹介された発言の前に、私、このように申し上げてるんですが「籠池さん自体が詐欺で逮捕され起訴されました。これはまさにこれから司法の場に移って行くんだろうと、思います」これは事実、つまり現段階においては、捜査当局は、詐欺の疑いで逮捕しているということ。ま、これを紹介した、ところ、でございます。同時にまた、籠池氏は、ですね、たとえば、朝日新聞のインタビューに答えて、小学校の申請に於いて、安倍晋三記念小学校と申請したと、こう述べています。これを朝日新聞は大きく報道し、であるからこ、当然当局は、私とのかかわりを認識したんだろう、と言って追及をし、それを元に民進党の方々も、これを事実として、ずっと私と国会で追及してきたのは事実、であります。私は残念ながら、確認のしようがなかったんですが、本当かどうかをですね、その段階では、それは、黒塗りにされておりましたら、これは分からなかったわけでありますが。これは黒塗りにされたということは、そうなんだろう、籠池さんもそう言ってるんだから、籠池さんが言ってることは間違いないと、さんざん私もそれで追及されたわけでありますが、私からは、私から籠池さんには、私の名前を使うのは止めてくれ、ということを正式に申し上げたわけでございますが。残念ながら、その後、籠池氏は、実は私の名前を、使うのを止めてくれと言ったにもかかわらず、安倍晋三記念小学校というものが書かれたもので、寄付を使っていたわけでありまして。そういうことを、行為をするのであれば、いわば、警察が、詐欺として、逮捕するということは、それはそういうことなんだろうなぁということを、私は思った、わけで、ございます。つまり、そういう、ことが、たびたび、あったと、いうこと、でありまして。つまり、今申し上げましたように、えー、・・・・  どうしようもなく愚かなリーダーであり、そのような人物がリーダーとなっている日本という国の悲しさを象徴していた。「おまえが国難」というキャッチフレーズが見事にそれを言い当てていた。  11月28日には衆院予算委員会で、財務省と学園が2016年春に「(ごみがあるという)ストーリーはイメージしている」などと相談している新たな音声データの存在を認めた。太田理財局長は財務省が行った過去4年間の公共随意契約972件のうち、売却額を非公表にしたのは森友学園の1件だけだったということも明らかにした。随意契約とは、国や地方公共団体などが競争入札によらずに任意で決定した相手と契約を締結すること、及び締結した契約のことだ。続いて12月6日には、衆院国土交通委員会で、谷査恵子が、ファックスだけではなく、田村財務省室長に直接電話をして森友学園への便宜を要請していたことを田村室長が認めた。12月20日になると、東京新聞が著述家の菅野完氏から入手したとして、国側が「9メートルまでの範囲でごみが混在」しているとの表現なら虚偽にならないと説得し、協議をまとめていたことを示す、より詳細な密談内容を報道した。  一方邪悪な国側は、強権をふりかざし続けていた。2018年になると、2月に大阪地裁が、民事再生中の森友学園の籠池氏の自宅強制競売の手続きを開始する。一方籠池は、暴力団組員や死刑囚専用の独居房に勾留され、移動する際に付き添う刑務官も、通常は1人のところを籠池には3人が付けるという異常振りで、勾留から7か月目でも親族による面会を許可しなかった。さらに2月24日の衆議院予算委員会でも、佐川宣寿は「面会等の記録につきましては、財務省の行政文書管理規則に基づきまして保存期間一年未満とされておりまして、具体的な廃棄時期につきましては、事案の終了ということで取り扱いをさせていただいております。売買契約締結をもって事案が終了しているということなので、当日、その日かどうかは別にしても、速やかに事案終了で廃棄をしているということだと思いますので、記録は残ってございません」と政権に恩を売り続けていた。  3月2日、国側による新たな罪悪が朝日新聞によって報道された。すなわち公文書改ざんである。見方によっては、新たな罪悪どころではなく、国というものの存立意義すらなくなったことを意味していた。 学校法人・森友学園(大阪市)との国有地取引の際に財務省が作成した決裁文書について、契約当時の文書の内容と、昨年2月の問題発覚後に国会議員らに開示した文書の内容に違いがあることがわかった。学園側との交渉についての記載や、「特例」などの文言が複数箇所でなくなったり、変わったりしている。複数の関係者によると、問題発覚後に書き換えられた疑いがあるという。 (2018年3月2日、朝日新聞) 公文書偽造そのものだった。この文書の原本が少なくとも3つあったと、森ゆうこ議員によるツイートが明らかにしていた。 明日、森友決済文書のコピー出されてもなあ。コピーは私が持っているだけでも、3種類あるんだけど。どれを出すんだろう?  しかもその後の官僚たちの対応ぶりが、行政のどうしようもない堕落振りを明らかにしていた。これも、見方によっては、知能が極端に劣化して事の善悪すら判断できなくなったとまで言える。というのは、3日後の3月5日に野党議員たちが近畿財務局に行き、決裁文書コピーを依頼したときに起きた、あまりにも恥ずかしい出来事があったからだ。調書6枚のコピーに30分以上待たされていたため、福島みずほ議員(社民)が異常を感じて事務室に踏み込む。すると、対応していた職員が、ファイルにあった調書とPCの画面を照合していたという。  野党の決裁文書原本開示要求に対し、3月6日には、富山一成理財局次長が「原本は大阪地検に提出し、近畿財務局にない。」と返答したうえで、「文書は捜査対象になっており、すべての文書を直ちに確認ができない状況となっている」と記載した調査状況報告を提出した。調査結果ではなく調査状況報告ということ自体がお粗末だった。財務省理財局の井口裕之・国有財産企画課長はその日の野党6党聴取で「開示請求の関係でいろんなバージョンが存在してしまった」と答弁した。国の行政を司る官僚たちのどうしようもない低レベル、お粗末さが露呈していた。このときに判明したのは以下のようなバージョンだった。パンチ穴は、ファイルに綴じられていた証拠だ。 バージョン1:真正原本 バージョン2:改竄後。パンチ穴の跡あり バージョン3:改竄後。パンチ穴の跡なし 第二章 赤木夫人編  3月7日、近畿財務局の担当職員赤木俊夫上席国有財産管理官(池田靖統括官の直属の部下)が神戸市灘区の自宅で自殺を図り、救急搬送された。野党合同のヒアリングには、遺体の検分にあたる部署の長である刑事局捜査一課の検視指導室長も出席していた。野党議員から厳しい質問が飛ぶ。  近畿財務局から赤木氏の家族に対して口外しないでほしいという要請があったことを御存じか? 財務省はそんなことをするのか?赤木氏が書き換え役を振られていたという情報もあるが。赤木氏が大阪地検の聴取を受けていたことを把握しているのか?  これに対し富山一成理財局次長は、「お答えできる言葉を持ち合わせていない。差し控える」と答えた。(田中龍作ジャーナルより)  3月8日には、毎日新聞をはじめとする大手メディアで「本件の特殊性」という文言が含まれている決裁文書の記事が掲載された。この文言は、2019年11月に日本共産党議員の追及により明るみになった「桜を見る会」問題におけるジャパンライフ問題でも登場する。 「ジャパンライフ問題ってなあに?」 「まあ知らないだろうね。安倍一族とも密接に関係しているから、ちょっと逸脱するけど、日本共産党大門実紀史議員の調査、リテラ、ブログ本澤二郎の「日本の風景」、朝日新聞、日刊ゲンダイなどの情報を基にして説明してあげるね」 と言って、ペンペンは別の映像をホログラムの中に映し出した。  山口隆祥が1975年に設立したジャパンライフは、家庭用永久磁石磁気治療器、化粧品、健康寝具などのマルチ商法販売で、1985年頃まで急成長していた。1983年の売上高は1200億円で、5年間で330倍だったという。その悪徳商法ぶりが問題視され、1985年に国会で「ジャパンライフ問題」として集中審議がおこなわれたほどだった。ところが、その前年である1984年9月に安倍晋三は、安倍晋三の父親であり、国連での公務期間中の当時安倍晋太郎外相と共にニューヨークで山口隆祥と会っていた。安倍晋太郎は1986年2月の衆院予算委員会での質問に対し、「ちょうど私が国連に行っておったときに紹介といいますか表敬に連れてきたことは、確かにその中に今の山口隆祥氏ですか、おられたことは事実です」と、偶然性をにおわすような答弁をしたが、一企業の社長が外務大臣と会うこと自体がその蜜月ぶりを明らかにしている。安倍晋三も国会で「個人的な関係は一切ない」と答弁し、親子そろって深い関係を否定した。真っ赤な嘘だった。ずぶずぶの関係だったのであり、そんなことは清和会関係者ならみな知っていることで、山口が小金持ちを騙して集めてくる暴利に群がっているだけのことだ。  残念なことに、「反省します、もうやりません」などと金に群がる活動を突然停止できるわけがないから、ジャパンライフのあこぎな事業活動が続く。相当ひどい活動だったようで、2013年から2014年にかけて、消費者庁がジャパンライフの調査し、破綻しそうな実態を正確に把握して、立ち入り検査を実施することに決めた。ところが、2014年7月に経産省大臣官房付だった山田正人氏が取引対策課長になった。そして、消費者庁の担当会議では、杉田育子取引対策課課長補佐の立入検査をすべきという主張に対し、山田取引対策課長が立入検査を行うほどの違法事実はない、召喚(呼び出して注意)でいいと主張した。このときに会議で配られたという「要回収」とされた「もうひとつの文書」に、ジャパンライフの立入検査不要ということだけでなく、以下の文言まで書かれてあった。 「本件の特異性」 「政治的背景による余波を懸念する」 「この問題は政務三役へ上げる必要がある」 要回収にすること自体も隠ぺい工作で大問題だが、こうして立ち入り検査は取り止めになり、9月に消費者庁は、文書注意だけで済ませた。 これでまた荒稼ぎしまくることができるようになったとばかり、2015年から特に悪辣な勧誘活動を開始した。悪辣というのはこういう意味だ。まさにこの時期、つまり2015年4月の「桜を見る会」に安倍晋三が山口隆祥を招待していたのである。もちろん、「桜を見る会」招待には、間接的な資金集め目的だけでなく、選挙対策という目的もあるが、とにかくジャパンライフは、この招待状を利用して勧誘資料を作成し、顧客を信用させていた。 「どういうふうに作成していたの?」 「60番と書かれた受付票や首相の顔写真を入れていたんだよ」 「60番は何を意味していたの?」 「首相や官房長官による招待区分枠」 「桜を見る会って、もともとたくさん貢献した人を招待するイベントなんでしょう? もう怒りで目がくらむよ」 と、僕は叫んでしまった。 3月9日には決裁文書の国会提出時の理財局長だった佐川国税庁長官が辞任した。ここまで国側の堕落ぶりが明らかな状況に対しても、安倍ヨイショ評論家の小川栄太郎は以下のようなツイートを発信していた。 【悲しみ・激怒・憤怒】週刊朝日の記事を見て、この数年感じたことのないほどの激烈激甚な怒りを覚えている。誰もはっきり言わないなら、私が言う。近畿財務局職員を自殺に追いやったのは朝日新聞と反日野党だ。(2018年3月10日)  このツイート発信のわずか1時間後に日経が財務省の改ざんを認める方向性を報道した。 財務省は学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、複数の決裁文書が存在するのを認める方向だ。12日に国会に事実関係を報告する。文書の内容を意図的に書き換えたとの疑いが濃厚になった。同省は決裁にかかわった近畿財務局の幹部職員ら複数の懲戒処分を検討するものの、全容解明には時間がかかる見込みだ。複数の財務省関係者が明らかにした。決裁文書の国会提出時の理財局長だった佐川宣寿国税庁長官は9日付で辞任した (2018年3月10日、日本経済新聞) 「この時期には、もう一つ自民党にとっての難題があったんだよ」 と、ペンペンが指摘する。もちろん鈍い僕にはなんのことかさっぱりわからない。 「どんな難題?」 「関西電力役員の裏金問題」 と説明されても依然としてわからない。 「えっとー。うーん、やっぱり見当もつかない」 「実はこのとき、金沢国税局の局長が辞職を申し出たんだよ」  関西電力の役員ら20人が福井県高浜町元助役の森山栄治氏(故人)から約3億2千万円を受け取っていた裏金問題だった。返却したと役員らは説明しているが、大半が2018年以降だった。問題がばれたので、あわてて返し始めたことは明らかだった。しかし役員らは、「森山メモ」も公表されるのではないかと恐れていた。役員らだけでなく、関係した政治家たちももちろんだった。 「普通、確定申告の時期に辞職なんかしないんだよ。森友問題だけでも頭が痛かったから、とにかく火消しするしかなかったんだよ」  まったく頭がくらくらしてくるほど情けない国だ。しかもトップの財務大臣は責任を実感する素振りさえ見せなかった。  3月12日には、財務省が昭恵氏の名前を削除するなど書き換えがあったことを認め、午後に国会に78ページの報告書を提出した。「昭恵夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください』とのお言葉をいただいた」という記載はあったが、谷査恵子氏に関する事を含む、昭恵氏の関与を示す濃厚な事実は一切記載されていなかった。野党合同ヒアリングで、私人の昭恵氏の名前を公文書に記載した理由を聞かれると、「決済に関わる特殊事情として報告した。特殊事情とは、わかりやすく言えば「土地ころがしビジネス」。今回の一件は理財局が独断で行った事と、理財局に責任をなすりつけていた。一方、この時点で自殺した近畿財務局の職員の妻の赤木夫人は、近畿財務局の信頼できる上司らによって自宅以外の場所にかくまわれていた。夫人は「財務省本省の人とは二度と口をききたくない」と言って、本省からの連絡をすべて拒否していた。改ざんを強制され日に日にやつれていった夫に心を痛めていた夫人としては当然の自己防護措置だった。 3月14日には、安倍晋三が参院予算委員会で、文書の改ざんについて「(3月)11日に報告を受けた」と答弁した。息を吐くように嘘をつくサイコパス人間としてはごく普通の発言だった。この文書改ざん事件は、今井尚哉首相秘書官が、当時の迫田元理財局長と後を引き継いだ佐川宣寿と相談し、佐川宣寿から部下の池田靖統括官を経由して、自殺したと言われる赤木俊夫氏に改ざんを実行させたと考えるのが自然であり、後に、その通りであったことが判明した。またこの日には、産経新聞が「改竄は大阪地検特捜部が実施した電子鑑識によって判明したとみられることが13日、関係者への取材で分かった」と報道し、改ざん前の文書の破壊という財務省の重大犯罪を裏付けた。それにもかかわらず、財務大臣はさも他人事のように居座っていた。 しかし、3月15日には菅官房長官が会見で、官邸が(3月)5日の時点で、国交省から「文書改ざんの可能性がある」との報告を受けていたと発言した。またこの日には、野党合同ヒアリングで柚木道義議員(希望)、杉尾秀哉議員(民進)の追及により、1月29日に2人目の死者が出ていたことも明らかになった。犠牲者は、国側の国会答弁を作成する仕事にあたっていた理財局国有財産業務課・債権管理係長で、「亡くなったのは、国有財産業務課のA係長で1月29日、自殺したそうです。佐川宣寿前理財局長の国会での答弁作りなどを手伝ったという噂が出ていますが、箝口令が出ており、詳細はわかりません。係長は残業で過労気味で亡くなる前は仕事を休んでいたという話です」と財務省関係者が証言していた。井口裕之・国有財産企画課長は「マスコミフルオープンの場でそうしたことはお答えできない」としか回答できなかった。 15日、16日と首相官邸前では安倍晋三の退陣を求めるデモが繰り広げられた。邪悪政権は、東京メトロ国会議事堂駅前の官邸前に出る「3番出口」や「1番出口」に制服警察官を配置し、バリケードを置いて立ちはだかった。  3月19日には、日テレニュースが「理財局は国交省に対しても近畿財務局と同じように改ざんするよう依頼していたことが判明」と報道し、国側の悪事はさらに暴露された。さらに3月25日には、毎日新聞が「財務省が同省近畿財務局に改ざんを指示するメールを送っていたことが分かった」と報道し、どうしようもない腐敗ぶりが露呈された。  3月27日、佐川宣寿前理財局長の証人喚問が行われた。午前中に参院予算委員会、午後に衆院予算委員会で行われた。核心部分についての質問には「刑事訴追の恐れがあるため答弁を差し控えさせていただきたい」などの証言拒否ではぐらかす一方、「理財局の中だけでやった。官房、官邸は関わっていない」「安倍首相、首相夫人の関与、影響はない」「安倍総理秘書官からの指示もない」などの政権擁護の内容は積極的かつ明確に発言した。事なきを得るために抜擢された丸川珠代議員は「総理の指示はありませんでしたね」と、噛んで含めるような見え見えの質問を繰り返す。横には甘利元経済再生担当相の口利きワイロ事件の弁護を担当した人物である熊田彰英弁護士が補佐人として付き、あろうことか、証人喚問の最中に自民党理事が佐川宣寿に議場内で指示まで与えていた。ちなみに「刑事訴追の恐れ」というのは「刑事罰の可能性があるので本当のことは言えない」という意味で、法的にも「自己に不利益な供述は強要されない」という定めがある。しかしこれでは証人喚問の意味がない。国民の財産、国の行政に関わることだから、本当のことをすべて白状しなければならない。あいまいさの多いこの国の情けない点だった。 金子原予算委員長:証人はこの決裁文書の書き換えを知っていましたか。仮に知っていたならば、誰がどのような動機でいつ誰に書き換えを指示したのか示してください。 佐川証人:今の委員長のご質問でありますいつとか、私がその決裁文書の書き換えにいつどのように認識をしたかといったことにつきましては、私が捜査の対象であり、刑事訴追を受けるおそれがございますので、その点につきましては答弁を差し控えさせていただきたいというふうに思います。 金子原予算委員長:財務省では、従来から当たり前のように決裁文書の書き換えや一部文書の抜き取りが行われていたのではありませんか。 佐川証人:今回の理財局におけます決裁文書の書き換え問題につきましては、本当に申し訳なく思って深くおわび申し上げます。ただ、今の委員長のご質問であります、それ以外の決裁文書に対する取り扱いについて私は承知をしておりませんので、その点についてお答えする立場にございませんし、そういうことを知っているわけでもございません。 と、冒頭から「刑事訴追を受ける恐れ」を盾に証言拒否した。 自民党丸川珠代議員:理財局の内部で書き換えが行われたということでございますが、改めて確認をいたします。佐川さん、あるいは理財局に対して安倍総理からの指示はありませんでしたね。 佐川証人:ございませんでした。 自民党丸川珠代議員:念のためにうかがいますが、安倍総理夫人からの指示もありませんでしたね。 佐川証人:ございませんでした。 自民党丸川珠代議員: 官邸の官房長官、官房副長官、総理秘書官からの指示はありましたか。 佐川証人:ございませんでした。 自民党丸川珠代議員:安倍総理秘書官からの指示はありましたか。 佐川証人:ございませんでした。 と、真実を追求する誠実さのかけらもなかった。 民進党小川敏夫議員:例えば国会答弁はですね、総理大臣の答弁もありますよ。そうすると、総理大臣の答弁に当たってはですね、これは直接の担当部署である、財務省理財局の方もですね、その答弁の打ち合わせ作業に加わるんじゃないですか。 佐川証人:基本的には私の当時局長だった私の答弁の抜粋と申しますか、しかし、少し簡略化したようなものをそれぞれ、大臣や総理にはご答弁を、入れたということでございます。 民進党小川敏夫議員:だからそれは一方的に答弁を入れたんじゃなくて、やはり官邸側の担当者とも、その答弁の内容について協議、打ち合わせをしたっていうことじゃないですか。 佐川証人:答弁作業は、そういう官邸の秘書官とか、大臣秘書官との打ち合わせは局長はやりませんので、たぶん実務的には課長とかそういう人たちがやっていたというふうに思いますが、ただ翌日私自身は、理財局が作成した答弁は見ておりますので、そういう意味では、総理答弁とか大臣答弁も、私が答弁する内容のある種部分的な抜粋を政治家としてお答えいただくような話についての答弁があったというのは私の記憶でございます と、総理答弁の綿密な打ち合わせはなかったとあくまでも言い張った。ファックスに関しては、 民進党小川敏夫議員:谷さんがですね、籠池氏の要望事項を伝えた、その文面にはですね、買い取り価格がべらぼうに高いんだという籠池さんの要望事項が入っておりました。そうしたことも谷秘書からですね、田村室長に伝えられたとこういうことでよろしいわけですね。 佐川証人:その谷さんが籠池さんに送ったと言われているあのファックスは私も当時読みました。その時には定期借地の話とか、工事の予算、工事をやって予算化の話とかそんなのが4つか忘れましたが5つか書いてあったというのは自分の認識でございまして、何か個別にどういうその、田村が、田村室長がやりとりしたかというのはそこはちょっと承知してございません。 民進党小川敏夫議員:籠池氏がですね、書いた手紙、要望事項等はですね、書かれた手紙、このコピーがですね、谷さんから田村室長に渡されたんじゃないですか。 佐川証人: 私が当時の秘書から聞いたのは電話を受けたと。電話で質問を受けて、それで電話で答えたということでございます。 と、傍観者のごとくとぼけ続けた。田村室長に対する自身の関与については、 民進党小川敏夫議員:じゃあ。田村室長からですね、この昭恵夫人の方からも聞いてもらったことがあると思うという籠池氏の発言については、証人は、特に具体的な言葉については、何も確認していないとこういうことなんですか。 佐川証人:私が田村室長から聞いた時には、その個別の具体的なやりとりも当然私知っておりませんし、田村室長からの報告がそういう報告でありましたので、そう私は田村室長の方からそういう現場で対応しますと、先方が新たなゴミが出てきてすぐ対応してほしいと言ったんで現場で対応しますと、あとについてはいろいろご夫妻が交互におっしゃっていてっていう報告を受けましたんで、今委員がおっしゃられた昭恵夫人に言われたみたいな話そのものを私ども、当時知りませんでしたので、従ってその田村室長とそういう会話を交わしようがないということでございます。 と、明確に否定した。大深度のゴミについては合理的な根拠がないとする会計検査院の意見に対しては、 民進党小川敏夫議員:会計検査院からですね、そうした深いところのゴミについては合理的な根拠がないという意見がされたことについては証人としてはどう判断していますか。 佐川証人:独立した検査機関である会計検査院の指摘は大変重く受け止めるべきだというふうに思います。ただ当時、私どもが勉強したところでいいますと、9.9メートルのくい、3.8メートルのところ、それから国土交通省がそういう専門家として、工事積算基準を用いて計算したというのを、私どもはそれは正しいというふうに判断したということでございます。 と、自分たちの謀議を認めるどころか、当時は正しい判断をしたと開き直った。安倍晋三への忖度に関しては、 民進党小川敏夫議員:2月17日ですか自分や妻の関与があれば、総理も辞めると言う趣旨の答弁がありました。こうした総理の答弁を受けてですね、特に証人あるいは財務局のほうでですね、答弁に対する姿勢というものについて、影響はありましたか。 佐川証人:私もあの場で予算委員会で聞いておりました、一緒におりましたんで。でも、総理の答弁の前と後で私自身が答弁を変えたという意識はございません。 と、きっぱり否定した。最初から忖度していくつもりだったら、確かに答弁を変えてないとも言える。続く公明党の横山信一議員は、自民党丸川珠代議員と同じく「不当な働きかけはないということでよろしいですか」という噛んで含めるような質し方だった。次の日本共産党小池昇議員の質問に対しては、佐川が本領を発揮した。 日本共産党小池昇議員:あなたの昨年2月から3月にかけての答弁、これは、あなたが現場における個別案件と述べた意味での現場ですね。すなわち、近畿財務局と理財局の記録に基いて答弁を行われたんですね。 佐川証人:私の答弁の資料は、理財局の原課と近畿財務局の間で多分連絡を行ってあがってきたものだと私は理解しておりました。 日本共産党小池昇議員:それは改ざん前の文書に基く答弁ですね。 佐川証人:文書の書き換えがいつあったのか、私がそれをどう認識しているのかということについては、それは刑事訴追の恐れがあるということでございますので、答弁は控えをさせていただきたいと。 日本共産党小池昇議員:それはおかしいんですよ。これ、改ざんについての質問しているわけじゃないんですよ。だって答弁の根拠は、その当時は改ざん前の文書でしょうが。それしかないんでしょう。それをもとに答弁したんじゃないですか。なんでそんなことが認められないんですか。 佐川証人:今のご質問ですと、要するに決裁文書がいつ書き換えられたのかという問題と結びつく話だと私は思うんです。そういう意味では、私自身が今そこの捜査の対象になっているということでございますので、その点につきましては刑事訴追の恐れがありますので、当然、控えさせていただきたいというふうに申し上げております。 と、刑事訴追の恐れを勝手に推測して証言拒否した。 日本共産党小池昇議員:この間の予算委員会でのここでの質問についてはね、私は全部内閣官房にも質問通告しております。当然、あなたの答弁内容は、首相官邸とも調整しているということになるんじゃないですか。 佐川証人:理財局が書かなくちゃいけない答弁というのは理財局で書いて、それを大臣なり総理にお渡しするということでございますので、調整とかということではなくて、そういう、こういう個別の案件については理財局が総理用に少し簡単にしたものをお届けするというのは実態だったと思います。 と、見え見えの嘘の証言。 日本共産党小池昇議員:いつ見たかと聞いたんじゃなくて、安倍昭恵さんの名前が何度も出てくると。それをいつかの時点ではご覧になったんでしょう。その時に証人はどういう印象をどう受け止めたんですか。 佐川証人:いつ見たとは聞いておらないけど、いつか見たんでしょうっていうのは、やっぱりいつ見たのかというご質問でございますので、見たのか見ないのかというご質問でございますから、それを私自身がその書き換えられた決裁文書をいつ認識したのかという問題そのものでございますので、その点については先ほどのご質問と一緒でございます。大変恐縮でございますが、まさに書き換えが行われた決裁文書に関わる問題でございますので、答弁は控えさせていただきたいというふうに思います。 と、珍妙なやり取りに持ち込む。次の日本維新の会浅田均議員は、改ざん前の資料では、国がゴミ撤去費用に関する損害賠償の対象になる、えらい目に遭いますよという弁護士からの脅しのようなものを受けて値引きに至ったと解釈でき、改ざん前の資料では、そのように解釈することができないと指摘した。 自由・社民党森ゆうこ議員:安倍昭恵総理夫人の関与はなかったと先ほど断言されたというふうに思いますけれど、その根拠はなんでしょうか。 佐川証人:貸付契約及び売却契約両方とも不動産鑑定にかけて、法令にのっとって行ったということでございます。 と、言質を取られないように答弁する。 自由・社民党森ゆうこ議員:先ほど、小川敏夫委員の質問に対して谷査恵子さんと田村室長とのやりとり。具体的な会話は承知していないというふうに証言されたと思うんですけど、それで間違いありませんか。 佐川証人:谷さんからのは田村室長が受けたところに私現場でいたわけでございませんので、具体的な詳細ややりとりは承知してございません。 自由・社民党森ゆうこ議員:具体的な詳細を確認してもいないのに、安倍昭恵総理夫人の秘書官である谷査恵子さんが田村室長といろいろやりとりしたわけですよね。それを具体的に確認せずして、なぜ安倍昭恵夫人のこの問題に関する関与がなかったと断言できるんでしょうか。 佐川証人:田村室長からはやりとり、ファックスが出た後ですけれども、確認をしてございます。そういう中でああいう定期借地契約の話を聞いたとそれ以外については、そこにあるような文章の話を一般的なものとしていたかもしれないというのが、田村からの報告、室長からの報告でありましたので、その時点でその安倍昭恵夫人の話とかは一切出てございませんでした。 自由・社民党森ゆうこ議員:谷さんには確認してないんですよね。なぜその断言できるのかが理解できないんですよ。なぜ断言できるんですか。 佐川証人:何かその不当な働き掛けとかそういうものがあれば、それはそういうものがきちんと残っておるでしょうが、そういうものもなく、不動産鑑定にかけて法令に基いてきちんと契約をしているというのは、当時私は確認しておりますので、そういうふうに申し上げております。 と、谷査恵子には確認してないにもかかわらず関与がなかったと断言する点に対する追及には、法令に基いた契約と言って逃げるしかなかった。続く福山哲郎議員はさらに厳しく追及する。 立憲民主党福山哲郎議員:頭脳明晰な佐川さんの割にはちょっとわからないんですよね。法令にのっとって契約したんですよね。じゃあなんで文書を改ざんする必要があったんですかね。 佐川証人:書き換えが行われた決裁文書の経緯等につきましては、私、告発されている立場でございますので、ご答弁は控えさせていただきたいと思います。 立憲民主党福山哲郎議員:関わっていないなら、ここで明確に関わっていないとおっしゃればいい。ここは証人喚問の場だから。事実を解明する場だから。あなたが言うように理財局でやったと、理財局の中で改ざんしたと言われてるんだったら、あなたをその中の一人としては関わったということですね。 佐川証人:今のご質問もまさに、今の捜査が行われている中の話でございまして、誰がどういうふうに関与したかというのは、私も含めまして捜査の対象になっているということでございます。 立憲民主党福山哲郎議員:関わっていないんだったら、関わっていないと言えばいいじゃないですか。理財局でやったということは、あなたもそのうちの一人だということですね。 佐川証人:その点も含めましてまさに誰がどういうふうな経緯でということがまさに捜査の対象になっているということでございます。 と、あくまで捜査の対象になっていると言って逃げきろうとする。 立憲民主党福山哲郎議員:もう一つわからないんですね。改ざんの経緯については刑事訴追の恐れがあると言って今もまったく答えないのに何で総理官邸の関与や大臣の関与だけは明確に否定されるんですか。 佐川証人:昨年の中で私が理財局長をしておりました間、そういう官邸なり、大臣とかそういうところからの指示がなかったので指示はありませんでしたというふうにお答え申し上げておるところでございます。 と矛盾を突かれるが、鉄面皮で指示がなかったと強情に言い張った。 立憲民主党福山哲郎議員:非常に理解しがたい答弁がたくさんあります。もう本当に信じられません。安倍昭恵総理夫人等の関与はなかったと言われました。あなたは、ファクトに基いたわけではないですよね。 佐川証人:貸付も売却も鑑定士にかけたもとで契約書作ってるということでございます。 と、国民を愚弄する一点張りの根拠で逃げきろうとした。 無所属クラブ薬師寺みちよ議員:総理のことを心配して国会対応が変わったということがございませんか。 佐川証人:その前後で私は答弁を変えたと言うつもりはございません。 無所属クラブ薬師寺みちよ議員:国会対応をめぐりまして、いつもどなたと対応なさってらっしゃいましたでしょうか。 佐川証人:基本的には私一人が答弁書を持って答弁していたというのが実態でございます。 と、ぶれずに答弁。午後2時から衆議院予算委員会に入る。 河村建夫予算委員長:決裁文書の書き換えの経緯及び、佐川証人の関与の有無についてお答えください。 佐川証人:私自身、刑事訴追の恐れがありますので、この答弁は控えさせていただきたいと思います。 河村建夫予算委員長:決裁文書の書き換えが行われた理由についてお答えください。 佐川証人:決裁文書の書き換えられた理由につきましても、決裁文書の書き換えられた経緯に関わる話でございまして、その点につきましても、刑事訴追の解釈がありますので、ご答弁は差し控えさせていただきます。 と、繰り返す。最初は自民党石田真敏議員で、長々と事実の確認をした挙句、以下のようなソフトな確認。 自民党石田真敏議員:谷さんからの影響は一切なかったと理解してよろしいですか。 佐川証人:私が昨年ずっと局内で聞いていることでは、国会でご答弁をしたという中ではその一回限りという理解でございます。  その後も「どう認識されていますか」といった追及性のまったくない単なる確認作業に終始した。次の公明党竹内譲議員は赤木氏の自殺に触れる。 公明党竹内譲議員:3月7日にですね、近畿財務局の職員が自殺されているわけであります。3月15日にはNHKで19時から全国ニュースで遺書の内容を報じているんですね。決裁調書の部分が詳し過ぎると言われ、上司に書き直させられたと。勝手にやったのではなく財務省からの指示があったと。このままでは自分一人の責任にされてしまうなどの文言が並んでいたと、NHKが報じています。この報道につきまして、どのように感じていますか。 佐川証人:財務局の職員が亡くなられた話は、私が国税庁長官を辞任した9日の金曜日の日にニュースで知りました。大変残念でございまして、本当に心よりご冥福を祈りたいというふうに思っております。ただNHKの報道でございましょうか、報道で亡くなられた方の遺書というお話でございますれば、私はその方が亡くなられた経緯等々について一切承知しておりませんので、その点につきまして何か申し述べることはできない、申し述べられないということでございますので、ご理解賜りたいと。 と、役人用語満載の白々しい不誠実な答弁を披露する。次の立憲民主党逢坂誠二議員は、種々の確認をした後、そばにいる補佐人に関する質問をする。 立憲民主党逢坂誠二議員:この補佐人の方はですね、今回のこの事案、この事案にお願いするにあたって、与党関係者や政府関係者との接触というのはありますでしょうか。 佐川証人:補佐人につきましてはこれも私が個人的にお願いしている話でございますので、そこについてはちょっと答弁は差し控えさせていただきたいと思います。 立憲民主党逢坂誠二議員:それでは与党政府関係者との接触は否定されないということに受け止められるんですけれども、それでよろしいでしょうか。 佐川証人:補佐人の助言を求めたいと思います。すいません。今のご質問ですけどもうちの補佐人が政府関係者とか、与党の関係者との接触があったかというと、「ない」ということでございます。 と、嘘のつき方のお手本を示した。補佐人熊田彰英弁護士は、甘利元経済再生担当相の口利きワイロ事件の弁護を担当した人物で、与党政府関係者とずぶずぶの関係の人物だからだ。 希望の党今井雅人議員:午前中、丸川さんの、委員の質問に対して、総理あるいは総理夫人の直接の指示があったか、あるいは影響があったか、こういうことに対して、全くなかったとおっしゃってますが、なぜここの部分だけは話して、他の部分は訴追の恐れがあるから答えられませんというこのダブルスタンダードは一体どういう意味なんですか。 佐川証人:本件は決裁文書の資料の要求に当たりまして、この個別案件の資料要求についての話を官房に相談するとか、報告をするとか、官邸にまして報告をするとか、ご了承受けるとか、そういうことはないでございます。 希望の党今井雅人議員:ここの部分だけはっきり答えるっていうのはどういうことなんですか。 佐川証人:理財局の中で行われたというふうに申し上げていて、そういう理財局の中で行われた行為が今、捜査の対象になっているということを申し上げてるんでございまして、理財局長として何か大臣等から指示を受けたことはないということと、今まさにその捜査の対象となっている、そういう理財局の中についてのお答えする話というの、これはまさに捜査に関わる話であるということでございます。 希望の党今井雅人議員:直接指示がなかったとしましょう。だとしたとしても、夫人のいろんな関わりで、忖度して、あるいは間接的な影響で、この改ざんをした可能性ってのは否定できないじゃないですか。影響がなかったってどうして断言できるんですか。 佐川証人:影響がなかったというふうに申し上げましたのはまさに、国有財産部局の仕事はこの国有財産の管理処分なんです。そこについて不動産鑑定にかけてきちんとそういう契約を結んだということであり、客観的でかつ昨年、答弁をする中でも部内でそういう報告もありませんでした。 希望の党今井雅人議員:ゴミについて虚偽の報告書を作ったというふうに証言があるという報道、ご存知ですよね。 佐川証人:そういう報道があることは承知しております。 希望の党今井雅人議員:これが本当だとすれば、今おっしゃっていること全て崩れるんです。ですからそういうことも含めて今ここで今日影響がないと言い切るのはそれおかしいでしょう。 佐川証人:今委員がおっしゃるように虚偽だったかどうかというのは私は存じませんけれども、私は当時の積算は正しかったというふうに思っていたということでございます。 と、直接の指示や影響がなかったということだけ断言することの矛盾をまたしても突かれた。 希望の党今井雅人議員:午前中の話でですね、何かこのときのやりとりで何か個別に谷さんと田村さんがどういうやりとりをしていたのか承知していないというふうにおっしゃられて、詳しい内容がわからないとおっしゃられてたんですけど、それでなぜその田村さんに関わることで、夫人のことが全然影響していないということがわかるんですか。 佐川証人:午前中申し上げたのは、そばにいて聞いたわけではないので、すべての詳細なやりとりはもちろん承知していないというふうにお答えして、ただ田村室長から報告を受けましたんで。 希望の党今井雅人議員:ということは田村さんに、安倍昭恵総理夫人について谷さんとどうやって安倍昭恵さんから聞いたのかとか、そういう詳しい話は一切聞いていないということですね。 佐川証人:それはそういうことです。 希望の党今井雅人議員:それでは、そのときの取引に関わった職員の皆さんに、全員聞き取りでヒアリングされましたか。 佐川証人:しておりません。 希望の党今井雅人議員:それでなぜ安倍昭恵夫人が影響してないと言えるんですか。 佐川証人:局長としてですね、やはり報告を受ける人を信じて、私に報告を上げてくる人たちの中にそういうような話もなかったということでありますので、そういうふうに申し上げておるわけでございます。 と、安倍夫人の影響がなかったということだけ断言することの矛盾をまたも突かれた。「報告を受ける人を信じて」という言葉は感情的なものであり、論理破綻は明白だ。矛盾する断言答弁が続いて暴かれる。 無所属の会江田憲司議員:もし仮にあなたがこの改ざん問題に関与していないとすればね、そんな断言答弁はできないでしょう。これは、まさにあなたがこの改ざん問題に関与してるっていう自白をしてるのと同じではありませんか。 佐川証人:こういう案件は、まさに理財局の中でそういう現場の話を聞きながら資料対応等も関係するということでございまして、そういう意味では他の部局に相談するような話でもありませんし、それから、先ほどから申しましたように官邸と大臣とかそういうところから指示があれば、当然、私のところに報告も来ますし、あるいは直接であれば私のところにも来るということで、そういうこともございませんでしたと思っております。 無所属の会江田憲司議員:あなたがもし改ざんに関与してないとすれば、あなたは部外者なんですよ。何でこんな答弁ができるんですか。あなたが関与している証拠じゃありませんか。 佐川証人:官邸なり大臣なりから仮に指示があったとすれば、必ず私のところに報告が上がってくるというふうに思います。 無所属の会江田憲司議員:これは本当にね、違和感があります。非常にあなたの場合はね、断言答弁って多いんです。普通ですね。私も官僚出身ですけども、官僚答弁というのは、のちのち何か起こったことに備えて逃げ道を作るもんなんですよ。あなたの断言、言い切り答弁というのはあなたの判断でやられたんですか。それとも答弁資料にそう書いてあったでしょうか。 佐川証人:私の答弁がそういうよくないというお話であれば、大変丁寧さを欠いたという意味でおわび申し上げますが、不当な働きかけは一切なかったというのは、それはそういう政治的な圧力というものはなかったというのは、当時、局内でも報告を受けて聞いておりますし、交渉記録については、答弁そのものが丁寧さを欠いたというふうに思っております。 と、断言答弁を見破られながらもそれを続けていくしかないお粗末かつぶざまな高級官僚の姿をさらしていた。 日本共産党宮本岳志議員:あなたは昨年2月24日の衆議院予算委員会で、面会等の記録は平成28年(2016年)6月20日の売買契約締結をもって破棄してると、こういう答弁を私に初めてなさいました。この答弁は虚偽答弁でありましたか。 佐川証人:今のお話の6月20日をもって破棄したという私の答弁は本当、財務省のちょっとここで何回かお詫びしておりますように、財務省の文書管理規則の取り扱いをもって答弁したということでございまして、そういう意味本当に丁寧さを欠いたということでございます。 日本共産党宮本岳志議員:そういう問題ではないんですね、あなたはですね、午前中の答弁、証言で、個別の事案についてもきちんと確認をして答弁をしなかったという点で丁寧さを欠いたと、こういう答弁をしているんですね。しかし、2月24日のあなたの答弁ですね、昨年6月の売買契約の締結に至るまでの財務局と学園側の交渉記録につきまして、委員からのご依頼を受けまして、確認しましたところ、近畿財務局と森友学園の交渉記録ということはございませんでしたと。これ全くどちらかがうそですね。 佐川証人:その確認をしたという意味ですけども理財局に文書の取り扱い規則を確認したということでそういう答弁をしてしまいました。申し訳ありません。 日本共産党宮本岳志議員:だめですよそんなの。答弁になっていないですよ。そんなの通らないですよ。 佐川証人:本当に申し訳ありませんでした。文章の取り扱い規則の話をしてございました。 日本共産党宮本岳志議員:じゃあ、この答弁については虚偽答弁を認めますか。 佐川証人:それはその虚偽というふうにあれですけど、私自身はその虚偽という認識がその時はございませんでした。 日本共産党宮本岳志議員:昨年の答弁がまさに虚偽答弁であるか、2つに1つですよ。じゃあ、午前中の答弁、撤回してください。 佐川証人:ですからあの、お詫び申し上げますが、昨年の委員に対する答弁がそういう趣旨の答弁だったということでございます。 と、どんなに矛盾を突かれ、論理破綻していても、ひたすら体制を守る官吏の立場を貫いていた。体制を守るための矛盾が一国をどれだけ壊していくことになるのかわかっていないあほ官僚の代表だった。しかし、政権側がどんなに霞が関の官僚やNHKをはじめとするマスコミを統制して悪事を隠そうとしても、徐々にその悪事は暴露されていった。 4月9日には参議院決算委員会で、「(8億円値引きの)根拠もわからない」などと表明する籠池への働きかけをめぐり、前年の2017年、理財局側からゴミの撤去に関して「トラック何千台も走った気がするといった言い方をしてはどうか」という口裏合わせを依頼していたことを、太田理財局長が認めた。3月27日の証人喚問での佐川証言がまったくの嘘であると認め、それだけでなく、その口裏合わせの発端が「佐川前理財局長の指示だ」とまで述べた。  5月9日には日テレが、「財務省側が学園側などと面会や交渉をした500ページ以上の記録が残っていた」と報道し、佐川証言の嘘がここでも大きく暴かれた。記録の中には2016年3月当時の理財局と籠池とのやりとりが詳細に記録され、昭恵夫人や複数の政治家の名前も記載されていた。翌日の5月10日には、今井尚哉首相秘書官独占インタビュー、「昭恵夫人が無関係とは言えない」という見出しの月刊文藝春秋6月号が出版。  5月23日には、財務省が午前の衆院予算委員会の理事懇談会に、学園側との交渉記録を提出した。産経は「佐川宣寿理財局長が昨年の国会答弁で、『廃棄した』と繰り返し強調してきたものだ。記録からは、答弁と“帳尻”を合わせるため、財務省が記録を意図的に廃棄してきたことが判明」と報道。毎日は「午前10時、衆院予算委員会の理事懇談会。着席した各理事の前に、事前に運び込まれた約30センチの紙の束が積まれていた」と報道。しかし、悪人というのはどんな時でも「悪うございました」などとは決して言わず、ひたすら保身に励む。それを証明するかのように、安倍晋三は「(記録が)残っていないというこれまでの財務省の答弁と異なっており、誠に遺憾だ」と口先だけは善人者づらしながら、夜の東京赤坂の飲食店における会合では、責任を取るべき麻生財務大臣の続投を確認した。菅義偉官房長官も記者会見で「国民から厳しい目が向けられていることを真摯に受け止め、麻生氏の指揮の下で徹底調査を行い、再発防止に努めてほしい」と援護する。この時点では、加計問題や防衛省のイラク日報問題でも国の中枢のどうしようもない劣化が明らかになっている。この日、籠池夫妻の保釈が決定された。  5月28日の衆議院予算委員会で日本共産党宮本岳志議員が追及した。 日本共産党宮本岳志議員:参議院の議論で、太田理財局長は、この9月7日に航空局長と顔を合わせて対応を協議していたと、協議の事実を認めました。では、もう一方の当事者である蝦名航空局長に聞きますけれども、昨年9月7日午前9時15分から55分の間、財務省の太田理財局長と顔を合わせて意見交換を行った事実を認めますね。 蝦名政府参考人:今後の通常国会などに対しての対応について、さまざまな意見交換、情報交換を行うということでお会いした記憶はございます。 日本共産党宮本岳志議員:総理、午前中、総理は小池晃議員に対して、本当にあるかどうかということについて調べてみたいと答弁をされました。もう5時間たつわけですけれども、すぐに見つかったでしょう。 安倍内閣総理大臣:見つかったかどうかについては、まだ報告を受けておりません。 日本共産党宮本岳志議員:すぐに見つかりますよ。この意見交換概要というものによりますと、会計検査院報告書について、太田理財局長が、総額を消すことが重要だが、それが難しい場合には、失点を最小限にすることも考えなくてはいけない、少なくともトン数は消せないのではないか、金額よりもトン数の方がまし、仮に総額が残る場合には、むしろ試算額をたくさん記述させ、いろいろなやり方があるとしておいた方がいいなどと、はっきり述べております。太田局長に聞くんですけれども、この時点で、会計検査院報告書に総額やトン数が書かれているということをあなたは知っていた、つまり、会計検査院から事前に報告書の案を見せられていたということですね。 太田政府参考人:私には、もともと参議院の予算委員会の御通告をいただいたのは、9月7日だったと思いますが、その日に会ったのかというのを、朝、御通告をいただいたので、それを確認して、どうもそうであったらしい、私は日付まで正確に覚えておりませんでしたが、9月7日だったらしいということなので、それをお答えしたという、その程度のレベルでございます。 日本共産党宮本岳志議員:いや、事実、その中にはそう出てくるわけですよ。知っていましたか、知っていたんじゃないですか、どっちですか。 太田政府参考人:そのときに報告書の案が云々という話について、私に通告もなく今そのようなことをお尋ねいただいても、何も今、私がお答えのいたしようがございません。申しわけありません。(宮本(岳)委員「委員長、とめてください。だめですよ。そんな、答えようがないはないじゃないか」と呼ぶ) 河村委員長:速記を起こしてください。理財局長、再答弁願います。 太田政府参考人:今の委員の御質問は、そのときに会計検査院の報告書を私が見て、知っておったのかという御質問でございますが、突然そのようなことをお尋ねいただいても、昨年のある段階において検査院とどういうやりとりをしていたのかということについて私に記憶を呼び戻せと言われても、お答えのいたしようがございません。まことに申しわけありませんが、御通告をいただいて調べた上ででないと、お答えは、申しわけありませんけれども、それは無理でございます。 日本共産党宮本岳志議員:去年のことなんですよ、それは。はっきりあなたは去年の9月7日には検査院の報告書案を見て議論していた、これは動かぬ証拠ですよ。 その後、この文書では、官邸や与党にどう対応していくかが議論になっています。太田局長は、まず寺岡を通じて官房長官への対応をするのが基本と述べております。この寺岡氏というのは、菅官房長官の秘書官、寺岡光博氏のことでありますけれども、菅官房長官は、私の最初の森友追及質問の直後、2月22日に、官邸に佐川氏や太田氏、平垣内航空局次長などを呼んで会合を持っておりました。そのことが明らかになっています。総理、この事件は、最初から菅官房長官が関与して隠蔽や改ざんを進めてきた、こういうことじゃないですか。 安倍内閣総理大臣:それは全く推測であって、そんなことはございません。先ほど太田局長も、突然の御下問でございましたからということでああいう答弁となったんだろう、このように思います。いずれにいたしましても、私への質問は、いわば官房長官を中心に隠蔽したんだろうということであれば、それは、そんなことはないということでございます。 と、すっとぼけ回答をする太田、そしてそれを是認する安倍晋三。国の中枢にいながら、自分たちがどれだけ卑劣で、国を崩壊させているかなど、これっぽっちも考えない悪辣な政治屋と官僚だった。 日本共産党宮本岳志議員:国会と会計検査院に対してどう対応するかということでありますけれども、蝦名航空局長が、今後決裁文書等について、どこまで提出していくべきかと言うと、太田理財局長は、個人的には出せるものはできるだけ出した方がいいと思う、出てしまうと案外追及されなくなるという面もある、ただし、政権との関係でデメリットも考えながら対応する必要はある、こういうふうに述べております。両局長、覚えがあるでしょう。蝦名航空局長は太田理財局長と昨年9月7日、国会に出せるものの選定やどういう説明で国会をごまかすかを打ち合わせ、口裏合わせをした、これは事実ですね、蝦名さん。 蝦名政府参考人:具体的にどういうやりとりをしたかということについて記憶をしているわけではございませんので、いろいろな意見交換をさせていただいたということだと思っております。 日本共産党宮本岳志議員:去年の9月ですよ。そのために記録をつくったんでしょう。石井大臣、森友問題に対する大幅値引きも改ざんも、その後の国会対応、会計検査院に対する対策まで、国土交通省航空局は財務省理財局と協議し、口裏合わせをして進めてきた。これは、大臣、どう責任をとられるんですか。 石井国務大臣:もともと大阪航空局は地主という立場であります。で、近畿財務局に売却を依頼したということでありますから、その処分に当たっては、地下埋設物の見積りも依頼をされたということもありまして、近畿財務局、大阪航空局で協議、調整をしながら詰めてきたということであります。 日本共産党宮本岳志議員:いやいや、だから、改ざんから何から全部一緒にやってきたということになっているんですよ。私は、太田理財局長及び中村理財局総務課長並びに国土交通省蝦名航空局長及び金井航空局総務課長の証人喚問を求めたいと思います。委員長、御協議を。 河村委員長:理事会において協議をさせていただきます。 日本共産党宮本岳志議員:私どもの入手した文書を見ますと、先ほど紹介したように、太田理財局長の、政権との関係でデメリットも考えながら対応する必要はあるという言葉が出てきます。結局、改ざんも隠蔽も全て、安倍政権を守るために行われてきたんですよ。総理、あなた自身がその政治責任を負うのは当たり前です。潔く辞任すべきだと私は思いますが、いかがですか。 安倍内閣総理大臣:しっかりと職責を果たしていく決意でございます。 日本共産党宮本岳志議員:全く責任を感じない、こういうことですか。 安倍内閣総理大臣:しっかりと責任を果たしていきたいと考えております。 太田充理財局長、蝦名邦晴航空局長、安倍晋三の往生際の悪さが際立った。「トン数」への言及に関する「検査院から事前に報告書案を見せられていたからではないか」という質問に対し、太田局長が「質問通告がなく、答えようがない」と答弁したとき、委員会室が騒然となった。“見ていない”と否定できなかった、つまり、憲法上政府から独立しているはずの会計検査院が、公表前の報告書を政府にだけ横流ししていた疑惑を否定できなかったため、独立機関である会計検査院の報告書の内容を財務官僚が事前に知っていることはあり得ないため、騒然となったのだ。国の統治機構のどうしようもない腐敗ぶりだった。  5月31日、大阪地検特捜部は、財務省幹部ら38人全員を不起訴処分とした。改ざんをめぐって告発された佐川宣寿前財務省理財局長は嫌疑不十分、他の関係者は嫌疑不十分や嫌疑なしとされた。山本真千子・特捜部長が「文書の効用を失ったとは言えず、うその文書を作ったとは認められない」と、起訴を見送った理由を説明した。 「こんなに明らかな改ざんや偽証なのに、それすら罪に問えないなんて、この国はどうかしてるよ!」 と、僕でさえ憤慨すると、ペンペンが歴史のひとこまを解説してくれた。 「実は、同じように罪が明らかだったにもかかわらず、逮捕が見送られた例があってね、造船疑獄と言われているんだよ」 「造船疑獄?」  早速ネットで調べてみると、確かに1954年に与党幹事長の佐藤栄作の逮捕が、法務大臣の指揮権発動で見送られていた。 「佐藤栄作って、後に総理大臣になった人物じゃないか。その辺の政治的な思惑が絡んでいたの?」 「政治的な思惑が絡んでいたのはその通りだね。ただ、指揮権発動も拡大解釈的に出された面があったり、検察内部の大きな反発もあったりしたんだよ」 「ええー。じゃ、ここまでの腐敗ぶりって、そんな頃からあったの?」 「不正という点では同列だけど、当時の検察庁は寝る暇も惜しんで仕事をしていたんだよ。今回の起訴の見送りに大活躍した検事とは雲泥の差があるよ」 「誰だっけ?」 「コロナ禍真最中に新聞記者たちと賭けマージャンをやっていたことが騒ぎになって辞任に追い込まれた黒川弘務」 と、ペンペンが新たな人物を登場させた。 「なるほどね」 「1981年に東京大学法学部を卒業して2010年に松山地方検察庁検事正、2011年に大臣官房長、2016年に法務事務次官に就任しているんだよ。事務次官は公務員全員のトップで、その上には大臣しかいない、事務方の最終決定権者というわけ。起訴が見送られたことも当然の帰結で、その点では、元から安倍晋三は楽観していたかもしれないね。『八木啓代のひとりごと』というブログを読むと、どれだけ楽観できるかわかるし、森友事件とのつながりもよくわかるよ」 僕は早速そのブログを読んでみた。以下のように記載されていた。    黒川弘務氏は、ある意味、今の検察の顔である。彼が台頭してきたのは、大阪地検特捜部証拠改ざん事件、いわゆる「村木さん事件」とか「フロッピー前田事件」と呼ばれているあの事件がきっかけだ。2009年、現役の検事が、現役の厚労省キャリアを罪に落とすために、無実の決定打になるはずの証拠を改ざんしてまで有罪に持ち込もうとした。この前代未聞とされる不祥事は、朝日新聞のスクープで大問題となり、その後、当時の民主党政権下、鉢呂法相の意向のもと、「検察の在り方検討会議」で、検察改革のための議論がなされることになった。  そのとき、本来なら、そのような冤罪を作らないようにするために、自白偏重主義を改めるなど、検察にとって厳しい「在り方を検討する」はずだった会議は、どういうわけか、ほんのわずかの取調べ可視化と引き換えに、検察の司法取引などを容認する刑事訴訟法改悪や盗聴の拡大という、世紀の「火事場泥棒的な法案改悪」を引き起こしてしまう。このときの事務局として、まさに、委員を取り込んで、きれいに丸め込むという手腕を発揮したのが、黒川弘務大臣官房付だった。 (中略) 民主党政権下では、鉢呂経産業相は、その後の福島原発事故の際、福島を視察して「死の町だった」と言っただけのことで、「不謹慎だ」という異様なバッシングを受け、その程度のことで、辞任に追い込まれたことも、記憶にとどめておきたい。その二年後、起こったのが、陸山会事件だった。 (中略) この事件の最大の問題は、そこまでやったわりに、まともな証拠などなにひとつなかった(だから、特捜も起訴を断念せざるを得なかった)この事件が、なぜか、検察審査会で強制起訴となったことだった。そして、その裁判で、驚愕の事実が明らかになる。検察審査会に強制起訴の議決を出させるために、ニセの証拠が届けられていたのだ。 (中略) で、田代政弘検事が作成した、その問題の報告書というのが、どうひいき目に見ても「勘違いや誤解のレベル」などではなく、一から十まで、完全な、しかも悪意のこもったでっち上げだったということが、世間にバレちゃったのである。それだけではない。ニセ報告書を書いていたのは、田代政弘検事だけではなかった。その上司の佐久間達哉特捜部長を筆頭に、木村匡良、大鶴基成、齋藤隆博、吉田正喜、堺徹らが、積極的にかかわっていたことまでがバレちゃったのだ。 (中略) このときに、検察は二つに割れた(と、内部の協力者や関係者、複数の記者から聞いている)。こうなった以上、きちんと捜査し、たとえ大幅に肉を切ることになっても膿を出した方が良いと考える良識派の人たちと、検察と特捜を守るためには、絶対にそれをさせてはならないと考える守旧派の人たちだ。後者筆頭が、当時の黒川弘務官房長だった。  押さえておこう。この権力闘争は、結論から言うと、皆さんご存じのように、守旧派が勝った。あれだけの露骨な改ざんをやっていながら、「勘違いだった」という、子供でも無理があるようなありえない言い訳で、田代以下でっち上げ検事たちは、不起訴になった。笑いながら雑談したあとの30分後に書いた報告書が、いったいどこをどう「勘違い」したら「泣きながら、懺悔告白した」という内容になり得るのかは、もう異次元すぎてすごい。が、それがまかり通った。まかり通させた。 (中略) 検察審査会の審査員の任期は6ヶ月で、3ヶ月で半分ずつ入れ替わる。つまり、6ヶ月で最初の審査員はいなくなる。 (中略) 検察審査会審査員は11人。起訴議決には8人の賛成が必要だ。だから、4人の審査員が断固として手を挙げなければ、審査の内容が明らかに有罪であると認めていようと、他の全員がどんなに起訴すべきと主張しようと、絶対に起訴議決にはならない。 (中略) なぜ、ここでこれを長々書くのか。これとまったく同じパターンが、森友事件でも起こった疑惑があるからだ。つまり、審査員を何度も交代させ、場合によって、特定の傾向のある人物を入れ込むことで、絶対に起訴議決を出させないようにすることが、やろうと思えばシステム的に可能であるということが、実は、この時点で明らかになっていた。つまり、ここで、メディアや法律家や議員が、この問題をきちんと追求しなかったことが、後の森友事件などの不可解な議決を生んでいる土壌になっているといえる。 そして、改めて言う。このとき、検察で、田代不起訴、つまり虚偽有印公文書作成事件潰しのために尽力したのが、黒川弘務官房長だったのである。つまり、黒川弘務氏は、検察、とりわけ特捜にとっては、お取り潰しやむなしの運命から救ってくれた巨大な功労者という顔を持っているわけだし、また「検察審査会で絶対に起訴議決を出させないテクニック」を熟知している人間といえる。  彼はその後、法務事務次官に就任。安倍政権に近づくや、最高のサポート役として活躍することになる。人当たりが良く、いつもにこやか、相手を盛り上げヨイショする手腕に長けているというので評判のキャラである。安倍首相と相性は良かっただろうね。そして、安倍政権になってから、いままでなら、捜査や起訴の対象になったであろう政治家の金銭授受などに、証拠まで揃えた告発があってもなぜか不起訴になり、検察審査会でも起訴議決は絶対に出ない。森友事件に至っては、あれだけの公文書が棄てられたり、改ざんされたりしていても、「不起訴不当」で幕引きすることができた。それは、ある意味、当たり前とも言えることだった。  そして、安倍政権のような政権では、黒川弘務ほど「頼りになる」存在はないということだ。だから、黒川のためならなんでもする。黒川なら、何をやっても、揉み消してくれるからだ。裏金を受け取っていようと、証拠品にドリルで穴を開けようと、お友達にどれだけ利権をばらまこうと、国民の税金を流用して票を買っていたとしても、新型コロナさえ利用して誰もほしがっていないマスクに不明瞭な大金をばらまいていようとも、黒川がいる限り、罪に問われることはない。 (引用元:2020年5月10日 八木啓代のひとりごと)  その後も野党議員らによる追及が続いたが、9月20日に安倍晋三が自民党総裁3選を決めた頃には、大手メディアの報道熱も冷め気味になっていた。多くのテレビ番組が井戸端会議にうってつけな貴乃花特集を放映していた。そのような中、9月25日に、テレビ東京が財務省財務局OB6人へのインタビューと、自殺した職員の父親の告白を放映した。 内藤宗助氏(関東財務局で国有財産鑑定担当):8億円の値引きというのは、これは自分の仕事のやり方に照らしてみても、極めて異常すぎるんですよ。政治家や何かからの関与、いろいろと言ってくる、これはたしかに実際にありうるわけですよ。私も実際に体験しました。しかし、そうであったとしても、やっぱりできることとできないことはあきらかにあるわけで、そこはきちっと使い分けてきたわけですね。しかし、今度のことは、いわば底が抜けてしまったみたいな感じ。記録文書ですから、その記録文書をあとから直したら歴史が全然つながらないことになるわけですよ。だから、それを直すということは、我々の常識ではあり得ない 小濱達男氏(関東財務局で国有地売却担当):今後おそらく、公文書は改ざんしないと私は思います。しかし、つくるときの公文書そのものが、嘘の公文書をつくることになるでしょう。 小濱達男氏の推測は、すでに現実になっていた。政府は行政文書の管理に関するガイドラインを改正し、経産省はそれに合わせて、政治家をはじめ省内外の人物との打ち合わせの記録を「個別の発言まで記録する必要はない」などと指示していた。  11月26日には、参院予算委員会で、日本共産党辰巳孝太郎議員が、独自の解析をもとに、値引きの根拠とされた試掘現場の写真が使い回しされていたと告発した。「別々の地点で撮影したとされる3枚の写真に同一の物体が複数写っており、2枚については縮尺を合わせるとぴったり重なる。撮影日時を秒単位で解析すると、約50メートル離れた地点を14秒で移動したことになっている。写真を撮り直し、口裏合わせに符合した報告書をつくったということだ。値引きの根拠は崩れた」と追及。安倍晋三は答弁に立たなかった。できるわけもなかった。 2019年3月6日、国や大阪府、大阪市の補助金計約1億7700万円をだまし取ったなどとして詐欺と詐欺未遂の罪に問われた籠池夫妻の初公判が大阪地裁(野口卓志裁判長)で開かれた。正確に言うと、14億円の建設費であるところを、籠池夫妻が23億円だと言って補助金を多くせしめたということで裁判になっている。籠池氏は断固とした口調で「国策捜査、国策逮捕を絶対許さない。自分の非は素直に認める。起訴内容の大半について無罪だ。保釈まで大阪拘置所で約10か月の長期勾留を強いられたのは国策勾留であり口封じ。国有地売却の忖度問題の目くらましをしていることを、裁判所もしっかり見てほしい」と主張した。検察側は、「泰典被告は学園の業務全般を総括し、諄子被告は経理担当で預金や帳簿を管理していた。国から補助金上限額が得られるよう設計会社や建設会社と共謀し、虚偽の請負契約書などを作成した」と主張した。 8月16日には、外務省が、決裁文書改ざんで中核的な役割を担った財務省官房参事官の中村稔を駐英公使に充てると発表した。中村稔は森友問題が表面化した2017年当時、財務省理財局総務課長を務め、理財局長だった佐川宣寿の下で、佐川宣寿の意向を近畿財務局に伝えていたほか、実際に改ざんを部下たちと行った人物だった。立憲民主党小西洋之参議院議員が唖然とする内容のツイートを投稿していた。 ここまでめちゃくちゃとは。憲法と国会法に基づく国政調査権の発動を改ざん文書で妨害し欺いた公務員が、外交の実務責任者たる駐英公使に。イギリス人は仰天し、深く日本国を軽蔑するだろう。本来は懲戒免職で当たり前。安倍・麻生氏が居座るために全てが崩壊していく。  10月30日、籠池夫妻の論告求刑公判が大阪地裁(野口卓志裁判長)で行われた。参考までに、裁判は以下のように進行していく。 冒頭手続  人定質問  起訴状朗読  罪状認否 証拠調べ手続  冒頭陳述  検察側立証のための証拠調べ請求  検察側立証のための証拠調べ(証人尋問など)  弁護側立証のための証拠調べ請求  弁護側立証のための証拠調べ(証人尋問など) 弁論手続  論告求刑  弁論  被告人最終陳述 検察側は「だます意図は明確」などと述べ、籠池被告、諄子被告ともに懲役7年を求刑した。籠池は閉廷後に会見を行った。地検特捜部の人間たちの人を見下す態度、つまり優生思想を見事に言い当てていた。 きょうの検事の方々は非常に居丈高な、裁判官を下に見下ろすような雰囲気を持っていた。裁判官を尊重しない、あの雰囲気というのは、いまの三権分立がなされていない日本の国家そのものを見ているような感じです。弁護士さんに対しても敬愛の念を持っていない。お互いが裁判所で雌雄を決する。相手を尊重して対応することは必要だと思う。とくに地検特捜部の傲慢。ストーリーを自分で作って、ストーリーに反するものは居丈高に排除していく。冤罪が出てくるのは当たり前やなと思う。検察官と弁護士のやりとり、証人のみなさん。いろいろと勉強になりました。ああ、こういう人たちはこういうところでウソをつくんだなとか、自分の保身のために人を陥れていいんだな。そういうものを持っているんだなと。妻は冤罪で無実。まったく関与していない人を、安倍昭恵夫人と仲が良かったがために、口封じをせざるを得なかった。 年が明け、2020年の1月17日に行われた「モリカケ桜・追及シンポジウム」というイベントで、実際に藤原工業が森友学園に請求していた金額が23億円だったという新たな事実が明かされた。「犯罪の容疑者が、首相を続けることに、異議を申し立て、退陣を迫る集会を開催します」とし、籠池夫妻、横田一(ジャーナリスト)、福田圭子(家計情報開示訴訟原告)、望月衣塑子(東京新聞記者)をパネラーに招き、東京で開いた会だった。映画評論家の前田有一氏とに青木泰氏のやりとりの抜粋。 青木泰氏:建設費14億円かかります。もうひとつは 補助金絡みで23億円かかりますって。なんで建設費が2種類あるんですかっていう話で、実際の建設費は14億円だったのに、23億円ということで欺いたんですねと。その分約2000万円くらいの補助金を詐取をしたと。その容疑で籠池さん達は逮捕されていた。ところが、きのうわかったのが、14億円を23億円に欺いたって言っていたんですけれども、本当は、実際に藤原工業が森友学園に請求していた金額が23億円だったんですよ。 前田有一氏:〜ちょっと待って下さい。つまりですよ…本当は建設費は14億円しかかからないものであるものを要するに籠池さん達が23億円だと言って、その分その比率で決まる補助金をせしめたというのが、一応、この裁判のストーリーですよね。ところが、籠池さんご自身も、建設会社から23億円を請求されていたっていうことですか?その書類がきのう見つかったということですか? 青木泰氏:そう、そうです。 前田有一氏:その書類がきのう見つかったということでいいんですか? 青木泰氏:今は管財人の管轄になっているんですけれど、管財人の決算の報告書の中を見たら、ちょうど籠池さんがまだ拘置されている時です。その時に、最終的な請求ということで、藤原工業から請求されていたのが23億円だったんです。ということは、隠秘をしたも何もないということなんですよ。 「ちょっと待って。そもそも籠池は詐欺をまったくやっていないことが判明したってこと? にもかかわらず、国家の中枢を担う者たちが強引に補助金不正受給という犯罪に持っていったってこと? この国はいったいどうなってるの?」 と、僕は珍しく愛国精神たっぷりに嘆いてしまった。 「権力を利用して悪事を隠蔽しても、いつか何らかの形で自分の身にふりかかってくるんだけど、人間はちっとも進歩しないようだね」  僕は、ペンペンのこの言葉をまったく否定できなかった。 安倍政権の卑劣かつ姑息な自己防衛策が続く。1月31日には黒川弘務東京高検検事長の定年延長を閣議決定した。ところが立憲民主党山尾志桜里議員が「国家公務員法は検察官に適用できない」とする1981年の政府答弁を引用して追及。これに対して安倍晋三が2月13日の本会議で突然「(検察庁法の)法解釈を変更した」と言い出したため、12日時点まで「解釈の変更はない」と答弁していた人事院の担当局長が「言い間違えた」と口裏合わせをさせられた。政権側の姑息さ・お粗末さはこれで終わらない。法解釈の変更があったということにするため、森まさこ法務大臣が、内閣法制局と人事院の協議があったと答弁する。野党側がその協議に関わる文書を求めたところ、20日に作成年月日が入っていない文書を提出。この文書に関して立憲民主党小川淳也議員が「決済を取っているのか」と質問すると、人事院の松尾局長は「取っていない」と答弁する。一方森法務大臣は「必要な決済を取った」と答弁したが、翌日には「口頭決済だった」とこじつけて逃げようとした。このでたらめぶりが日本中で大騒ぎになり、司法世界を超えて多数の有名人がツイートするまでになった。そして2020年5月22日に黒川弘務は東京高等検察庁検事長を辞任した。 「もうあまりのひどさに頭がくらくらする」と僕。 「進歩していないどころか、劣化しているようだね」とペンペン。  前年の2019年10月30日に行われた論告求刑公判に続き、2月19日に大阪地裁は籠池氏に懲役5年、妻諄子氏に懲役3年執行猶予5年(いずれも求刑懲役7年)の判決を言い渡した。閉廷後、報道陣の取材に応じていた諄子被告の隣に三崎優太氏が登場し、「公文書改ざんには根深い問題がある。僕も国税局や佐川さんには思うところがある。協力させていただく」と言って、泰典被告の保釈金バックアップを宣言した。  3月17日には、週刊文春3月26日号を紹介する記事が週刊文春オンラインに掲載され、2018年3月7日に自ら命を絶った赤木俊夫氏が、死の直前、決裁文書の改ざんの経緯を詳細に記した「手記」を遺していたことが判明した。大阪日日新聞記者で、森友学園問題を当初から取材し続けている相澤冬樹氏が遺族から「手記」全文、および関連する手書きのメモを提供されていた。「手記」と題されたA4で7枚の文書は、自殺当日まで書かれていたとみられ、「すべて、佐川理財局長の指示です」「美並近畿財務局長に報告したと承知しています」など、当時の財務省、および近畿財務局の幹部らの言動について実名で綴られていた。また「財務省が国会等で真実に反する虚偽の答弁を貫いている」などと同省の対応を批判し、自分自身がそうした不法行為に加担させられて心身ともに苦しんだ様子も詳細に記されていた。「手記」の最後は以下のように締めくくられていた。 この事実を知り、抵抗したとはいえ関わった者としての責任をどう取るか、ずっと考えてきました。事実を、公的な場所でしっかりと説明することができません。今の健康状態と体力ではこの方法をとるしかありませんでした。(55才の春を迎えることができない儚さと怖さ)家族(もっとも大切な家内)を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です。(中略)さようなら〉 翌日の18日には、赤木氏の手記の報道を受けて野党が合同検証チームを立ち上げ、決裁文書改ざんに至る真相を改めて追及し始めた。 3月19日の閣議後会見では、麻生太郎財務相は「手記と調査報告書の内容に大きな乖離があると考えてない。再調査を行うということは今考えていない」と冷血動物そのものの発言を行った。テレビ東京記者の「大臣はまだ遺書や手記をご覧になっていないということなのでしょうか」という質問に対し、「週刊誌で出された、あれ以上のものを見たわけではない」「(「週刊文春」の)ゲラみたいなやつを読みましたよ。それ以上のものを、現物を読んだかといったら、私は現物をいただいてませんから」とかわした。「感想を聞かせてもらってもいいか」という質問に対しては「読んでいないのでなんともお答えしようがない」と回答を拒否。記者が「(遺書と手記は)ゲラと同じ内容だ」と食い下がったが、「同じ内容だったかどうかはわからない。あなたの話が本当かはわからないからね」と突っぱねた。4日後の23日も、安倍晋三は参院予算委員会の集中審議で、再調査を行わないと表明した。しかし、こうした言動は赤木夫人の怒りにさらに燃え立たせる結果しかもたらさなかった。 怒りに震えています。夫の遺志が完全にないがしろにされていることが許せません。何度も再調査の実施を訴えたいと思います。是非、第三者委員会を立ち上げて欲しいと思います。この2人は調査される側で、再調査をしないと発言する立場ではない 「この2人は調査される側、という言葉は名言だね」 と僕が言うと、 「多くの人の意識がそこまで高まれば、いろいろな問題が解決されるんだけどね」 と、ペンペンが鋭く指摘する。 その後の野党議員による「ファイルの存在を認識しているか」「捜査当局からファイルが戻ってきたか」という質問に対し、法務省も財務省も訴訟を理由に回答を拒否し続けていく。この手記に関し、財務省の調査報告書や会計検査院による報告書も含め、作家赤澤竜也氏が分析(巻末に転載)を行った。その中で以下のように鋭い指摘がなされていた。 ・3月12日に財務省は14の決裁文書で改ざんが行われていたと認め、6月4日になって改ざんに関する調査報告書を発表した。しかし、その内容はというと、命令過程について徹底的にぼかされていて、誰がどのように指示をし、いかにして行為に至ったのかまったく書かれておらず、霞ヶ関文学の極北のような悪質な記述に終始している代物だった ・財務省は会計検査院に改ざん文書を提出するだけでは飽き足らず、口出しも画策していたのだ。太田充理財局長(当時)が会計検査院の報告書から過大な値引きに関する「金額」を消すべく画策していたことをうかがわせる流出資料。実際の報告書からは叩き台にあったはずの「金額」が消えていた ・改ざんが明らかになった18年3月以降、国は数多くの書類を公開した。しかしまだまだ隠された文書があるのだ。まず豊中の国有地が売却される前の近畿財務局の交渉記録(応接録)は17年5月23日に公開されたものの、籠池氏が近畿財務局側に昭恵夫人との写真を提示した14年4月28日のものはなく、書き換え前決裁文書に日付けの記載のある13年7月2日、10月15日、10月21日、14年1月9日などの交渉記録も見あたらない。また土地が売却された16年5月6月の文書が少なく、不自然極まりない。 ・財務省本省と近畿財務局の交渉記録については、立憲民主党の川内博史衆議院議員が、17年2月15日から4月14日までの森友国有地に関する国会理財局内想定問答とともに、18年6月13日に開示請求したが、同年8月13日付けで不開示決定通知書が届いたため、総務省の「情報公開・個人情報保護審査会」に不服を申し立てた。同審査会が19年6月17日付けで財務省関連の2件について不開示は違法との答申を出したところ、財務省は19年11月6日になってようやく開示したものの、役所関連のやり取りのほぼすべてが黒塗りだった。 「不服を申し立てられた後に渋々開示、しかも黒塗りだらけだって。あきれる!」と僕。 「悪事をはたらいている証拠ってことだね」とペンペン。  3月30日、赤木夫人がインターネットサイト「Change.org」で、第三者委員会による事実関係の再調査を求める署名活動を始め、たった3日間で17万人余りの署名を集めた。これは最終的に35万人を超える署名を集めて6月15日に国側に提出された。  週刊文春4月2日号で、池田靖・統括国有財産管理官(当時)が2019年3月9日の1周忌直後に赤木さん宅を訪れて赤木夫人に話した内容が明らかにされた。 赤木さんはきっちりしているから、文書の修正、改ざんについて、ファイルにして、きちっと整理していたんです。検察がガサ入れに来た時(注・強制捜査ではないので、任意提出と思われる)、赤木さんは『これも出していいですか?』と聞いてきた。パラッと見たら、めっちゃきれいに整理してある。全部書いてある。どこがどうで、何がどういう本省の指示だったかって。修正前と修正後、何回かやり取りしたようなやつがファイリングされていて、パッと見ただけでわかるように整理されている。これを見たら我々がどういう過程で改ざんをやったのか全部わかる。赤木さんもそこは相手が検察なんで気になって『出しますか?』って。僕は『出しましょう、全部出してください』と言って持っていってもらったんです。全部見てもらって全部判断してもらったらいいという思いですから。僕ら的には改ざんなんかする必要は全くなかったですし  4月13日には、赤木夫人が近畿財務局に対し、夫の自死が公務災害となった理由に関する情報開示を請求した。それに対し、5月13日に出された近畿財務局による開示情報は、年金の金額や支払日などが書かれたたった10頁の文書で、残りの文書については、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言に伴う処理可能作業量の減少などを理由に、1年後の2021年5月14日までに開示決定、という不誠実極まりないものだった。赤木夫人はこれに対し、7月6日に、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言を理由に、ほとんどの文書について開示可否決定の期限を翌年とされたことの違法確認を求める訴訟を大阪地裁に起こした。  7月14日、財務省は、太田充主計局長が20日付で事務方トップの次官に昇格する人事を発表した。国民をいじめ、時の権力者にへつらう者が出世する汚れきった国であることを証明する人事だった。またこの日には、「ニュース23」(TBS)で小川彩佳キャスターによる赤木夫人へのインタビューが放送された。  7月15日、(冒頭で描いた)財務省の公文書改ざん訴訟の第1回口頭弁論が開かれた。この日に合わせ、赤木夫人と相澤冬樹氏共著の『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(文藝春秋)が刊行された。赤木氏の手記に関して、相澤冬樹氏はハーバー・ビジネス・オンラインで以下のように語っている(一部抜粋)。 後日、私はこの件で赤木雅子さんに直接話を聞いた。すると。「夫が亡くなって最初に来たのが、近畿財務局の人たちですよ。全員男性です。彼らがよってたかって、私が夫の遺した手記を公表しないように、マスコミを近づけないようにしました。それはなぜかというと、自分たちの保身、上司に言われているからですよね。そして弁護士さんも、前は近畿財務局の人に紹介された方で男性でした。この人も今になってみると、財務省・財務局の意向に沿うようにしていたんじゃないかなあと感じます。それにマスコミの人たちもほとんど男の人ですよね。夫が亡くなった時、私がいた実家の周りをマスコミの人たちが取り囲んで、カメラを向けたり話を聞こうとしたりするのが、本当に怖かったんです」 「安倍さんが辞めれば、後任の首相は自民党であっても大喜びで綿密に調査してすべてを公表するでしょう。そうなれば真相がようやくわかります。佐川さんも池田さんも話せるようになり、彼らも楽になります。それがわかっているから安倍さんは最後まで粘るとは思いますが、あとは世論の力です」すると雅子さんはこう言った。 「安倍さんやめたらしゃべるんや。そういう仕組みなんですね。男ってつまらんなあ。私は美並(近畿財務)局長や事務次官や役所の人が来られた後、率直に思ったのは『男には生まれたくないなあ』でした。つまんない建前で生きているのがアホらしく思えました」 私は本の末尾を飾る締めの文章を赤木雅子さんに依頼していた。LINEで送られてきたその文章には、雅子さんが私に俊夫さんの手記を託した理由として次の一文がある。「夫のことをいちばん理解してくれそうで大きな組織(嫉妬深い男の社会)に苦慮した『大阪日日新聞』の相澤さんに手記は託そうと決めました」  9月25日、財務省の公文書改ざん訴訟で、国側は、書面を提出し、赤木夫人が求めていた改ざんの経緯の詳細な説明について「裁判上の原告の請求は賠償金の支払いを求めるものだ。その前提となる改ざんの経緯や内容などの事実についてはおおむね争いがないので、回答する必要はない」として拒絶(9月25日、NHK NEWS WEB)。  10月14日、第2回口頭弁論が開かれ、赤木夫人側がこの日に大阪地裁に提出した録音データの記録で、赤木夫人が池田靖・統括国有財産管理官(当時)と2019年3月に面会した際の詳細なやりとりが判明した。そして赤木氏による改ざんの経緯記録ファイルの提出を国に求めた。(以下面会した際のやりとりの要約) 改ざんについて 初めから赤木さんは改ざんに抵抗していた。財務省本省に、僕自身も抵抗はしていたけど、止めきれなかった。赤木さんによる改ざんの経緯記録ファイルをちょっとだけ見たが、めっちゃきれいに整理してある。全部書いてある。どこがどう、何を本省が指示したか書いてある。これ見たら、自分たち我々がどういう過程でやったかというのが全部分かる。もちろん改ざんの判断は佐川さんの判断。抵抗はしたが、僕自身もやはりあの当時、かなり追い込められているところもあった。赤木さんと同じように、朝遅くまで仕事をして。何人けがするか分からないような状況の中で、「少しでも野党から突っ込まれるようなことを消したい」ということでやった。もう追い詰められた状況の中で、少しでも作業量を減らすためにやった。そう理解している。 安倍晋三前首相の関与について 安倍さんらに言われて減額するとか、そういうようなことは一切ない。そんたくとかいう言葉が出ているが、そんなことはしてない。そういうことをしたというのであれば、検察でもお話しして、背任でも何でも、ろう屋にでも入る。 国有地の売却額について 地下埋設物がどれだけ埋まっていて、どれだけの費用がかかって、どれだけ売り払い価格から控除しなければならないかというところを、最後まで調べようと努力した。大阪航空局のせいにするつもりも今さらないが、彼らは動かなかった。鑑定評価をするにしても、地下埋設物の調査をするにしても、航空局が財務省主計局に言って予算を取って、それで動かす。我々には予算を取る権限がない。自分らでスコップで掘って調べるわけにはいかない。航空局が持ってきたのが8億だったということで、それを鑑定評価額から引いたというだけ。8億の算出に問題がある。確実に撤去する費用が8億になるかというところの確証が取れてない。  11月25日には、政府側が行った国会答弁のうち、会計検査院などによる調査報告と事実関係が異なる答弁が139回あったと衆議院調査局が明らかにしたと報道された。年が明けて2021年2月8日には、赤木夫人が、赤木ファイルを国側に提出を命じるよう大阪地裁に申し立て、2月17日の法廷陳述で「国は争点と関係がないからという理由でファイルが存在するか否かさえ答えてくれません。『内閣が吹っ飛ぶようなことを命じられた。自分は犯罪者なんだ。自分がやってしまったことを事細かく書いて残してある。上司から言われたことや上司の犯罪行為も全部書いて残してある。ファイルにとじているんだ。本省からの指示やったのに財務局(自分)がやったことにされる』と話していました。ファイルが提出されることは、二度と決裁文書の改ざんが行われないようにするためにも、二度と夫と同じような目に遭う国家公務員が出てこないようにするためにも、とても意味があると思います。赤木ファイルが裁判という公的な場所に証拠として提出されることは、夫の遺志に沿うものだと思います」と述べた。  3月10日には、森友問題に関する野党合同ヒアリングが行われた。 立憲民主党原口一博議員 立憲民主党階猛議員 立憲民主党末松義規議員 財務省大臣官房企画調整主幹 辻貴博 理財局国有財産企画課長 石田清 理財局国有財産調整課長 西方建一 この日に行われたヒアリングは、もともと政務三役を呼んだにもかかわらず上記三人だけの出席、しかも音声記録に関する事実など、立憲民主党の議員団が行う事実の確認に対し、財務省側は、「原告側が裁判に提出したもの」という表現などを多用して確認を避けるという、不誠実極まりない結果となる。「はい、そうです」と言えば1~2秒で済む確認にもかかわらず、官僚独特の丁寧ながらまどろっこしい言い方で、「プライバシーに関わる」などの屁理屈を持ち出し、1時間を超える貴重な真実究明のための時間を無駄にしていった。かなり要約した形で以下に一部文字起こしするが、実際は「えー」や「あの」、繰り返しの説明などが頻出し、聴いていて疲れる答弁だった。まず挨拶の後、音声記録が流される。 立憲民主党末松義規議員:(中略)確かに赤木さんの未亡人と池田さんとの間のやりとりであるということはよろしいですね。 石田企画課長:こちらの資料・音声データは原告の側から裁判の証拠として提出されているものでして、プライバシーに関わる部分があるということで、マスキングの処理をして、先月2月の期日に正式に裁判所に提出があったものという位置づけになっておりまして、裁判の中で提出されているものということで、訴訟に関わることでございますので、この場でコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。 立憲民主党階猛議員:池田さんと赤木夫人のやりとりかどうかということぐらいはまず認めていいんじゃないですか。 石田企画課長:あくまでも原告側の資料ということで、私どもとしては、その点について、訴訟の中で対応・検討していくということでございます。(石田企画課長は、原稿棒読みのためか、ほとんど目を合わさず下向きで答弁) 立憲民主党階猛議員:これほど動かぬ証拠があっても、なお赤木ファイルは存在するかどうか明らかにできないということなんですか。 石田企画課長:ちょっと繰り返しになる部分もありますけれども、まさに現在ご指摘いただいているファイルについては、裁判の中で原告側から求釈明事項ということで申し立てがある事項に入っている項目でありますし、求釈明事項については存否も含めて求釈明事項ということになっておりますし、なおかつ先月文書提出命令が新たに出されたという段階にございますので、私どものほうからは存否も含めて回答については差し控えさせていただきたいというふうに考えております。 (弁護士が、答弁書や準備書面の中で「求釈明」と題して、相手方に対し、これこれのことを明らかにせよとか、これこれの書面を提出せよと要求する。求釈明には何の法律上の根拠もないばかりか、民事訴訟法に反する行為であるという弁護士が多い) (中略) 立憲民主党階猛議員:存在するということを認めることが、なぜ不当な影響を及ぼすことになるのか。これだけ動かぬ証拠があるわけだから、誰が裁判官であっても存在を認めないというわけにはいかないんですよ。みなさんが答えようが答えまいが、裁判ではちゃんとこの存在を認めますよ。当り前ですよ、こんなの。一億二千万人このテープを聴いてね、池田さんも自ら名乗っているという中で、赤木ファイル、これを聴いて存在しないと思う人なんか誰もいないですよ。そこまで明々白々な事実をなぜ、裁判に影響が出るんですか。不当な影響どころか1ミリも影響ないと思いますよ。言っていいじゃないですか。そのうえで、出せないなら出せないと、出せない理由を述べるべきじゃないですか。そんな入口のところでなぜ時間をかけるんですか。裁判長自らそういうことを言って早く存否を明らかにしろということを言っているというのは、弁護団の会見でも出てました。不当な影響を与えているのはみなさん(財務省側)じゃないですか。当たり前のことを当たり前に答えてくださいと言ってるだけなのに、なぜあなたたちは屁理屈をずっと言い続けて存否すら認めないんですか。しかも問題は、みなさんの大事な職員がですね、命を落としているんですよ。人の命を奪っておいてなぜそんな態度ができるのか。そしてみなさんは文書改ざん事件を起こしてね、再発防止を誓ってプロジェクトチームなんかも作っているわけじゃないですか。少しでも良心の呵責があるんだったら、今この場でまず存否を認めてください。 (中略)  石田企画課長がほとんど同じ説明を繰り返す。 立憲民主党原口一博議員:あなたがたは自分たちの罪を認めて国会にもちゃんと協力すると約束しましたよね。口先だったんですか。約束したでしょう。もう二度とこんなことしませんと。またやってるじゃないですか。何が裁判ですか。裁判の主要な論点になったら出せないなんてそんな話はどこにも聞いたことがないですよ。あるものを出してくれ、この明白な証拠を認めてくれ、と。入口ですよ、これ。 (中略) 立憲民主党末松義規議員:我々は司法権の独立を侵そうなんてこれっぽっちも思ってないんですよ。応接録がありながらないと国会で答弁した回数が139回、情報開示請求にないと答えた回数が46回、185回財務省は嘘をついているんですよ。で今、赤木ファイルがありますということが明らかであるにもかかわらず、その存否さえ言えませんというのは、私にはとても理解できないご返答だと言わざるをえませんね。そこで聞くんですけど、裁判所からですね、国会の要求なんか応えるなよと、応えなくていいんだぞ君らは、と財務省言われているんですか。それだけ答えてください。 石田企画課長:私が申し上げたのは法制局長官の法解釈、憲法解釈のお話を申し上げたものでして、その憲法解釈に基いたご説明を… 立憲民主党末松義規議員:だから法制局長官の憲法解釈はわかりました。それはかつてのですね、司法権と国政調査権がぶつかったときのことを我々に教えてくれてるわけで、本件とはまったく関係のないことですから。本件について事実確認をしているのです。裁判所からですね、国会からの資料要求は司法権の独立に関わることなので、それには関わりあうなと、答えるなと言われているのですかということを聞いているのです。 石田企画課長:裁判内でのやりとりについて、裁判外でお答えすることは差し控えさせていただきというふうに思います。 立憲民主党原口一博議員:逆に、行政内で麻生太郎財務大臣からしっかりあるものを出せと、しっかり解明せよと、指示は一回でも来ましたか。あるものを出さないのは不適切だと言いましたね。指示はありましたか。それは言えるでしょう。 石田企画課長:さまざま対応については逐次大臣ともご相談しながらやらせていただいているところでございます。 (中略) 立憲民主党原口一博議員:上にはかったかを聞いているんじゃないんですよ。麻生太郎さんからちゃんと解明せよと、一回でも彼が言いましたか。 辻企画調整主幹:そういう意味では、まさにその改ざんであったり、応接録の廃棄であったり、ということがゆゆしきことであるということで、大臣の指示のもとに実態解明をして (中略) 立憲民主党原口一博議員:国会と国民を愚弄し続けてくれた1時間でした。これは、重く受けとめたいと思います。あなた(石田企画課長)が財務省を代表して来て下さって本当にありがとうございます。ただその中身はとても信じられません。のうのうと安倍総理も長い任期の財務大臣、なんのためにいるのか。これほどのことが起きても解明せよの一言も指示していない。それが自民党だということがよくわかりました。ありがとうございました。 と、資料の存否すら確認できないまま終わった。財務省側にしてみれば逃げきったということであるが、明確なことを「はいそうです」とすら言えないただのロボット、奴隷、痴呆患者であるにすぎなかった。このような人物たちに運営を任せなければならない末期症状の国の実態が露わになっただけだった。 3月22日には、大阪地方裁判所が赤木ファイルの提出を国に促したと、以下のように報道された。 財務省の決裁文書の改ざん問題で、自殺した近畿財務局の男性職員が、経緯をまとめて職場に残したとされるファイルについて、大阪地方裁判所は22日、男性の妻が国を訴えた裁判の協議で証拠として調べる必要性があるという考えを示し、国に提出するよう促しました。 森友学園に関する決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さん(当時54歳)が、改ざんの経緯を詳細にまとめて職場に残したとされるファイルについて、妻の雅子さんは先月、国などを訴えた裁判で証拠として提出することを国に命じるよう大阪地方裁判所に申し立てました。  国側は、この申し立てに対する主張をことし5月までにまとめて回答するとしていましたが、裁判所は遅すぎるとして22日、進捗(しんちょく)を確認するための協議が非公開で行われました。  原告側によりますと、この中で裁判官はファイルについて、「証拠調べの必要がないとは考えていない」としたうえで、国に対して提出命令を出さなくても任意で開示するよう促したということです。  一方、国側は「ファイルは探索中」として存在するかどうか明らかにせず、申し立てに対する主張は、5月6日までに書面で出すと改めて答えたということです。  原告側の生越照幸弁護士は、「裁判所の踏み込んだ対応には、いい意味で驚いたので、次の国側の対応を注視したい」と話していました。 (2021年3月22日 NHK NEWS WEB) 第三章 諸悪の根源追及編  森友事件は、表面的には土地ころがしと、それに群がった悪徳政治家たちの金の配分作業だった。しかし、背景はもっと複雑で、単なる土地ころがし・金の配分のわけがない。そこで僕はもう一度、他の原因を挙げている記事を読んでみた。すると、同和問題がうっすらと背景にある可能性もわかってきた。  松井一郎も、橋下徹も、籠池も、塚本学園の弁護士の稲田親子も同和だという。そして、日本会議に関係するいろいろなグループの中に安倍晋三がいるようだ。この日本会議を非常によく研究したのが菅野完氏だった。菅野氏は自身も部落解放同盟の会員だったらしく、日本会議~同和に限らず、切り込みの鋭さが並はずれている。  菅野氏の著書やウィキペデアを含む各種資料によると、日本会議は「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」という二つの団体が1997年に合併してできた団体だった。前者は1974年に明治神宮、生長の家などの有名な宗教団体と文化人が集まってできた団体。後者は1981年に「元号法制化実現国民会議」が改組されてできた、改憲を目的とする団体。各種地方運動、署名活動、選挙組織票動員などに取り組む日本会議の努力が結実したのが、2015年11月10日に開催された「今こそ憲法改正を! 武道館一万人大会」。前記の2団体を支え、いまも日本会議を主体的に運営しているのが「日本青年協議会」で、本部の住所は共に東京都目黒区青葉台3-10-1だ。これらの団体を率いてきたのが村上正邦という、「参院のドン」や「村上天皇」と呼ばれた人物だった。  左翼学生運動が盛んになり始めた1960年代、それに対抗するため右翼学生運動に走っていたのが「生長の家政治局政治部長」も務めた安東巌(あんどういわお)であり、「生長の家学生会全国総連合」のメンバーだった椛島有三(かばじまゆうぞう)。椛島が「生長の家学生会全国総連合」のトップを務めたという記事を出した「週刊ダイアモンド」2018年10月号に対しては、日本会議は自身のホームページで「事実に基づかない記述」と否定している。  「生長の家」は、「大東亜戦争(太平洋戦争)に敗れたのは飽くまでも無明(まよい)と島国根性に凝り固まった『偽の日本』であって、本当の『神洲日本国』は敗れたのではない」と、そして「日本国憲法を廃止して大日本帝国憲法を復活すべし」と主張した谷口雅春(たにぐちまさはる)は、前記「日本を守る会」結成時の代表委員を務めた。その点で、「生長の家」と日本会議がつながっているとよく言われた。が、いろいろな考え方の違いから、「生長の家」は現在自民党や「日本青年協議会」に対して距離を置いている。その点も、前述の日本会議自身のホームページで記載されている。いずれにせよ、自民党やそれを支える「日本青年協議会」が、「生長の家」の国家主義的要素だけを吸い上げた形になっていることは確かなようだ。 戦前からたどると、谷口雅春の反共・反創価学会運動が、1960年安保や社会運動・学生運動に結び付き、その運動が下火になっても、米国支配層が操る自民党が国家主義的要素だけを吸い取って、地道な活動を続けてきた。しかし、911をきっかけに、テロ防止という名目で管理体制を強め、311以降になると、森友事件に見られるように、国の体制が猛烈に劣化し始めた。この時点で多数の国会議員を送ることに成功していた日本会議や神社本庁、神道政治連盟が牛耳る自公政権は、これをチャンスとばかり、戦前復帰実現のための政策を次々と成立させていった。その成果が、集団的自衛権を巡る法律や共謀罪、特定秘密保護法などの成立だ。 最終目標が「緊急事態条項の追加」だ。非常事態に際し、「三権分立」「基本的人権」等の原則を一時無効化し、内閣総理大臣に全権限を与えることができるものだ。これが嘘でない証拠の一つは、「日本政策研究センター」という団体が主張していることだ。この団体の代表を務めるのが生長の家のメンバーだった伊藤哲夫。生長の家は今の政治に批判的になるが、伊藤は日本会議のメンバーになり、安倍晋三らの自民党政治家たちと共に国家主義復活を推進している。そして憲法改正を主張し、その憲法改正のポイントとして「緊急事態条項の追加」を含めている。これが実現したら、基本的人権や国民主権など一気に廃止される。自分たちは上級国民に守られているから、そんなものは必要ないというわけだ。 ちなみに、学会メンバーは憤慨するだろうが、公明党の支持母体である創価学会は、統一教会と共にフランス、ドイツ、ベルギーなどでカルト扱いされている。欧米諸国の肩を持つ気はないが、その設立時をたどっていくと、あまり否定できない。創価学会の前身である創価教育学会の設立目的が「国民に新たな皇道を教育する」だったからである。以下は新型コロナウイルスに関して調べていたときにペンペンが映像で教えてくれたことだ。 続いて、江戸時代中期の倒幕の芽が生まれたころから、倒幕・明治維新を経て、日中戦争あたりにいたるまでの簡単な歴史の映像が流された。映像では、支配体制が平安時代末期の公家貴族政権から武家政権に移行した後、徳川幕府の「禁中並公家諸法度」によって敷かれた管理体制に朝廷・公家が反発し、徳大寺公城(とくだいじきんむら)などの公家たちが禁じられていた「日本書記」などの講義を再開する様子から描かれていた。1771年、光格天皇が即位し、古代からの天皇制の歴史・正統性を貪欲に学び始めると、尊号事件(1789年、光格天皇が実父の典仁親王(すけひとしんのう)に太上(だいじょう)天皇の尊号を贈ろうとして、江戸幕府に拒否された事件)などが起きて、老中松平定信と中山愛親(なるちか)・正親町公明(おおぎまちきんあき)が頻繁に対立する。武力で圧倒する徳川幕府側には抗しえないが、それにもめげず、光格天皇の後継者にあたる中山忠伊(ただのぶ)が「天忠党」を結成(1820年頃)して倒幕運動内勅・開始し、倒幕に向けた動きが徐々に加速し始めた。  「貴嶺会」という組織のホームページに次のような記載がある。 天忠党は倒幕の地下組織であり、内勅を奉じ極秘裏に推進された。総督は倒幕のため中山家に降下しているが光格天皇の皇子(武生宮)であり、後難を避けるためその存在を、意識的に隠ぺいされた (貴嶺会ホームページ) 倒幕後、天忠党は南朝を正統とし、その皇道に沿った教育を行う趣旨で、久邇宮朝彦親王を総裁、中山忠英を会長として「皇道会」を組織(1890年)する。「皇道会」は中山忠英を会長として「大日本皇道立教會」(1911年設立)となり、貴嶺会(1979年設立)に至る。「大日本皇道立教會」の幹部の一人が堀川辰吉郎に仕えていた頭山満(玄洋社)だった。 「大日本皇道立教會」の会員の牧口常三郎が創価教育学会、後の創価学会を創立する。創価教育学会設立目的は、「国民に新たな皇道を教育する」としていた。中山忠英の三男中山忠徳は神道を追求し、後に大本教開祖出口王仁三郎、PL教団開祖御木徳近、易学陽明学大家安岡正篤などを輩出することになる。 (中略)  映像が進む。「大日本皇道立教會」の綱領という記述が描写された。 我が国體は皇祖皇宗一系の連綿たる伝統に導かれ、君・臣・民(キミ、オミ、タミ)三身の関係で成る構造は世界の諸国と趣を異にする まさしく選民思想的記述で、このような思想の流れを受け継いだ人物・団体が国中を徘徊し、「王道楽土建設・五族協和(モンゴル・満州・漢・朝鮮・日本)」などという嘘で日本国民のほとんどを洗脳していく。これらの人物・団体は半島と大陸の人脈とも密接な関係があったため、日本という国の単位を超えた人物たちの主導により、日本は戦争国家へと邁進していった。国家神道を中心に据えて富国強兵を目指していく長州閥が牛耳る明治政府の横暴、そしてそれに従順に従っていく日本人の姿が描かれていた。国家神道というのは、「神」よりもまず「国家」だった。「神」である「皇室」さえも国民支配のためのツールにすぎず、その「国家」は、古代イスラエルから続く選民思想、優生思想を脈々と受け継ぎ、その流れを引き継いでいる南朝を母体として政策を推し進めた。 (「ペンペンが語る コロナ物語」より抜粋)  森友問題に戻るが、このような活動にうってつけの「瑞穂の國・記念小學院」創設に頑張ってきた稲田朋美が安倍晋三によって引き上げられた。安倍の手足となって国有地8億円以上を値引きし、邪悪政治家たちへの献金に貢献した迫田英典は、国税局長官昇進というボーナスをもらう。  同和を背景に持っている人物たちが徘徊し、行政が歪められ、一部の強欲な者たちの手に国民の血税が吸い取られていった。森友事件の対象となった土地は、もともと同和の150世帯が住んでいた土地であり、地下9メートルなどにはゴミなど絶対に存在しない。同和がこの問題の直接の原因ではないのだろうが、日本という国の病巣が明確に浮き出ている。この事件に密接に絡んでいる維新は、関西同和のネットワークの一つになっている。橋下徹の英語版Wikipediaの最初には次のように記載されている。 Tōru Hashishita was born in Hatagaya, Shibuya, Tokyo, on 29 June 1969. His father, who was a yakuza, died when he was in the second grade of elementary school. Soon after, his mother changed the reading of their name to Hashimoto, as the surname Hashishita is linked to Japan's disadvantaged burakumin community. (訳) 橋下徹は1969年6月29日、東京都渋谷区幡ヶ谷で生まれた。ヤクザだった父親は、小学校2年生のときに亡くなった。その後すぐに、彼の母親は名前の読み方を橋本に変更した。橋下という名前は、日本の被差別部落民共同体に関連しているからだった。 被差別部落の環境改善と差別解消を目的として、同和対策事業特別措置法、つまり同和立法という特別時限立法が制定されたのは1969年で、2002年に終了した。しかし、西日本の一部の地域では、実情に応じて同和対策事業が継続されている。なぜか。継続せざるをえないほど、同和のゴネ方がすさまじかったのだ。それが近畿財務局の対応方法に影響を及ぼした。普通だったら呼びつける立場の近畿財務局が、話し合いにわざわざ出向くこと自体がそれを証明している。実質はゆすりであり、それを弁護士が入って実行したとも言える。 昔、つまり幕末以前は、士農工商、そしてその下の被差別がはっきりしていた。儒教の影響が大きかったため、男尊女卑も歴然としていた。しかし現在は、貧富、男女、国籍、学歴など他の様々な差別も存在し、被差別部落と言ってもぴんとこない人が増えている。加えて、コロナ禍のワクチン接種が新たな差別要因になる可能性まで生じている。 そのように考えていくと、諸悪の根源は、人間が持つ「認められたい」という欲望と推測できそうだ。認められるために、いろいろな欲望を持つ。金もうけから始まって、テレビに出て有名になりたいとか、果ては、あの芸能人や政治家と知り合いなんてことまで利用して、自分を権威付けようとする。一体お前自身は何ができるのかと質問したくなってしまう。 祖父の代から生長の家の谷口雅春を師として仰いできた籠池夫妻。僕は、関東育ちだから、関西固有の被差別部落問題がよくわからない。しかし、関東にも同じような問題はあるし、前述のように、もう被差別部落だけが主要な差別要因ではない時代だ。たくさんの種類の差別要因が発生してきているということは、逆にそれらを一斉に解消できるチャンスでもある。そのためには、差別を生む要因、つまり自分が優れているという錯覚を認識し、それを捨て去るべき時なのではないだろうか。自分が優れているという錯覚が優生思想だろう。だから、優生思想こそ諸悪の根源だ。その典型が宗教かもしれない。それを信じている自分たちだけが救われる、天国に行けるなどと思いこんでいるのだから。  そんな結論に至ってわずかながら自己満足していたら、国が赤木ファイルの存在をやっと認めたという、お粗末極まりないニュースが伝わってきた。国のメンツだかなんだかわからないが、よくここまで劣化したものだ。こんなことを認めるのにこれだけ時間を無駄にするのだから、国の行政を司る人たちはなんと愚かなのだろう。高学歴と人間の優秀さは反比例するようだ。  2021年5月5日、国側が初めて「赤木ファイル」の存在を認めた。 赤木俊夫さんの自死から3年。国が初めて「赤木ファイル」の存在を認めることになった。国はこれまで、ファイルの存否について回答を拒んできた。だが、俊夫さんの妻・雅子さん(50)側が2月、ファイルの提出を国に命じるよう地裁に申し立てたため、存否の回答は避けられないと判断したとみられる。   財務省内の公文書改ざんをめぐっては、同省が18年6月に公表した調査報告書で経緯をある程度説明した。森友学園との国有地取引をめぐる決裁文書から安倍晋三首相(当時)の妻昭恵氏らの名前が削られた改ざんでは、佐川宣寿理財局長(同)が「そうした記載のある文書を外に出すべきではないと反応した」。これを受けて本省幹部らが「記載を直す必要がある」と認識したという。その後、本省幹部と近畿財務局の間で「相談がなされた」「(近畿財務局が)協力した」とされる。   報告書は改ざんの指示を伝達するルートについて言及している。だが、実行に至る具体的なやりとりは明らかにされなかった。 (2021年5月5日、朝日新聞)  一気にすべてが明るみになることはないかもしれないが、こうして少しずつ暴かれていくのかもしれない。そして、自分がこの類の問題に関心を寄せ続けることが、目に見えない形で真相究明に役立っていくことだろう。だから、すべてとはいかないが、こうした問題に関心を持ち続けていこうと思う。やはり、原発を追求していたときのペンペンの言葉が忘れられない。 「まずは知ることだよ」   巻末資料 1. 近畿財務局・赤木俊夫上席国有財産管理官の遺した「手記」の衝撃 (作家赤澤竜也氏による分析) パソコンに遺された文書には財務省現職幹部の名前が 自ら命を絶つ前に文書を遺していたらしい。 存在があるとささやかれていながら断片的にしか洩れ伝わっていなかった「遺言」ともいうべき手記の全文が大阪日日新聞の相澤冬樹記者により週刊文春2020年3月26日号で公開された。 森友学園事件が火を噴いた17年2月以降、財務省の佐川宣寿理財局長は国会での野党議員の質問に対し、「確認しましたところ、近畿財務局と森友学園の交渉記録というものはございませんでした」「本件につきましては、平成28年6月の売買契約締結をもちまして既に事案が終了してございますので、記録がのこっていないということでございます」と繰り返し、何度も質疑が紛糾した。 騒動がこのまま忘れ去られてしまうのかと思われた翌18年の3月2日、朝日新聞は森友学園の土地取引をめぐる財務省の決裁文書が改ざんされていたと報道した。その5日後に命を絶たれたのが近畿財務局の職員である赤木俊夫氏である。赤木氏が改ざん行為に深く関わっていたのではないかとも取り沙汰された。 3月9日、赤木氏の自殺が報じられるや、国税庁長官になっていた佐川氏は辞任を表明。3月12日に財務省は14の決裁文書で改ざんが行われていたと認め、6月4日になって改ざんに関する調査報告書を発表した。しかし、その内容はというと、命令過程について徹底的にぼかされていて、誰がどのように指示をし、いかにして行為に至ったのかまったく書かれておらず、霞ヶ関文学の極北のような悪質な記述に終始している代物だった。 財務省は決裁文書を改ざんしただけではない。その文書を国権の最高機関たる国会や憲法上の独立機関である会計検査院、さらには最強の捜査機関と目される大阪地検特捜部にまで提出していたのである。国家の根本を踏みにじるような数々の行為に手を染めていたにもかかわらず、大阪地検特捜部は早々に不起訴処分を決めてしまった。公文書改ざんの原因や目的はおろか、誰の指示で行われたのかさえいまだ明らかになっていない。 うやむやなまま闇に葬られようとしている森友学園事件の真相。そんななか、相澤氏の記事が放たれた。赤木氏はやはり公文書の改ざんに巻き込まれていた。そして自宅のパソコンに「手記」と題した詳細な文書が遺されていたのである。詳しくは記事を読んでもらいたい。 手記のなかで特に私が気になったのは財務省本省が近畿財務局に対し、会計検査院への検査忌避を明確に指示したと記載されていた点である。憲法90条は国の収入支出の決算を対象に検査が行われること、内閣が作成する決算を検査する主体が会計検査院であること、そして会計検査院が検査報告を作成することを定めており、行政権の担い手である内閣に対して独立した地位の機関であることを示している。 財務省本省は近畿財務局に対し、これほど独立性の高い憲法上の機関へ「法律相談関係の検討資料は『ない』と説明する」などと嘘をつくよう指示していたというのである。 改ざん発覚後の18年11月22日に会計検査院が公表した「『学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について』(平成29年11月報告)に係るその後の検査について」において、「改ざんされた決裁文書が提出されたこと」および「交渉記録が隠蔽されていたこと」の2点において、財務省に会計検査法26条違反があったと断じている。しかし、同法31条第2項後段の規定に基づく懲戒処分については見送られた。結局のところ、誰も責任を取っていないのである。 今回の手記はあらためて会計検査院の中立性や独立性に疑問を投げかけるものとなった。もう一点、目にとまったのは公文書改ざん発覚当時の理財局長だった太田充氏の虚偽答弁について繰り返し言及していることだ。 実は赤木さんが亡くなられた後も太田氏は疑惑の残る国会答弁を続けている。例えば18年4月11日の衆議院予算委員会で川内博史氏から「決裁文書の調書の別紙『これまでの経緯』の中に安倍昭恵総理夫人の名前が3ヵ所記載されていることを中村稔総務課長は十分に知っていたということでよろしいでしょうか?」と尋ねられた際、「中村理財局総務課長に確認したところ、それは責任はありますが、正直に言うと、その時点においてそこまでちゃんと見ていなかった」と、自らの部下は文書の中身を確認しないまま決裁をしたなどという理解不能な答弁をした。 さらに太田氏については会計検査院の調査に介入すべく国土交通省航空局の蝦名邦晴局長(当時)と交わした機密メモも流出している。財務省は会計検査院に改ざん文書を提出するだけでは飽き足らず、口出しも画策していたのだ。太田充理財局長(当時)が会計検査院の報告書から過大な値引きに関する「金額」を消すべく画策していたことをうかがわせる流出資料。実際の報告書からは叩き台にあったはずの「金額」が消えていた 太田充氏の現在の肩書きは主計局長。財務省のトップである次官の地位をうかがう枢要な地位にある。果たして太田氏は財務省の舵取りを任せるに足る資格のある人物なのか。あらためて当時の彼の言葉の検証が待たれるところである。 また赤木氏は「刑事罰、懲戒処分を受けるべき者」として、佐川宣寿理財局長のほか、(中尾睦)理財局次長、中村(稔)総務課長、(冨安泰一郎)国有財産企画課長、田村(嘉啓)国有財産審理室長らを挙げていた。赤木氏亡きあと、これらの幹部は順調に出世を遂げている。改ざん調査報告書で「中核的な役割を担っていた」と書かれた中村稔総務課長に至っては、その後、駐英公使に抜擢されているのであるから皮肉なものだ。 核心に触れる文書は隠蔽しつづけたままの財務省 20年3月18日、赤木氏の妻は「佐川宣寿元国税庁長官の指示で決裁文書改ざんを強制され自殺に追い込まれた」として、国と佐川氏に計約1億1千万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴した。「なぜ夫が死ななければならなかったのか、裁判で追及して真相を明らかにしたい。賠償金は何らかの形で世の中のために役立てたい」と話しているという。 大阪の司法記者クラブで行われた代理人による記者会見のなかで気になるやり取りがあった。近畿財務局の上司・池田靖統括国有財産管理官が弔問に訪れた際、「赤木さんは改ざんを巡る詳細なファイルを作っていた」と明かしたのだという。ファイルは大阪地検特捜部に任意提出されたらしく、弁護士は「裁判ではそれを出させたい」と会見の席で語った。もしそのファイルが開示され、そこに改ざんを巡る命令系統や指示内容についての記載があるならば、疑惑解明への糸口になるだろう。ただし、法廷という場で新たな事実が明らかにされるのかどうか、現時点ではハッキリとしない。真相究明に向け、この民事訴訟以外にもやるべきことは残されている。 改ざんが明らかになった18年3月以降、国は数多くの書類を公開した。しかしまだまだ隠された文書があるのだ。まず豊中の国有地が売却される前の近畿財務局の交渉記録(応接録)は17年5月23日に公開されたものの、籠池氏が近畿財務局側に昭恵夫人との写真を提示した14年4月28日のものはなく、書き換え前決裁文書に日付けの記載のある13年7月2日、10月15日、10月21日、14年1月9日などの交渉記録も見あたらない。また土地が売却された16年5月6月の文書が少なく、不自然極まりない。 土地が売却された後の近畿財務局の交渉記録(応接録)は改ざん調査報告書が提出された17年6月4日に公開された。しかし、安倍首相による「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員も辞めるとはっきりと申し上げておきたい」という国会発言の翌日である17年2月18日から籠池氏が小学校の認可申請を取り下げた3月10日の前日までのものが抜け落ちていた。公文書の改ざんが命じられ、実行に移された期間のものだけがスッポリ消えているのである。 また財務省本省と近畿財務局の交渉記録については、立憲民主党の川内博史衆議院議員が、17年2月15日から4月14日までの森友国有地に関する国会理財局内想定問答とともに、18年6月13日に開示請求したが、同年8月13日付けで不開示決定通知書が届いたため、総務省の「情報公開・個人情報保護審査会」に不服を申し立てた。同審査会が19年6月17日付けで財務省関連の2件について不開示は違法との答申を出したところ、財務省は19年11月6日になってようやく開示したものの、役所関連のやり取りのほぼすべてが黒塗りだった。 赤木氏は遺された手記のなかで「本省の指示(無責任体質の組織)と本省による対応が社会問題を引き起こし、嘘に嘘を塗り重ねるという、通常ではあり得ない対応を本省(佐川)は引き起こしたのです」と綴っている。財務省は行政の公正性が強く疑われる事態を招いていることを肝に銘じ、改ざん指示の命令系統を明らかにすべく、すみやかに黒塗りを外したものを公開しなくてはならない。 今回の訴訟は佐川宣寿元理財局長が被告となっている。 ただしすべての責任は佐川氏個人に還元されるべきものなのだろうか。赤木俊夫さんが遺したメモ。涙で文字がにじんでいるようにも見受けられる(筆者撮影) 赤木氏の手記を読んだ限りにおいて、佐川氏本人から直接指示を受けた形跡はない。「当時の佐川局長が判断したものと思われます」という推量の文言や「現場の私たちが直接佐川局長の声を聞くことはできません」といった表現もあった。 また財務省の改ざん調査報告書の中ほどには、 「17年3月20日(月・祝日)に、佐川宣寿理財局長を含めて改めて議論を行うこととなった。その際、佐川宣寿理財局長からは『同年2月から3月にかけて積み重ねてきた国会答弁を踏まえた内容とするよう』念押しがあった。遅くともこの時点までには、佐川宣寿理財局長も、決裁文書の書き換えを行っていることを認識していたものと認められる」とある。最初に決裁文書の書き換えが行われた17年2月26日の時点では、佐川氏は「改ざんが行われていた」ことを明確に認識していなかったともとれるのだ。 佐川氏が理財局長に就任したのは16年6月17日のこと。森友学園が国側と国有地の売買契約を締結したのは同年6月20日なので、土地取引に実質的な関わりはない。佐川氏や財務省理財局には公文書改ざんという常識外の行動に至る動機やメリットが見当たらない。国家の根本を毀損する公文書改ざんという行為を決定・指示した真の人物は誰なのか。この国の民主主義を守るために突き止めなくてはならないのはまさにこの点なのである。
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