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雨のうち予感③
学校から自宅に向かって歩き始めていた。学校の正門から出て、自宅まで約三十分。
外は梅雨が明けからの夏だから暑い。正直、歩いて帰るのが嫌になるくらい。
(暑い……五時過ぎてもこの暑さ。途中、公園があったなぁ~。小さいけど休めるところがあるから休んで行こうかな)
ゴロゴロ。
「か、雷! 確か折り畳み傘あったはず……」
歩くのをやめて鞄の中を見る。
「ない。折り畳み傘がない……ヤバい!」
梅雨が明けてからの夕立がそんなに続くなんて思っていなかった。完全に油断した。
昨日も夕立があったから傘は家に干したままだし、まさか連続はないよなぁ~と思って置きっぱにしても、大丈夫なんて思ったのが間違いだった。
「頼むから家に帰るまで降らないでくれ」
空を見ながら祈りつつ歩き始めた。空はまだ、水色だけど遠いところはいかにも雨が降り始めそうなそんな空模様。
こっちに来るのも時間の問題だろうと僕は思った。
今の時間、家には誰もいないし……こんなときに自転車通学ならもうスピードで家に向かえるのになぁ~と思ってしまう。
「風が冷たくなってきたなぁ~。これはまずいかも」
本気でヤバそうで本当に家に帰るまでもってくれと祈る。
ゴロゴロ、ドーン。
「えっ、冷た!」
ザーザー、ザーザーと雨が降ってきた。
「うわぁ! 濡れる!」
折り畳み傘を持っていない僕は走り出した。
とりあえず、どこか雨宿りができる場所がないか走りながら探した。このまま、家に向かうこともできるが僕の家はまだ先の先。家につくまでにずぶ濡れよりは、どこかで休んだ方がいいと思ったんだ。
どうせ、夕立だろうと思う。いや、夕立であることを願う。
「あっ、あそこで休むか」
僕が見つけたのは小さな公園。学校から自宅に帰るまでの道のりにある小さな公園。
公園にはベンチ、ブランコ、滑り台、そしてキノコ型の屋根がある丸いテーブルに小さなイス。
とりあえず、その公園で雨宿りをしようと思う。濡れてしまった制服を手で払いながらはぁ~とため息をした。
(とりあえず、雨がやむのを待つしかないよなぁ~)
思わず心のかなで呟いた僕は雨がやむのを待った。
雨がやむのを待った僕はどれくらい待ったかは分からないが待っているだけは暇だった。
ついにどれくらい待ったのか知りたくって公園の中でどこか時計がないか周りを見た。けど、どこにもなかった。
「はぁ~」
自然とため息が出てしまった。
「ねぇ、入って行く?」
突然、声が聞こえた。
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