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涙を拭って母ちゃんの手を取る。
母ちゃんは、目を閉じていた。
痩せて、顔色も悪いけど、俺の知る母ちゃんの顔だった。
まるで、眠っているみたいに穏やかな顔。
だけど、もう二度とその目が開かれることはない。
この2日間、ずっと母ちゃんの苦しそうな顔を見るのがつらかった。
最期に見る母ちゃんの顔が、こんなに穏やかな顔で良かった。
俺は最期にふさわしい言葉を探して、けれど見つからなくて、ありきたりな言葉を震える唇で呟いた。
「おやすみ」
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