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1 雨のうち予感
「暑い。すごく暑い」
「当たり前だ。夏だもの」
「夏だね~」
そう、夏なのだ。つい最近梅雨が明けたばかりで夏到来。それは、無意識に『暑い~』なんて声が出てしまう。俺も暑い~なんて自然と声が漏れてしまう。
今は休み時間だから友達と一緒にいた。
僕の名前は天野夕哉。藤宮第二中学校に通う、中一。いたって普通の健全な男子だと思う。自分で言うのもなんだけど。成績は普通。
「こんだけ暑いと部活もシンドイ!」
「分かる分かる」
「二人は屋外の部活だもんな。それはシンドイわぁ~」
「夕哉は帰宅部だから家に帰れば涼しい空間が待っているもんな」
「まあーね」
「帰って何やっているんだ?」
「えーと、ゲームとか」
「ゲームかぁ。オススメがあったら教えてくれよ」
「分かった。智樹と健祐は部活頑張れ。大会あるんだろう?」
「ある。レギュラーになれるかは分からんが」
「大会に出ることになったら教えてよ。応援に聞くからさぁ~」
「そんときは教えるから」
「楽しみにしているよ」
キーンコーンカーンコーン
「休み時間みじけぇー」
「ほら、残り二時間。頑張ろーぜ、健祐」
「オーウ……」
自分の席からだるそうに席を戻っていく友達を見て苦笑いを浮かべながら見ていた僕は、先生が教室に入って来るまでに授業の準備をして、教室の窓から校庭を眺めていた。
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