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透、車を2台買う
新車ディーラーでも認定中古車という、正規ディーラーの保証付き安心安全な中古車を買えると知った透。
「認定マモールを買いに行くぞ」
「「「おおー」」」
子供でも車を買うとなるとワクワクするのか?
少しだけテンションが高くなってる気がする3人。
「透、運転は自身ある?」
「運転か。仮免許試験合格から一度も運転してないな」
「その心は?」
「ど素人だ」
「運転のすごくうまい人、知ってる?」
「どうして?」
「その人の幻影を創って、その幻影に運転させる」
「はい?」
「10を超える私の能力の1つ。影分身」
「……まほろ、半端ねえな」
「まほろは凄い」
「なら、俺は運転しなくて良いのか?」
「後ろの席で私とイチャイチャしてたら良い」
「イチャイチャは早いが、それは楽だな」
「みんなも安心安全」
「そうだよな」
「ネットで運転がうまい人の映像を探して」
「分かった。なら、今日はまほろの運転勉強会だな」
「ルールとか本を読めば完全記憶」
「完璧だな」
「永久ゴールド免許確定」
「それは助かる」
「愛する夫のためだから」
「お、おう」
・・・・・
「ほう。これが北斗自動車のミニバン、マモールか。思ったより大きいな」
「大きいの。好き」
「なんか……」
「ん?」
「いや、大きいのは安心だな」
「うん」
大きいの、好き。なんかエロい言葉だ。
「いらっしゃいませ。本日はお車をお探しでしょうか?」
ディーラーの営業マンが近寄ってきた。
「認定中古車マモールを」
「ありがとうございます。ミニバンでは1番人気の車ですね。試乗車もございますが、お乗りになられますか?」
「お抱え運転手付き」
「え?」
「この人、我が家の専属運転手なのだ」
「そうですか。それはそれは」
俺にはまったく見えないが、豪運持ち以外にはまほろの影分身が見えてるんだろうな。
助手席に営業マンが座り、影分身に運転してもらった。
透は2列目のシートにまほろと座っている。3列目には愛とナイト。
影分身の運転は俺から見ても完璧だ。
スムーズな発進、スムーズなブレーキ、スムーズなハンドルさばき。眠くなりそうなくらいだ。
「流石は専属運転手さんですね。私もこの仕事は長いですが、ここまで完璧な運転をする方は初めてです」
「そうですか」
それはそうだろうな。
10分ほど試乗してディーラーに帰ってきた。
「どうでしょうか」
「この店に認定中古車のマモールは」
「今は……6台ありますね」
「なるべく早く納車できる中で1番高いのを買います」
「ありがとうございます。お支払いは」
「一括銀行振込で」
「かしこまりました」
「あ」
「どうされました?」
「予備で1番高いグレードのマモール。新車で買います」
「え?」
「点検とか故障とかで乗れないと困るから、2台持っていたい」
「ありがとうございます」
「付けれる装備はすべて付けて。支払いは、これも一括銀行振込み」
「ありがとうございます!」
・・・・・
1週間後、白いマモールが納車された。
「さて、中学の同級生を探す旅に行こうか」
「2人さらわないと結婚できない」
「書類に署名捺印してもらうだけだから」
「奴隷にしないの?」
「日本で奴隷はいないぞ」
「お金を使いすぎてマグロ漁船で奴隷になるとか」
「確かに奴隷かも」
「うん。日本にも奴隷はいる」
「僕は愛の恋の奴隷」
「ナイト、愛にぞっこんなんだな」
「うん」
「私は優しい女王様。ムチやロウソクは使わない」
「……愛は優しいな」
「うん」
「証人は家族か親戚、親しい友人がなるらしい。まずは親しい友人になる必要がある。長く大変な旅になるかもしれないが、その覚悟はあるか?」
「「「ある!」」」
「よし、出発!」
影分身が運転するマモールはゆっくりと発進した。
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