私、くまのプーさん脱出する

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 愛美のダイエット成功よりは、颯太の地区大会の賞の方が結果が出るのは早い。  地区大会最終日、颯太は自信作を提出した。  結果が出るのは一週間後だという。  学校に戻って来て、諸々片付けを済ませて部員たちは各々部室から出て行った。  颯太は真っすぐに帰宅する気になれずに、愛美を写したあの河川敷に立ち寄る事にした。  別に、愛美がいるなんて保証はどこにもないのに。 (あれ? やっぱりメス豚じゃん)  颯太は、愛美の後ろ姿を確認してそっと近づいていく。  ダイエット宣言して何日経ったのだろうか。  愛美が、河川敷をウォーキングしている姿を初めて見たが、颯太にはわかった。 「よっ、中倉。頑張ってんな。ちょっとは成果表れたのか?」 「あ、沖田君。どう? なんかわかる?」  くるりと振り向いた愛美の顎などを嘗めるように見渡した颯太は、小さく笑ってこう言った。 「ちょっとだけ顎がすっきりしたと思う。まぁ、精々頑張って驚かせてみな。ほいじゃ」 「ちょっとだけ変化あったんだね、よかった。またね」  愛美は颯太に手を振るとドタドタという言葉が相応しい重たそうにジョギングを始めた。  (大好きな大福だって週に一個に減らしたし、わかる人にはわかるんだね。でも、頑張って見返すからね)  愛美本人は、間食を減らした事が進歩したと思っているのだ。  あれから数日後、地区大会の結果が発表される。  部室にいる面々は、地区大会に参加した部員たちだ。 「封筒に結果が書いてあるぞ。受け取って確認してくれ」  顧問は、そう言って一人ひとりの名前を読み上げて封筒を渡していく。  颯太は、封筒を受け取り早速中を覗いてみる。  隣では敏郎が、封筒から紙切れを取り出して見ている。  颯太も、封筒の中を取り出して見てみた。  その時、近藤のっしゃぁ! という声が聞こえてきた。  敏郎も一人でにやけているから賞をもらえたのだろう。 「キモい顔すんな」 「うっせ! お前はどうだったんだ?」  敏郎が覗いて来ようとするので、颯太は席から立ち上がり部室の隅へ移動して紙切れを確認した。  四位に入賞した事を告げる文字を、何度も何度も颯太は確認した。  三位には入れると思っていただけに、ちょっとは悔しい気持ちもあるが、颯太は晴々とした気持ちになった。 「お先に失礼します」  颯太は、活動はせずにきょうは早々と部室から出ていく。  そんな颯太を追いかけてきたのは近藤だった。 「颯太、また来年もあるから、あまり気落ちするなよ?」 「そういう慰めはいらねぇです。じゃ、またあした……来れたらいいな」  ぺこりと頭を下げると颯太は足早に廊下を歩き、近藤と距離を離した。 
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