0人が本棚に入れています
本棚に追加
1
夏の日の暑い時分、冷たいかき氷は、火照った体に涼しく心地よい出合いを運んでくれる。夜空の星々は瞬き、地上と天空の幻想的でロマンチックな雰囲気が、二人を優しく包んでくれる。
熱い日差しが降り注ぐ。夏の陽光は、この街に暖かさと暑さを運んでくれる。日中の暑さは少し体に堪えるけれど、夜はまだ暑い中にも、風が頬をくすぐる様に涼しい。七月の中旬、梅雨が明けて、夏が通り過ぎる様にこの街を染めてゆく。私は、また夏がやってきたなとこの季節を楽しみ、心を弾ませていた。
日曜日、街の公園。友人達と遊ぶ約束をして待っていた私は、公園の噴水の前で、暑さを凌ぎ涼んでいた。
「夏稀~!」
「お待たせ~!」
私を呼ぶ美緒と一美。二人とは、中学時代からの友人だ。三人で同じ高校に通っている今でも、私達は仲良しでいる。今日は街の公園で待ち合わせして、三人で、街で有名なショッピングモール、レオモール109に遊びに繰り出す予定でいた。――それから……。
「美緒、一美~、一緒に来たのー?」
「うん、家を出てしばらく歩いてたらバッタリ会っちゃって、一美と一緒に来ちゃった」
「美緒、約束の十時に遅れると思って、急いで走ってたのよ。時間を間違えてたみたいね。普段学校寝坊気味だから、十時にも遅れると思ってたみたい。今九時五十三分でしょ。もう、間に合うからって諭すの疲れちゃった」
一人文句を言う一美に「それは言わないでよね」とぶうたれる美緒。私は「ははっ」と苦笑して二人のやり取りを見ていた。
「それにしても夏稀はやっぱり早いわね。学校に遅れ気味の私は感心しちゃう」
美緒の褒め言葉に「ただ早起きなだけよ」と私は謙遜してみせる。
「それより、今日はレオモール109で何する?」
「夏稀――今日はそれより……」
「そうよ、今日は夏稀の為に集まったんだから――」
二人が、打ち合わせをした様に声を合わせる。恥ずかしくなってしまう。
「もう、それはレオモール109で寛いでからって話してたじゃない……」
「いいじゃないのー、今日はその為に来たんだから、涼太先輩とはどうなるかなー」
「夏祭りに告白するって言ってたじゃない。上手くいくといいわね!今日は作戦会議よ!」
美緒と一美の想いは無にできないけれど、今ここで話すのは恥ずかしい。私は「じゃあ、レオモール109に行くわよ」と恥ずかしさを隠し、二人を促し歩みを進める。
最初のコメントを投稿しよう!