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雨のうちくもり②
友理奈と一緒に帰った日から三日がたった。あの帰りを見た人がいた。
男子達の中で多分一番苦手な倉山香織さんだ。
倉山さんのせいでと言ってもいいぐらい今、友理奈は標的にされている。一緒に帰った男子の名前はふせて、倉山さんのでっち上げ話がクラス中に広がっている。
男子は興味がないのであまり気にしないが女子は違うようで大変だ。
僕は友達二人に密かに相談したが何しろ中一の僕達じゃあ経験が浅い。だからどうしたらいいのか分からない。
とりあえず、落ち着くまでそっとした方がいいかなと判断をした。
「委員会に行ってくる」
「今日は早く終わる予定だろ。待っているから」
「ありがとう。でも遅かったら」
「先に帰ってだろ」
「うん」
僕は委員会に向かった。
今日は早く終わる予定なので智樹と健祐と帰る予定。部活がないらしい。
早く終わってくれる事を祈った。
「ちょっと話し掛けてもいいかな?」
私は夕哉といつも一緒にいる二人に声を掛けたの。今、教室には私を混ぜて三人しかいないから。
「清白さん。どうぞ」
「ありがとう。二人は私の事覚えているよね?」
「「もちろん」」
「やっぱり。みんな山中渓小学校だったよね?」
「そうだよ」
「じゃあ、夕哉もそうだよね」
「うん」
「じゃあ、何で夕哉は覚えていないの?」
「あーそれは……」
「教えて!」
やっぱり夕哉も同じ学校だった。私は途中で転校することになったから違う小学校で卒業したけど。
「本人には言うなよ」
「言わないわ。理由が知りたいだけ」
「忘れているんだ」
「忘れてって、覚えていないの?」
「違う。健祐パス」
「おい。夕哉は清白さんが転校したあとに事故にあって一部、記憶が忘れているらしい」
「……そんな」
「事故にあったあとで俺達の事も始めは覚えていなかった。だから小学生の四年から五年の半ばまでは記憶が失ってしまったと本人には言っていた」
「そうなんだ」
「思い出してほしいならアタックして思い出してもらう方がいい。あとは何かの拍子に思い出すことを祈るのみ」
「……ありがとう。話が聞けて納得したわ」
私は二人にお礼を言ってその場から離れた。まるで自分の足で歩いている感覚がないくらい心の中はショックを受けていた。
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