みんな変

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みんな変

ダブルデートの日がやってきた。 「と、透、こ、この服、おかしくない?」 「優馬、落ち着け」   「で、でもね」 「すべては、まほろに任せておけ」 「え? グー」 優馬は寝た。 「ふふふ。優馬は私の操り人形」 「まほろ、ほどほどにな」 「そこは上手くやる」   「まあ、うん」 優馬の意識にまほろは思念体を潜り込ませた。 「優馬、起きて」   「うん」 「優馬、今日はしずくとホテルに泊まりモーニングコーヒー」 「やるよ、僕は」 「やっちゃって」 「うん」 大丈夫か? 少し心配になる透だった。 東京駅で待ちあわせ。   「ごめん、待った?」 「そんなに。紹介するよ。親友の谷口透と婚約者のまほろさん」   「おはようございます。佐藤しずくです」 「おはよう。俺のこと、覚えてるかな?」 「え?」 「中学1年生の時に同じクラス」 「あ、そうなんだ。えっと……谷口くん……もしかして、不登校の、あ、ごめんなさい」 「いいよ。その不登校の谷口」 「あー。思い出した。雰囲気変わったね。あ、馴れ馴れしくてすみません」 「元クラスメイト。タメ口でいこう」 「うん。そのほうが楽だよね」 「だな」 「じゃあ、俺も今日から雰囲気を変えるよ」 「え? 木村くん?」 「こんな雰囲気の俺、しずくは嫌いか?」 「え、いえ、素敵……だと思う」 「しずく。私のことは、まほろと呼べ」 「あ、うん」 「俺も透と呼んでくれ」 「分かった」 「じゃあ、車を呼ぶ」 「え?」 「透は専属運転手を雇っているんだ」 「凄い」 「むふん」 「まほろは褒めてないけど」 「透の物は私の物」 「なるほど」 「しずく、今日はドライブダブルデートだ」 「あ、うん」 車の中で積極的にしずくに話す優馬。 しずくはよく笑っている。 夜になり、少しお酒も飲んだ。 「良い感じになりました」 「え?」   「しずく、寝てて」 「え? スー」 「しずくも私の操り人形」 「まほろ、ほどほどにな」 「私は失敗しないベテラン仲人」   ……おまえ、何歳だよ。 「で、どうするんだ?」 「しずくの意識は半分しか乗っ取らない」 「なるほど。何となく意味は分かる」 「優馬に潜り込ませた思念体に、しずくとすぐに結婚したいと命令」 「なるほど」 「しずくに潜り込ませた思念体に、優馬とすぐに結婚したいと命令」 「なるほどな」 「これから2人はホテルでズッポリ」 「なんか嫌な表現だな」 「やる事やれば2人は結婚」 「まあ、な。しかし、しずくは他に好きな人とかいないのか?」   「大丈夫。しずくも(優馬くんと今夜はもしかして、なんてね)と、勝負下着。優馬とあんな事をする幻想もしてた」 「なら、既定路線だな」 「鈍行を新幹線に変えるだけ」 「時短だな」   「時間は大切。どうせヤルなら早くしろ」 「そうだな」 ・・・・・ 「あ、あれ? 私は寝てた?」 「少し酔ったのかな」 「優馬、透とまほろは?」 「婚約者同士、このホテルのスイートルームでお泊り」 「あ、そっか」 「俺もスイートルームを取った」 「え?」 「しずく、俺とは嫌か?」 「えっと……嫌、じゃないけど、その……」 「心配するな。責任はとる」 「え?」 「俺と結婚してくれ」 「え?」 「安物で悪いけど、俺の給料3ヶ月」 婚約指輪をポケットから出す優馬。 「……優馬」 「結婚してくれるか?」 「はい。お願いします」   「必ず幸せにするよ」   「うん。もう幸せ」   「それは良かった」 「うん」 スイートルームへと向かう2人だった。 ・・・・・ 「スイートルームに入った」 「そうか」 「これから、しずくは天国モード」 「そんなに優馬は凄いテクニックなのか?」 「私の知識をフル動員」 「……ほどほどにな」 「10回は天国へ」 「最初からそれはヤリすぎだ。次が物足りなくなるだろ」 「何事も最初が肝心。でも、3回にする」 「3回も多いと思うが。俺は知らんぞ」 「私がこの件の責任はとる」 「まほろ……お前、楽しんでるだろ」 「私は発達障害。普通の常識は通用しない。透も分かってる」 「そうだな。家族がみんな死んだのに、もう俺はそんなに悲しくない。俺もおかしいよ」 「みんな変でそれで良い」 「そうだな。俺もまほろも変なんだ。法律違反じゃないなら倫理とか、何でも良いよな」 「いいとも」 そう、俺は変なんだ。
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