2 もう一回

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2 もう一回

 夜七時。夏にはまだ早く春というには遅い夕闇は、だんだんと世界を覆っていった。  昨晩はもっと暗かったかと、彼が踊っていた小さなステージに腰かけ待つ。早いかとは思ったが夕方には虫よけを買ってきて、頭から足先まで振りまいておいた。  それなりに広い公園のこの小さなステージは、まったく道路には面していない。おれだっていつも通る場所ではない。近道にもならない。なんとなく、本当に何気なく迂回しただけ。運動不足を感じてもいたし、気分転換という思いもあったかもしれない。でもそんなしっかりした理由があったわけじゃなくて、本当になんとなく昨晩はここの道を通った。  右を見て、左を見る。どちらの道から来るのかわかるわけもなく、そもそも会えるのかもわからない。もしかしたらおれを見て逃げてしまうことだってあるだろう。……もしかしなくてもそれが一番有り得る。  昨日の変な奴が今日もいて、追い回されることに恐怖するだろう。ストーカーではないのだと弁明しようか。もし会えたなら名前だけはどうにか教えてもらって、彼がいなくなるまで座っていよう。付きまとったりはしないとアピールしなければ。
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