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「か、かわいい……っ、カオル……我慢してる顔、めちゃくちゃクる……!」
うるせぇアホと言う思いを込めて睨んでやったら太股に感じていた硬いものがビクンと脈打った気がした。
それが何かなんて考えたら駄目だ。と思っていたのにこいつはそれをぐりぐり押し付けてきやがった。
「カオルっ、カオルっ……!」
「もっ、いい加減に……っ!?」
調子に乗りすぎてるダイチに何とか文句を言おうとしたら、いつの間にか息の荒いダイチの顔面が目の前に迫っていて唇をベロリと舐められた。
「な……!?」
「カオル、キスしていい……?」
「駄目に決まってんだろ! てか舐める前に訊け!」
キスは駄目でも舐めるのは良いのか?
こいつの中の常識はどうなってるんだと呆れていたら顎に手を添えて親指で唇をなぞられた。
背中をぞくぞくと駆け上がる感覚を無視して顔をそらそうとしたが、ダイチの大きな手がそれを許さない。
熱い息を吐きながら今すぐにでも喰らいつきたいと言わんばかりの目がしっかり俺の口元に向いていて、ゴクリと喉を鳴らす。
「カオル……」
「そ、そんな目で見られても無理なもんは無理……」
野獣のように目はギラつかせているくせに声は情けなくて、こんな時だってのについしゃきっとしろなんて思ってしまう。
「お願い……一回だけ味わわせて?」
「食いモンじゃんだよねぇよもぉ……っ、好きにしろ馬鹿……!!」
やけくそになってしまったのは、面倒くさくなったからかダイチの眼差しが強すぎたからか情けない声に苛ついたからか。
ただね、人間やけくそになると後々必ず後悔するからいつでも冷静な思考を持つことは大切だなって俺は思ったよ。
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