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「お前らを俺が死ぬまで預かるのはいいんだが、住民票とかどうするんだ?」
「身分証明みたいな事を心配してるの?」
「そうだ」
「おっさんが言ってた」
「何て」
「私達は死んだ」
「はい?」
「正確には私が豪運(幻)で3人とも死んだ事にしてる」
「あ、なるほど」
「豪運持ち以外には私達3人の本当の姿は分からない」
「しかし、俺が早死にしたら……明日にでも俺が死んだらどうするんだ?」
「豪運持ちは100歳まで死なない。知らないの?」
「マジ?」
「ナイトみたいに絶対に病気も怪我もしないのは無理だけど、100歳まで死ぬような事は絶対にない」
「おっさんが言ったのか?」
「そう」
「なるほど」
おっさん、そんな大事な事は教えてくれよ。
「おっさんの連絡先は知ってるのか?」
「知らない」
「いちおう教えておく」
「この番号は使われておりません」
「ん?」
「その番号に電話しても、そう言われる」
「おっさん、番号を変えたのか?」
「うん」
おい、おっさん。
「おっさん言ってた。『俺をもう頼るな』」
「そうか」
おいおい。
「透、私は今から二十歳の花嫁になる」
「はい?」
「イメージは絶世の美女でナイスバディ」
「で?」
「お役所に結婚式やりに行く」
「婚姻届を出しに行くのか?」
「それ」
「花婿は?」
「透、ボケたの? 透しかいない」
「だと思った」
「行くよ」
「今からか?」
「愛とナイトは、私達夫婦の養子」
「なるほど」
「家族ごっこ、私は好き」
「私も」
「僕も」
「そうか。分かったよ。仮初めの家族になるか」
「「「うん」」」
・・・・・
「困ったな。婚姻届を出すには証人が2人いるのか」
「友達、いないの?」
「中学を卒業してから引きこもりしてたからな」
「中学の時のマブダチは?」
「ダメ元で探してみるか」
「札束で顔をペチペチしたらやってくれるかも」
「それはマブダチを無くす行為だな」
「そうなの?」
「やったら分かると思うぞ」
「私、マブダチはいない」
「愛とナイトがいるだろ」
「愛とナイトは大事な家族」
「あ、そうだな」
「うん」
「大事な家族に札束で顔をペチペチされて嬉しいか?」
「家族がお金持ちという事だから嬉しいかも」
「ペチペチだぞ」
「パン! パン! なら怒るよ」
「確かにな」
「少なくとも絶交はしない。『何してるの? 頭は大丈夫? 精神病院に入れるぞ』くらいは言うかも」
「そうか」
「うん」
「中学の先生に相談してみるか」
「死んでないと助かるね」
「流石に全員は死んでないだろ」
「集団異世界転移・消えた中学校」
「それは怖いな」
「先生はだいたい異世界で先に殺される」
「確かに」
「作者の子供時代の教師へのささやかな復讐」
「なるほど」
「潜入、中学校編のスタート」
「いや、堂々と正門から入るからな」
「私は変装している。美人女スパイ」
「中学校にそんな凄い秘密はないと思うけどな」
「教師が生徒を隠し撮り」
「あー。あるかもな」
「すべての中学校でやってる。今年の流行」
「いや、それは無いな」
「透が知らないだけ。男の教師はみんなスケベ」
「今から中学校に行くんだぞ。そんな事を聞かされたら、すべて男性教師が変態に見えるだろ」
「本物の変態だから仕方ない。変態集団……私は絶世の美女。怖くなってきた」
「中学の男性教師は生徒が好きなんだよな?」
「もちろん」
「なら、二十歳の絶世の美女の姿に変身しているまほろには見向きもしないぞ」
「ガーン。少しショックを受けた」
「だから安心しろ」
「分かった。安心して隠しカメラを探す」
「見つけても大騒ぎにしないでくれな」
「小騒ぎくらいにしておく」
「どうやって隠しカメラを探すんだ? 中学校の中をウロウロしてたら怒られるぞ」
「私の豪運(幻)は人間の幻想を感知する。エロい事を考えてたり隠しているエロ本なんてモロバレ。豪運持ちの透が隠してる凄いDVDは見つけれない。残念」
「も、も、持ってないから」
「ふーん」
すいません、子供に嘘をつきました。しかし、エロいDVDを持ってない22歳の男なんて滅多にいないだろ。
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