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 佐伯先輩は、ほぼ十時丁度にやってきた。私に「おはよう、池澤」と声を掛ける先輩は、朝から見る笑顔がとても爽やかで、私はカッコイイな、と感じるのが恥ずかしくも嬉しくて、思わず笑みが零れる。心臓が高鳴る。 「おはようございます!先輩!」  先輩は「待たせたな」と気遣ってくれて「これからどうする?」と聞いてきた。 「そうですね、夏祭りだから……」  私が喋ると先輩は「そうだな――」と言って、その後こう続けた。 「夏祭りのイベントを一通り楽しんで、その後出店巡りをしようか。あと昼食を済ませて、午後も過ごして、今日は花火も見て帰るか?今日のイベントは天体ショーもあるみたいだから、楽しみだな」  そう言う先輩に私も楽しくなってきて、夏祭りに気持ちが華やいでくる。 「じゃあ、夏祭りに繰り出そう!」  そして私と先輩は、二人で繰り出した夏祭りを存分に楽しんだ。夏祭りのイベントである盆踊りを踊り、神輿担ぎを観賞したりした。そして出店巡りをして、わたあめを買ったり水ヨーヨーをやったり、先輩との楽しい時間を、とても大切な時間を過ごす事が出来た。私が嬉しくて笑みが零れると、先輩も笑顔を見せてくれて、私は凄く満足していた。そして、そう、今日は先輩に告白するのだ。楽しい時間を過ごす中、どう『その瞬間とき』に〈勝負〉を掛けるか、私は見計らっていた。  出店で昼食を済ませ(ホットドッグとカフェラテを頼んだ)、午後の『デート』を楽しんだ。私と先輩は商店街に繰り出し、夏祭りの喧騒を体験していた。  ふと、商店街の服屋さんでやっている出店に目を留めると、可愛らしいぬいぐるみが売っていた。そのぬいぐるみが何故か気になって、その場に足を止めた。 「――このぬいぐるみ、可愛い」 「池澤、気に入ったのか?」  私の興味に先輩は気付く。そして、こう言ってくれた。 「池澤、気に入ったんなら、僕からプレゼントするよ」  先輩の厚意を嬉しく思うけれど、遠慮も感じていた。「えっ、いいんですか?」と問い返したが、先輩はとても優しかった。 「大丈夫、池澤が僕を夏祭りに誘ってくれたお礼だよ。プレゼントさせてくれ」  そして「これ、ください」と、可愛いぬいぐるみを先輩は買い求めた。先輩は会計を済ませ、ぬいぐるみを手にして私に渡してくれた。 「はい、池澤、ぬいぐるみのプレゼント」  先輩がぬいぐるみを渡してくれた。私が見初めたぬいぐるみは、白くて耳が長くて目がクリクリっとしていて、ふっくら丸い体躯で……サン○オのシ○モロールみたいな風体がとても可愛らしかった。プレゼントしてくれた先輩は、ニコニコしていて誠意に溢れていて、素直に受け取るのが一番良いと私に感じさせてくれた。 「ありがとうございます、先輩!大事にします!」  とても嬉しかった。先輩は「喜んでくれるなら、嬉しいよ」とその好意が上手くいった事が満足できているようだ。――先輩からの初めてのプレゼント。大事にしよう、と誓う。凄く、凄く嬉しかった。  その時、何処からか鳴き声の様なものが聞こえた気がした。何かを喜んでいるような、祝福しているような――私達を大切な存在として捉えている何かが、そこに居る気がした。 「キュルー、キュルキュル―」
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