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今日の作品は、かなり完成度が高かった。少しだけ擬音が多かった気もするけれど、それは許容範囲内。
後半にかけての盛り上げ方が上手い。
少しだけ大人の事情も挟んである。
これならきっと、子どもから大人まで、幅広い年齢層に……。
レポートを打つ手がピタッと止まる。
エブリンのトレードマークのエンブレムが、ほのかに輝いた。最近、少しずつ光を増してきている。上達の証だ。
しかしそれは、やがて訪れるときが近づいていることの証でもある。
今日も、ミキにネタを提供した。
ミキはお礼を言っていたけれど、あれは本人の記憶から抽出されたデータに過ぎない。たとえネタをあげたとしても、そこから話を膨らませることができるとは限らない。
見てきたものや触れてきたもの、感じてきたことを一番活かせるヒントを与えただけだ。
「もうそろそろ、かなぁ」
エンブレムは、やがて最後は眩い光を放つ。このエンブレムを託すことがエブリンの目的だ。
しかし、それは同時にミキとの別れを意味する。たくさんの思い出が、エブリンの頭を駆け巡る。
このエンブレムは、人に自信と活力を与えてくれる。まだまだ他にも、エブリンが付き添うべき人間は山ほどいるのだ。
少しでも多くの人に。
誰もが持つ小さな経験を、大きな物語に。
それを、未来の、この星のために──。
エブリンはスリープモードに入ると、いつもの映像を再生した。夢のプログラムはたくさんあるけれど、こんな風に迷った日には、決まってこれを選んでしまう。
『ミライの約束』
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