いつもみたいに公園で

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いつもみたいに公園で

 遠くの山には雪が積もり、近くの木々は黄色い葉を落としています。  この町に越してきたばかりのアベルは一人マフラーに顔を埋め、同じ学校の子供たちから隠れるようにして友達を待っていました。  明るく輝く髪と緑色の瞳はこの町では珍しく、子供たちはアベルを遠巻きに、それでもじろじろと変なものを見るようにするばかりで近寄ってはきませんでした。 「おまたせアベル!」  唯一トーリという小さな少年だけは怖がらずアベルに話しかけ、笑い、そうして友達になりました。  二人は毎日待ち合わせをして学校から帰ります。  分かれ道の近くにある公園で遊び、日が暮れる前に家に帰るのです。  しかし最近のトーリは家の手伝いをするために早く家に帰り、公園で遊ぶ時間は無くなってしまいました。  帰り道。お皿洗いや洗濯物の片付け、庭の掃除のお手伝いをしていると話すトーリを、アベルは寂しく見下ろしました。  一緒に遊びたいけれどお手伝いはとてもいいこと。  話からはトーリのお母さんもとても喜んでいるのが伝わってきます。
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