地に足つかない恋愛論

地に足つかない人生論

【前回の除霊でアドリブを入れて奇をてらい、除霊に失敗した霊能者編】

（男の部屋）
女　ねぇ、今夜花火大会があるんだって。
　　私、浴衣着ちゃおうかな～って、もう着てるか。

男　それ、浴衣じゃなくて、死に装束だろ。

女　あ、アロマ焚くの？いいね！雰囲気でるね。

男　これ、お線香だから。

女　もう！せっかく、二人っきりだっていうのに、テンション低っ！

男　そりゃ、低くもなるだろ。
　　迷惑な地縛霊を除霊するはずが、失敗して逆にとり憑かれるだなんて。
　　俺、もう霊能者失格だよ…はぁ…

女　いや～、しかし、いくら何でもアレはないわ。
　　除霊でアドリブ利かせたつもりなんだろうけどさ、
　　無理無理！ぶっちゃけ私もドン引きだったもん。

男　はぁ…

女　まぁ、せっかく縁あってこうして一緒にいるわけだしさ、
　　ほら、元気出せ。賽の河原の石積ゲームでもする？

男　…

女　そりゃあ、しくじったモノは消せても、
　　やってしまった失敗は消えないし、方法を間違えたら、跡に残る。
　　それは、きちんと反省しろ。
　　でも、あんたは生きてる。
　　また、何度でも挑戦できるんだよ。

男　…そんなきれいごと言ったって、無理だろ。

女　ううん、できる。やり直せる。

男　…まさか。おまえ、またそういうメタ発言…

女　（遮って）また、もう一度最初からやりなおすの。
　　あんたは、仏頂面でいけ好かない霊能者。
　　私は、魅力満点の超いけてる可愛い幽霊。

男　え…？ちょっと待て、そんな設定だったか？

女　あら、想像は自由よ。
　　だからね、アドリブなんかに頼らずに、
　　今度は、ちゃんと「台本(私)」を見て。
　　「台本(私)」の存在を感じて。
　　きっと、あなたならできる。

男　でも、そんなことしたら、おまえは除霊されて…

女　さぁ、目をとじて。時間を巻き戻すの。
　　もう、バカなマネ、するんじゃないわよ！

　　…ねぇ、今度は私、いい恋愛ができたよ。