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私は彼の細い指に摘まれて白いノートに書かれた文字の上に押しつけられ、擦られる。
私の身体はそうされる為に作られているので痛くも痒くもない。
擦られて少し温かく感じた部分から彼の文字と絡まり合い、塵となって剥がれ落ちていく。
彼の文字は丸くて可愛い。大人しくて小動物のような可愛らしい性格が文字にも表れている。
ひらがなも、カタカナも、漢字も、数字も、全部、角がなくて好きだ。
それは前々から思っていた事だけれど、間近で見ると尚良い。
嬉しい事に、彼は私を使う頻度が多い。誤字が多いというわけではなくて、少しずれた文字があれば丁寧に書き直す几帳面なところがある。
丸みを帯びた可愛らしい文字が整列しているノートは、初めから彼の文字がプリントされていたかのように綺麗だ。
きっとその辺の女子達のノートより綺麗だと思う。少なくとも人間だった頃の私のより綺麗なのは間違いない。
消しゴムになってから数週間、人間だった頃とは違う角度から彼を見てきたけど、どの角度から見ても私はやっぱり彼が好きだ。
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