中学校に潜入

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中学校に潜入

区立池沢中学校。透の卒業した中学校だ。   受付で説明した。 透はかなりの人見知りだったが、成人してからおっさんと関わり、かなり他人と話せるようになったのだ 「卒業生の谷口透ですが、結婚する事になり証人がいないんです。昔の担任や同級生がなってくれないかなと思って来ました」 「そうですか。少しお待ち下さい」 「はい」 「今の女、『ふーん。こんな冴えない男がこんな凄い美人と結婚ね。親の遺産でもたんまり持ってるのかしら』みたいな事を考えてた」 「……まほろ、そこまで詳しく分かるのか?」 「何となく。だいたいは私のイメージ」 「そうか」 「うん」 しばらくすると受付のお姉さんが男性とやってきた。 「谷口さんを担任した先生は皆さん移動してます」 「やはり異世界転移」 「え?」 「あ、すみません。まほろ、黙ってて」   「うん」  「えっと……それで、こちらは教頭先生です」 「あ、こんにちは」 「こんにちは。ご結婚おめでとうございます」 「ありがとうございます」 「証人は当人をよく知る人がなるもので……記録を調べましたが谷口さんは何と言っていいか」 「1年時は3分の1、2年時は半分、3年時は1日も登校してませんからね」 「まあ、はい」 「1年生の時に仲の良かった人はいたんですよ。生徒名簿は捨ててしまって。見せてもらえませんか」 「今は個人情報保護で本当は駄目なんですが、今回は特別に見るだけなら」 これも愛の豪運力だな。 名簿を見せてもらった。 「えっと……これ、コピーは」 「流石にそれは、ちょっと。完全な法律違反になりますので」 完全な法律違反になることは愛の豪運も無効なのか。 「透、覚えた」 「え?」 「私は一度見たものを忘れない完全記憶」 「……凄いな」  「うん」 「ほう。奥様は凄いですね」 「教頭も凄いね」   「え?」 「受付のお姉さんと凄いフォーリンラブ」 「こら、まほろ」 「あ、あ、あの、その、え?」 「あ、ありがとうございました。失礼します。帰るぞ、まほろ」 「あ、美人女スパイが」 「また今度な」   「うん」 中学校から焦って出た透。 「まほろ、ビックリしたぞ」   「私も少しビックリ。あんな紳士面した教頭が受付のお姉さんとあんな事やこんな事をやってるなんて。世も末だ」 「あんな事やこんな事って分かるのか?」 「5歳の時からあんな事やこんな事のイメージが頭に流れてた。もう慣れてしまった。今ではどんなイメージでもそれほどビックリしない。耳年増」   「そうか。大変だったな」 「保健体育は卒業」 「まあ、性教育も大事だからな。無知なほうが怖い」 「頭がいいはずの教師が危ない性を経験してるけど」 「勉強の脳と倫理観の脳は分野が違うからな」 「おお。1つの脳に変態とお利口さんが住んでる」 「陣地合戦に変態が勝つとヤバい」 「おー脳!」   「OhーNo!か」 「透、車は運転できるの?」   「おっさんに言われて運転免許は取った」 「車を買ってよ」 「「買って」」 「そうだな。4人なら車の移動が楽か」 「私も外でずっと豪運(幻)を使うのは」    「疲れるのか?」     「疲れないけど、人が多いところに長い時間いるのは嫌かも」 「私も」   「僕も」 「それは俺もだ。車を買うかな」  「「「うん」」」 車ってどこで買うんだ?   自宅に帰りスマホで調べる透。 「なるほど。新車は注文生産だからすぐには乗れないのか。人気車だと1年待ち!? そんな馬鹿な。ん? ナンバー付きの中古車なら1週間以内に乗れるんだな」 「中古車でいい」 「そうだな」 慎重派の透は安全な車を買おうと調べた。 「車の安全性テストってあるのか。いろんな項目でテストして総合点を出すんだな。国産車で1番安全なのは北斗自動車のマモール。マモールって人間を守るからきてるのか?」 「マモール、いい名前」     「そうだな」 「僕も愛をマモール」 「うん」    「透も結婚するなら家族をマモール」   「分かってる」 うん。分かってるさ。    
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