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「まほろ、木村くんもまほろが友人になれば、俺の悩みは解決だな」
「私と透の証人になったら、透の影響は木村くんに行くから一緒」
「どうして分かる?」
「木村くんが透の事を強く意識してしまうから」
「なるほど」
「やめる?」
「今回は結婚しなくても8年後に結婚するなら、その時も証人は必要だから遅いか早いかだけだな。やるよ」
「それでこそ勇者」
「ああ。それに、俺たち家族のことを笑って話せる奴らが2人いれば」
「私たちはここにいる」
「そう。誰も知らなかったら、俺たち家族は存在しないのと同じだ」
「うん」
「俺の豪運のせいで少し不幸になるなら、幸せを3倍にして返してやるさ」
「透、かっこいい」
「勇者だからな」
「泣き虫勇者」
「もう泣かないさ。まほろより俺は早く死ぬし」
「あ、私は号泣。未亡人」
「ほんの12年だ」
「長い」
「子供の時の12年とは違うから。88歳からの12年はあっという間だ」
「あっという間に天国で会える」
「そうだな」
「木村くんの家の近くに到着」
「車はコインパーキングに入れて歩いて行こう」
「うん」
てくてくと歩いていく透たち。
「そう言えば、まほろは木村くんの実家の場所、よく一発で分かったな。豪運の力か?」
「科学の力」
「え?」
「カーナビゲーション」
「あ、なるほどな」
「人生を導いてくれる」
「それは無理だろ」
「人生と道は同じ」
「哲学だな」
「うん。到着」
「都営団地だな」
「東京都の飼い犬」
「いや、別に東京都が飼ってるから住んでるわけじゃない」
「東京都に尻尾をふったら負け」
「そう言われたら東京都に飼われてるようにも見えてきた」
「うん」
「で、この巨大な団地のどこに?」
「すでに木村くんは私の結界に入っている。かも」
「え?」
「私の能力が届く範囲に奴はいる。かも」
「分かるのか?」
「私のファントムが木村家の表札を探して、その中で20歳くらいの男を3人発見」
「ファントム?」
「私の10を超える能力の1つ。思念体探索。同時に10体まで飛ばせる」
「……まほろ、本当に人間か?」
「人間を超えてしまったか」
「少なくとも世界最強レベルかもな」
「私は世界最強レベルの魔法使い」
「そんな感じだ」
「むふん」
「じゃあ、その1軒目に行くか」
「うん。こっち」
まほろに案内されて1軒目の木村家に行く。
3軒目の木村家に優馬くんは住んでいた。
愛がいるから何の疑いもなく家の中へ入れてくれた。
「いやー。谷口くんの事はあまり覚えてないんだよね。中学1年生の時だもんな。しかし、愛ちゃん可愛いね。ジュース飲む?」
「3人分」
「分かった。母さ〜ん」
優馬くんは部屋から出ていった。
優馬くんは母親と妹と3人で暮らしているらしい。高校を卒業してから都内のスーパーで働いているそうだ。
「おまたせ。はい、愛ちゃん」
「ありがとう」
「うんうん」
「木村くん、俺はこの女性と結婚するんだけど、証人がいなくて困ってるんだ」
「あ、いいよ。僕がなるから」
「良いのか?」
「うん」
「証人をしてもらうのは親しい友人じゃないと駄目なんだ」
「え? そんなルールなの?」
「うん」
「じゃあ、今から親友になるよ」
「じゃあ、今日は俺の家に泊まってくれるか?」
「いいよ。親友はお泊りだよね」
「そうだな」
「いやー。ずっと谷口くんの家に住みたいくらいだよ。愛ちゃんがいるからね」
「俺の家は無理だけど、隣の家は大丈夫」
「え?」
「俺はマンションに3部屋持ってるんだ」
「えっと……谷口くんて資産家?」
「親の遺産」
「あ……そうなんだ」
「木村くんは親友だから、月に1万円で貸すけど」
「本当に!?」
「うん」
「絶対に母さんと妹を説得して引っ越すよ」
「まあ、今日は泊まりに来てくれ」
「うん」
(木村くん、お持ち帰り)と、まほろは思いました。
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