おやすみ

7/7
前へ
/7ページ
次へ
涙を拭って母ちゃんの手を取る。 母ちゃんは、目を閉じていた。   痩せて、顔色も悪いけど、俺の知る母ちゃんの顔だった。   まるで、眠っているみたいに穏やかな顔。 だけど、もう二度とその目が開かれることはない。   この2日間、ずっと母ちゃんの苦しそうな顔を見るのがつらかった。 最期に見る母ちゃんの顔が、こんなに穏やかな顔で良かった。 俺は最期にふさわしい言葉を探して、けれど見つからなくて、ありきたりな言葉を震える唇で呟いた。 「おやすみ」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加