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明くる朝、朝日がカーテン越しに入って目覚めた。起き上がって目を開けると、キュリルが「おはようなの!」と私の部屋、空中を飛び、私に挨拶してくる。
「おはよう」
朝の挨拶を返す。やっぱり、昨日の出来事は本当なのね。と心の中で思った私は、そう、先輩と付き合える事も、現実に起こっている……という事実を思い返し、思わずニヤニヤしてしまう。スマホを確認すると、美緒から『涼太先輩と付き合えるわね!』というLINEが入っている。佐伯先輩からも、『池澤、宜しくな。付き合っても、仲良くしような』というLINEが入っていた。
やっぱり、私と佐伯先輩は付き合っている……これは本当なんだ。現実に起こっているんだ!その事実が、私の中に、大きな希望と、大きな幸せをもたらしてくれるのを、体いっぱいに感じ取れる。心の中にある、温かくて、湧き出してくる様な期待感で凄く嬉しい。
「夏稀ちゃん、凄く嬉しそうなの!キュリルも、嬉しいの!」
嬉しくなっていると、キュリルも嬉しそうに顔を綻ばせている。この妖精さんは、本当に素直でいい子なのね、と感心した。
さぁ、今日もデートの続きね。夏祭りは二日目、佐伯先輩とも付き合って二日目。これから、先輩との思い出をたくさん作るんだ!楽しくて幸せな時を過ごすんだ!
意気揚々と今日のスタートを切り、着替えをして、朝食を食べて、今日のデートの準備を済ませる。そして、佐伯先輩にLINEを送る。
夏稀 佐伯先輩、今日も夏祭りのデート、宜しくお願いします!凄く楽しみにしてます!
LINEを送って返信を待つ。ピンポン!と鳴って、急いでスマホを手に取ると、美緒と一美とのグループLINEからだった。
美緒 夏稀、今日のデートも頑張ってね。私達はもういいかな?
一美 私と美緒は、二人で夏祭り楽しんでるから、夏稀は涼太先輩と楽しんできてね!
な~んだ、と思ったけれど、二人共、私を祝福しているようだ。ありがとう、と心の中で呟いた。
夏稀 二人共、ありがとう!恩に着るわ。今までの応援、忘れないわ!
美緒と一美が、いやぁ。それ程でも。と謙遜する。本当に、心から感謝している。
美緒 何かあったら私達に言ってね。直ぐに飛んでいくから!
一美 夏祭り楽しみながら、夏稀と涼太先輩の事も気に掛けてるわ。これからも上手くやるのよ!
美緒と一美にデート、見られてるかもなぁ。まぁ、大丈夫!いいか。と自分に言い聞かせて、涼太先輩とのデートに備える。ピンポン!とまたLINEが鳴り、また美緒と一美かな?と思ってスマホを見ると、
(佐伯先輩からだ!)
思わず心の中で叫んでしまう。
涼太 池澤、僕も楽しみにしているよ。
続きは、こう書かれていた。
涼太 それと、僕なんかに告白してくれて、本当にありがとう。池澤と付き合える事、凄く嬉しいよ。
涼太 今日のデートも、楽しもうな!
謙虚な先輩、素直に喜んでくれる先輩に、心の中が、ほわっとあったかくなる。ああ、告白して、良かったな。先輩と付き合える事になって、本当に良かったな。
夏稀 こちらこそありがとうございます!今日の夏祭り、楽しみましょうね!
佐伯先輩と連絡を取り合って、今日も午前十時に街の公園で待ち合わせ。楽しみ、楽しみ!とウキウキしていると、キュリルが頼み事をしてくる。
「僕も、連れてってなの!」
空中をブンブンと飛び回り、頼んでくるキュリル。大丈夫なの?一緒に付いてきて。大人しくしていたら?とわぁわぁ宥める私。
「僕は、役に立つの!夏稀ちゃんの願いをずっと叶えられるの!ぬいぐるみのふりをして普段は大人しくしているから迷惑はかけないの!キュリルは、役に立つの!」
分かったわ、分かった。宥める私にキュリルは、「連れて行ってくれるの?」と期待感いっぱいだ。
「分かったわ、キュリルも連れていく。その代わり、先輩とのデート、邪魔しないでね」
キュリルは、「本当!?」と目を輝かせる。
「嬉しいの!キュリルも夏稀ちゃんに付いていくの!キュリルは、役に立つの!」
本当に嬉しそうだ。この妖精さんは、人の為に役に立つ事、願いを叶える事が本当に好きなんだな、と実感する。
「じゃあ、そろそろデートに出発しなくちゃね。準備も出来たし、いいわね。行くわ」
先輩との夏祭りの『デート』に向けて、私は街の公園へと向かう。
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