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気を失う寸前まで鳴かされて、しかしこのまま気を失ったら朝まで突っ込まれたままにされそうだから最後の気力を振り絞って何とか抜かせる事に成功した。やれば出来るじゃないか俺。
そんで、俺は今ダイチの腕の中。
「カオル、好きだ……」
「……知っとるわ」
かすれた声で返事したらダイチはチュッとリップ音を残して額にキスをする。
流石にもう俺が限界だと理解してるらしく、負担がかかることはしてこない。その気遣いをもっと早く欲しかったけどな。
「なぁ……カオルも俺が好きだろ……?」
「……」
んな訳ねぇだろボケ! と叫んで殴ってやりたいが、それが出来ない自分がいて、でもそんな事を素直に言えるはずもなく黙っていたらそれでもダイチは嬉しそうに抱きしめてきた。
なんか悔しい。
「カオル……俺の名前を呼んでくれないか?」
「………ルンルン」
「………」
「………」
「いや、そこはダイチで頼む……」
「お前がルンルンでいいっつったんだろ」
なんか全部ダイチの思い通りに事が進んでいるのが面白くなくて俺は精一杯の抵抗を試みたが、思った以上にダイチにダメージを与えた。ザマァみろ好き勝手しやがって。
「じゃあ……じゃあせめて俺の何を好きになったのか教えてくれ! 俺はカオルの文句言いながらも俺を気遣ってくれる所とかちっちゃいのにしっかりしてる所とかちょっと失敗した時に泣きそうになってる所とかもう全部可愛くて好きだ!」
「ちっちゃい言うな! お前がデカいんだよ」
声がかすれてるくせに大声を出しちゃってケホっと咳き込む。
ダイチはそんな俺の背中をさすりながら「睨みつける時に上目遣いになるのも可愛い」と言ってきた。うるさいもう喋るな。
お前の、ダイチの好きな所……ね。
そんなの、俺が作って失敗したグラタンを美味いと言って食ってくれた時からなんかもう好きになってたよ。でもそんなの俺がめちゃくちゃチョロい奴みたいじゃないか。
だから……
「……お前の雄っぱいに一目惚れしたんだよ……」
とだけ言って、そのたくましい雄っぱいに顔を埋めるのだった。
【end】
〜オマケ〜
「さようならだ……」
ダイチが俺を置いて静かに出ていった。
きっと俺が悪いのだろう。
俺が、カレーにピーマンを入れたから……いやこれ俺が悪いか?
「何で追いかけて来ないんだよぉっ!!」
5分後に泣きながら帰ってきた。
冷める前に食えよ。
【end】
〜オマケその②〜
「カオル、昼ごはんは?」
「昨日食べただろ」
「出来れば毎日食べたいです」
仕方がないのでピザトーストを作ってやり、ついでにダイチにも作り方を教えた。これぐらいなら自分でも作れるだろう。
ゆで卵を作っておいてハムや玉葱やトマトやピーマンを切って準備してやればいやこれ自分で作った方が早いな。
「今度俺が作ってやるからな!」
「いややっぱ良いよ俺が作るから」
こいつ野菜乗せなさそうだし。
【今度こそend】
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