天国から地獄

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「ま、まぼろー。あじがとうー」 「しずく、泣くとブス」 「だ、だっでー」 「人は誰もが何かをやらかす。人殺し以外はだいたい大丈夫」 「うん」 「感謝するなら透の会社で頑張れ」 「うん。頑張る」 こうして優馬としずくはスーパーを実質クビになり、透の不動産会社で働くことになる。 ・・・・・ 「こ、ここって……夢で見たあのマンション!」 「すごいよね」 「ここに家賃1万円で本当に住めるの?」 「社員割引きらしいよ」 「私、天国から地獄でまた天国だよ」 「僕もだよ。死ぬしかないと思ったから」 「それ、私も」 「透が白馬の王子様に見えた」 「まほろが女神様に見えた」 「しずく、今から天国に行く?」 「行きたい」 「しずく、命令だ。服を脱げ」 「はい、優馬様」   ・・・・・ 「今、こんな事を隣ではやってる」 「まほろ、言わなくていいからな」 「実況生放送」 「やめてくれ、興奮してしまう。俺も22歳の男だぞ」 「サービスするから」   「あ?」 「私が透に」 「それは8年後だろ」 「今から。できる範囲で」 「いや、それは流石にまずい」 「私は美味しいぞ」 「そんな意味では」 「いいから、いいから」 「あ、おい、まほろ! いい加減にしないと殴るぞ!」 「私を殴れる?」 「あ、いや……殴れない」 「なら、流れに身を任すのも人生」 「あ、おい、ちょっと、まほろ……」 「よきかな、よきかな」 流れに身を任せてしまった透だった。 ・・・・・ スーパー立見。優馬がクビになったスーパーだ。 そのスーパーの社長が妻の専務と話していた。 「あなた、儲けたわね」 「まったく笑いが止まらん」 「誤発注の扇風機30万台、1台500円で転売して経費とか引いても1億円の利益」 「濡れ手に粟だな」 「俺に深く関係した人間は必ず不幸になる。この扇風機で利益は1円も得るなよ。すべてどこかに寄付しろ。そして俺の事は完全に忘れろ。噂をするな。人に話すな。俺の事を考えるな。いいな」 「はははっ。谷口透だったか。そんな事を言ってたな」 「資産家だけど頭は悪いのかしらね?」 「おいおい、谷口透様は神様だぞ」 「あら、そうよね」 「はっはっは」 「ほっほっほ」 この会話から3年後に社長と専務は金のトラブルで殺害されるのだった。 ・・・・・ スーパー安目。しずくがクビになったスーパーだ。 そのスーパーの社長が妻の専務と話していた。 「あなた、儲けたわね」 「まったく笑いが止まらん」 「誤発注の高級石鹸100万個、1個120円で転売して経費とか引いても1億円の利益」 「濡れ手に粟だな」 「谷口透に深く関係した人間は必ず不幸になる。この石鹸で利益は1円も得るなよ。すべてどこかに寄付しろ。そして谷口透の事は完全に忘れろ。噂をするな。人に話すな。私と谷口透の事を考えるな。いいな」 「はははっ。あの女、谷口透とかの婚約者だったか。そんな事を言ってたな」 「凄い美人だったけど、頭は悪いのかしらね?」 「おいおい、あの女は女神様で谷口透は神様だぞ」 「あら、そうよね」 「はっはっは」 「ほっほっほ」 この会話から3年後に社長と専務は金のトラブルで殺害されるのだった。 ・・・・・ 「不動産会社を設立したい。俺が社長でまほろが専務。俺は投資で忙しいから、実質の経営は優馬としずくに任せる」 「僕たち、不動産とか素人なんだけど」 「そうよね」 「適当な土地や建物を買ってそれを貸したり売ったり、それで良し」 「まほろは簡単に言うけど」 「大損失を出しても大丈夫。透が投資で儲けて赤字は補填する」 「そう言われても」 「2人で6億円の損失を肩代わりしてもらってるし」 「誰かが損をして、誰かが儲ける。それで社会は回る」 「そう言われたら、気が楽になった気もする」 「私も」 「ヤバいと思ったら私と透がストップさせる。安心安全」 「分かった、やるよ」   「私も頑張る」 「うむ」 「頼んだぞ」 「「はい、社長」」   優馬としずくが頑張れば頑張るほど、俺の豪運(金)の反作用で損失を出すんだけどな。と思う透だった。
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