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だけど、目の前の母ちゃんはとても小さくなっていた。
俺の記憶の中の母ちゃんの半分もないほどだった。
半年前、母ちゃんが突然電話をしてきた。
大人になってからの俺は、仕事が忙しくてろくに連絡も取っていなかった。
毎月決まった額を母ちゃんの口座に振り込むくらいで、あとは何もしていなかった。
母ちゃんは、俺の生存を確かめるように数ヶ月に一度電話をしてきた。
仕事は順調か、彼女はできたか、そんなどうでもいいことを聞いてきた。
その日の電話も似たようなもので、大事なプレゼンを前に気が立っていた俺は「何も無かなら切るよ」と言った。
母ちゃんは、少し寂しそうな声で「仕事、きばりよ」とだけ言った。
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