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どの穴に?
高校に行ってる木村妹からメールがきた。
(帰りの車の中で俺は何を話したらいいんだ? 木村妹の友人がこの近くに住んでないか?)
透は木村妹にメールした。
[マンションの方向に住んでる友人はいないのか?]
しばらくして返信がきた。
[どうしてですか?]
[帰りの車の中で君が話す友人がいたほうが良いと思った]
[なるほどです。流石は透様。1人、適当な友人を見つけておきます]
[分かった]
俺の初メールは木村妹だったか。と思う透だった。
・・・・・
「初めまして。萌の友人で早苗です」
「うん。俺は透。こっちは……婚約者のまほろ」
「凄い美人ですねー。あ、すみません」」
「いや、まあ」
「むふん」
走る車の中で自己紹介する透たち。
女子高生だからよく喋る。
「本当にあの超有名なマンションに住むの?」
「うん。今日からね。なんと、10畳の一人部屋。完全超防音」
「えー! いいなー。私は妹と同じ部屋なのに」
「私の部屋に居候する? なんてね」
「したいけど、無理よね」
「早苗さんも、親の許可をもらえば居候していいよ」
「え!? いいんですか?」
「高校の送り迎え、早苗ちゃんの家まで行くのが二度手間だしね」
「送り迎えもしてくれるんですか?」
「俺は暇なんだよ。やらしてくれ」
「ありがとうございます!」
「うん」
「良かったね、早苗」
「うん。萌と友達で良かったよ」
「でも、親の許可もらえる?」
「もちろんよ。我が家は子供が6人の貧乏子沢山。食い扶持が1人減って親は大喜びだよ」
「なるほどー」
(俺と関わった以上、早苗ちゃんも金で困るようになるからな。俺の近くに住んだほうが幸せになるよな)と思う透だった。
・・・・・
「透、お待たせ」
「そんなに待ってない」
優馬が働くスーパーに車で迎えに来た透。
愛とナイトは乗っていない。家で遊ぶらしい。
走る車の中で話す。
「あのさ、佐藤しずくさんの事だけど」
「うん」
「たまに、年に数回だけど中学と高校で仲の良かったグループで集まるんだ」
「なるほど」
「しずくさんも、高校卒業から僕とは違うスーパーで働いていて、スーパーあるある話で盛り上がるんだよね」
「ほう。好きなんだな」
「うん。あっ!」
「恋愛は自由」と、まほろ。
「まあ、そうなんだけど」
「優馬はしずくとエロエロしたいと想っている」と、まほろ。
「うん。あっ!」
「優馬、男はみんなそんなもんだ」
「あ、うん。だよね」
「プロポーズはいつするんだ?」
「あ、いや、デートもまだ……」
「私と透。優馬としずく。ダブルデート」
「え?」
「なるほど」
「しばらく寝てて」
「え?……グー」
優馬は寝てしまった。
「まほろ?」
「優馬のスマホでしずくに電話する」
「あ、なるほど」
優馬の声で佐藤しずくに電話するまほろ。
「もしもし、こんな時間にごめん。ちょっと時間大丈夫? うん。あのさ、僕の親友から遊びに誘われたんだけど、親友は婚約者と一緒なんだよね。でね、僕と3人なんだ。うん。何だか微妙な空気になるよね。でね、できれば、本当に暇ならでいいんだけど、次の休みの日に一緒に来てくれないかな? あ、しずくさんの休みの日に合わせるから。親友は資産家で仕事をしてなくて暇なんだ。うん。え? いいの? うん。じゃあ、予定はメールで。うん、おやすみ」
「まほろ、目を閉じてたら完璧に優馬だった」
「まあね」
優馬を起こす透。
「う、うーん。あれ? 寝てた?」
「半分な」
「え?」
「優馬、寝ぼけて佐藤しずくさんに電話してたぞ」
「はい?」
「スマホの履歴見てみなよ」
「あ、うん。あれ? ほんとだ。僕、どんな事を言ってた?」
「私は完全記憶。覚えている」
「え?」
「まほろは完全記憶なんだよ」
「それは凄いね!」
「むふん。言う。『もしもし、こんな時間にごめん。ちょっと時間大丈夫? うん。あのさ、僕の親友から遊びに誘われたんだけど、親友は婚約者と一緒なんだよね。でね、僕と3人なんだ。うん。何だか微妙な空気になるよね。でね、できれば、本当に暇ならでいいんだけど、次の休みの日に一緒に来てくれないかな? あ、しずくさんの休みの日に合わせるから。親友は資産家で仕事をしてなくて暇なんだ。うん。え? いいの? うん。じゃあ、予定はメールで。うん、おやすみ』以上」
「うわ~~。マジで?」
「完全犯罪」
「アウトだな」
「穴があったら入りたい」
「しずくさんの穴に?」
「うん。あっ!」
「優馬も男だな」
「うわー!」
まほろのおもちゃにされる優馬だった。
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